優子ママのこと ①は コチラ


優子さんは、私が初めて水商売を始めた店のママだった。


そこにいるだけで、花が咲いたような美しい容姿を持ち、
会話も楽しく、面倒見もよく、陽気な人だった。
優子さんは私の憧れの存在だった。

大人の女性を感じる振る舞いも、考え方も
着ている服も、アクセサリーも
住んでいるマンションも、乗っている車も、
当時の私が憧れずにはいられない素晴らしいものを、
すべて持っていた。

優子さんの店は常にお客様でいっぱいだった。
私が入店してすぐに、
優子さんは大きな店に引越しをしたが、
変わらず常に満席で、
平日でもお客様に席が御用意できず、
お断りする事がよくあった。

周りから見たら、この頃が優子さんにとっての
全盛期と言える時代だったのかもしれない。

しかし、華やかな世界に生きている半面で、
優子さんはとても家庭的で地味な部分があった。
それなのに、付き合う男性はいつも既婚者で、
男性が独身ならば薬中だったりして、
いつも男には苦労していた。

男が求める、優しくて、強くて、少し都合のいい存在を
演じることのできた優子さん。
でも、実生活でそれを演じることはできなかった。
優子さんは、ある既婚男性と付き合い始めてから、
店を休みがちになった。
 
その男性は、中古車販売の会社を経営していて、
お店でもお金を派手に使う人だった。

優子さんは、男性に尽くす人だったと思う。
好きになると、自分の時間を相手のためだけに使い、
のめりこみ、依存した。
優子さんの男の愛し方はそういう印象だった。
店は、ママ不在のまま、営業していた。

そんな中で、私は店をやめた。
いろいろな潮時を感じてそうしたのだが、
それを機に、優子さんと疎遠になってしまった。
私と一緒に優子さんのお店で働いていた女の子の
何人かとは連絡をとっていたので、
優子さんの近況は耳に入ってきた。

優子さんはお店に復帰したが、それでも休みがちだった。
結局優子さんは、その男性に一方的に別れを告げられ、
たくさんいる中の遊び相手の一人として扱われてまったらしい。

優子さんはこの頃から、少しおかしくなった。
ある日突然、夜中に電話して来たことがあったが、
私と話している認識があるのか、それがわからないほどに
話している内容がめちゃくちゃで、怖くなったことがあった。

同じことを何度も話し、私が知らないことも話し続け
今まで私が付き合って来た優子さんとは、
全く違う別人みたいだった。

この電話で、優子さんと距離を感じたことは事実だった。

いつのまにか、私が勤めていた当時の友達には、
優子さんは要注意人物になっていた。

少し、おかしい。

ただそう感じただけで、私は優子さんを避けてしまった。

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