映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』



突如出現したテーマパーク「20世紀博」で、大人たちは現実の生活を投げ出し、童心にかえって楽しんでいた。だがその裏には、絶望の21世紀を捨て、希望に満ち溢れていた20世紀を永遠に存続させようとする、秘密結社イエスタデイ・ワンスモアの計画があった。このままずっと20世紀が続くかに思えたその時、未来を守り、21世紀を生きるため、しんのすけが立ち上がる。



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この作品の冒頭は、日本万国博覧会(別名 : 大阪万博、EXPO'70)のシーンから始まる。そのことから、オトナ向けにこの作品が作られたことがわかる。万博が開かれた1970年代を生きてきたオトナたちに向けてである。

ただ、23歳の私が観てもおもしろかったし、感動して泣いてしまった。それは、ひとそれぞれに“家族”や“なつかしさ”をもっているからだ。

この作品でも、“家族”や“なつかしさ”がテーマとなっている。


この作品からは、

「そもそも昔にはもどれない。“なつかしさ”は、たまに思い出すからいいのだ。

今があるから“なつかしさ”があるのであって、昔にもどってしまえば、そこは“今”でしかなく、そこには“なつかしさ”はないのである。」 

ということが伝わった。


大阪万博のテーマであった「人類の進歩と調和」 と 20世紀博の懐古主義思想、

コドモ(大人になりたいと言ったしんのすけ、大人になれば“なつかしい”を知れるんじゃない?と言ったネネちゃん) と オトナ(5歳のころの野原ひろし)

それらが対比描写されることで、それぞれ(オトナとコドモ)の視点でこの映画は楽しめることができるのだろう。


10年前にこの作品を観たとき、“こわさ”を感じた。

それは、「“今”は、いらないものばかりで溢れていて、夢や希望がない。“昔”は、ムダなものがなく、夢や希望があった。」という、イエスタデイ・ワンスモアのケンのセリフ。

“昔”に浸っていることの方が心地いいのではないか、“今”を生きることの馬鹿馬鹿しさ、そういった“こわさ”を感じた。

今回23歳になっても、その“こわさ”は感じた。


ただそれはすべて間違いなのである。

イエスタデイ・ワンスモアのつくりだした「20世紀博」は虚像でしかなかったのである。

万博が開催された当時(1970年代)は、公害や安保闘争などの社会問題があった。

けれど、「20世紀博」には、それら害悪が描かれていないのである。きれいなものしかみていないのである。

これは、懐古主義を批判していると思われる。それにより、“こわさ”は解消されるのであろう。


それを象徴するのが屋上でのラストシーン。

ケンとチャコ、そして野原家。

今まで別々に描かれていた対比描写がここでぶつかり、ケンとチャコは気づかされる。


それが、 家族=未来 であること。

上から眺めるのではなく、落ちていくのではなく、

上を向いていこう、未来へ羽ばたいていこう。

そんなメッセージを感じた。

 


この作品と合わせて、『ALWAYS 三丁目の夕日』を観るといいかもしれない。

また、3月24日から26日に再放送される『わが家の歴史』もおススメである。




思い出って、たまに思い出すからいいんだよなぁ。