推定 12歳
新潟  美里嬢からの手紙

ライバル登場だ。

この手紙によると、
私の好きな植木君のことを好きな女の子が現れた。

それは私の友達、真由美嬢である。
以前、洋子嬢も植木君が好きだといっていた手紙があったが、
その時私は植木君が好きではなかったので
たいした問題ではない。

その真由美嬢は、私に協力してくれるフリをして、
なのに植木君が好きだったという、
当時であれば受け入れがたい
ツライ体験を私はしている。

思えば、植木君のことが好きだったという真由美嬢は
私と仲が良かった。
ヴァレンタインではチョコレート作りを手伝ってもらい、
年賀状のレイアウトも一緒に考えたりした。
私は植木君のことで一喜一憂していた。
今思えば、彼女はとても辛かっただろうと思う。
好きな人のことを、友達に話せないなんて。
知らなかったとはいえ、私の行動は彼女を相当苦しめたと思う。

結局私は、彼女の口から直接植木君への気持ちを聞けなかったが、
当時その気持ちを直接私にぶつけられても、
私はどうすることもできなかっただろう。

自分の気持ちで精一杯だったのだから、
相手の気持ちを気遣う余裕など私には無かった。

真由美嬢が植木君を好きだと別の友達から聞いた私は、
それを美里嬢に手紙で書いたらしく、
美里嬢は、他人事にも関わらずカンカンに怒っている。

絶対に許せないね。真由美のやつ。
それを黙っているなんてヒドイ。
私は美奈子の味方だからね!

嬉しいがコワイ。
怒ったところで、好きな気持ちはどうにもできない。

子供の頃の友達との間の好きな人の公表は
早い者勝ちの雰囲気があった。
自分の好きな人をたまたま友達も好きだったのだ。
気の毒なのは真由美嬢のほうだ。

私もショックを受けていないで、前向きに考えて欲しい。

私が好きになるくらい素敵な植木君なのだから
他の女の子にモテてもしかたがないくらいの余裕を持て。

美里嬢は小学生の頃、新潟に転校していったのだが、
転校先で好きになった男の子のことが書かれている。

第1分野で物質を調べる白い粉、
絶対舐めちゃ駄目ですって言われたのに
全部舐めて舌がしびれちゃったんだよ

なんてチャレンジ精神旺盛なのだろう。
そんなことして命に別状はなかったのだろうか?
美奈子だったら徹底的にいじめたくなっちゃうタイプだよ

と書かれているが、
白い粉舐めちゃうようなチャレンジャーには近寄りたくない。
しかし、私はそんなに頻繁に男の子をいじめていたのか。
本人に記憶はない。

美里も好きな人が二人できて困っていると書いている。
恋多きお年頃だ。

 

私は白い粉じゃないほうをお勧めします。