今回は、この年賀状がもたらした
揺れる乙女心たっぷりの手紙です。
推定14歳
出さなかった自分の手紙
洋子嬢に宛てて書いたものらしいが、どういう訳か出さなかったらしい。
内容は悲しく深刻だ。
話題が年賀状なので、
中2のお正月過ぎに書かれたものらしい。
私は哲男君という男の子が気になっている。(告白済)
なのに、なんの返答ももらえず悲しんでいる。
当時私たちの地域では
男女間での年賀状のやり取りは、
ヴァレンタインのチョコレートと同じくらい
重要な意味を持つものだった。
年賀状を送る=好き、もしくは気に入っている
みたいな暗黙の雰囲気があって、
ハガキを出すのは告白の意味もあった。
だから哲男君から年賀状の返事がもらえなかったことは
興味を持たれていない証拠なので、私は悲しんでいるのだ。
悲しんでいるというよりは
悲しみが怒りと憎しみに変わっており、
そばに行って慰めたいほどの怒りっぷりだ。
そんな中、お正月に植木君に年賀状をもらってしまい
複雑な気持ちを抱えている。
私はその年、哲男君からは年賀状がもらえずに、
植木君から年賀状をもらっているようなのだ。
しかし私の心は哲男君にまっしぐらで
ずっと好きだった植木君からの年賀状を、
素直に喜べずにいる。
大好きだった植木君からの年賀状。
ポストを開けて、ハガキの差出人にその名前を見つけた時の
ドキドキした気持ち。
好きだった時に振り向いてもらえない。
なのに・・・、気持ちが離れてからもらった植木君の年賀状。
14歳の自分は、どんな気持ちでハガキを読んだのだろう。
「今年も仲良くしよう」
その言葉が心に刺さっていた当時の私。
もう、アンタ!哲男なんてどうでもいいから、
すぐ植木君に返事出しなさい!
返事出したのかなぁ、私。