推定15歳
洋子嬢からの手紙


この手紙で洋子嬢は、デートの約束をしていることを公表している。
前回の質問はここに繋がるものだったのだ。

前回と同じレターセットなので、書いた時期は離れていないだろう。


ならば洋子嬢は、3番のことが好きなはずなのに、
誰か他の人とデートの約束したようだ。

3番が好きで、思いが通じず泣き叫んでいるかと思えば、
他の男子とデートするとは、どういう女だ。


しかも誰とデートするのか書かれていないじゃないか!


しつこいようだが、彼女の植木君への思いは
気まぐれだったと思う意外にない。


洋子嬢は、しきりに私にデートのアドバイスを求めている。


二人きりになるのって恥ずかしい。
どうしたらいいの?
デート代は割り勘にしたほうがいいのかな
洋服はどんな格好がいいのかな。

美奈子先生、アドバイスよろしくお願いいたします。




なんて書かれている。

申し訳ないが、私自身中学時代に
アドバイスできるほどデートした記憶はほとんどないのだから
お願いされてもアドバイスのしようがないだろう。

聞く相手が間違っていることを教えてあげたい。


なのにいつのまにか、
先生に仕立て上げられ、頼られて困っている自分を助けたい。



割り勘にしたほうがいいかという
相手の経済状態を心配しているところが泣かせる。


前回の手紙で洋子嬢は、
デートしたことが発覚したらどうするかを問いたかったのだと思う。

デートもしないうちからバレたらどうしようと、
無駄なことで悩んでいるところが彼女らしい。


3番以外の男とデートしたことがばれたところで、
洋子の3番への思いの信憑性が疑われるだけで、
他に目立ったリスクは考えられないので、
そんなに心配しなくていい。



当時、私たちの周りでは、
デート自体している人も少なかった。

グループデートはあったけれど、遠足の延長のようなものだったし
誰が誰とデートしたとか、そういう噂は時々会ったが
先輩と付き合っている子に限っていたし
奥手な部類の女子にはあるまじきことだった。


そして洋子嬢は


今月、おこずかいがあと1370円しかない、どうしよ~う。」

デート以前の心配である。
今の私でさえかける言葉が見つからない。
こんな彼女に、いったい私はどんなアドバイスしたのだろうか。