推定15歳
千葉県 真理子嬢からの手紙


やっほ~今どこにいるかわかる?

わからない。

わかるわけないか~へっへっ

わかっているなら書くな!

夏休みもあけて、
高校受験に向けて準備を始めたらしい。

受験の苦手な教科、

英語の補習を受けているのでR(あーる)
はずかP~(ぴー)

語尾がいちいちアルファベットになっていて、
大変わずらわしい。
はやりだったのだろうか。

あ~、
美術と体育と数学で入れる学校があったらいいのにな。
と真理子は思っているのでR(あーる)

相変わらず都合のいいことしか考えない女でR。

美奈子は高校決めた?
私は決めたよ~
工業高校に行って、インテリアの勉強するんだ~
そして丸井のインテリア館で働くのでR(あーる)

美奈子は将来のこと決めた?

私の将来は、あなたの
丸井のインテリア館」という、 
非常に具体的なところまでは決まっていません。

しかし彼女はその後
高校卒業したら看護学校に行って
医者と結婚するっていうパターンで

生きていこうと考えを変える。

補習はないの?


嫌なこと聞くな!
私の場合、補習なんかでは間に合わない。
1年生からやりなおさなくちゃ追いつかないのだ。
心配は嬉しいが、黙っててくれ。 

 

あ~あ、楽して高校入れたらな~。

そんな方法はない。
そんなこと考えていないで、
補習をまじめに受けるべきだ。

ちなみに真理子嬢は
楽譜のような線のある 
英語のノートを破って手紙を書いている。
補習などまったく聞いていない。

この後彼女は、 
小学校時代、一緒に過ごした毎日を振り返ったあと、
同級生の嫌いな女の子の名前を書き連ね、
次に男の子たちのことを書いている。

私ね、深見くんのこと好きだったんだ~。
今もいる?

いるいる。
そして君は半年後、

深見君の家に泊まって朝帰りまでする

伊藤君とか中村君とか、よく遊んだよね、
懐かしいね~。

うん懐かしいね~。
そうそう、この中村君は、
記念すべき私の初恋の男の子だった。

今でもよく覚えている。
かけっこが早くて、頭もよくて、優しくて面白かった。
少女漫画から抜け出してきたような、
清く正しい少年だった。

長い間好きだったのに、彼は小学校4年生の時、
真理子と同じ千葉へ引っ越してしまった。

中村君覚えてる?
隣の中学なんだよ。
アイツ超頭いいんだ~!

中学の時、真理子も中村君もバスケ部に入ったらしい。
バスケの県大会の時に見かけたらしく、
噂によると中村君は県で1,2番の成績だったらしい。

頭もよくてスポーツもできて
バスケ部に入るほど背も高い。
もう、今でも好きになりそうです。
嫁にもらってください。

あと覚えているのが
篠田くんと、福田くん。
福田君は、私が“ものもらい”で眼帯していった時
で教科書読んでくれたんだ~

なんて優しいのだ福田くん!!
そんな気の利く男子が、 
同級生にいたなんて知らなかったぞ。
そういうことに気がつけ!自分!

私の写真と、My boy Friendの写真を送ります。
Boy Friend
の写真は返してね。 

 

私のはあげる!
美奈子の写真も送ってね~。

英語の補習中に書いたからか、
英語を使っています。

My Boy Friend
の写真は 
相変わらず、健ちゃんの写真を送ってきたようです。

制服のために高校を選んだり、
共学ばかり選んで受験したり
看護婦になるのは医者を結婚するためだとかいいながら、
真理子嬢は高校3年間の間、健ちゃん一筋だ。 
なかなか一途なところがあるじゃないか。

しかし・・・ 
彼女がそんなに一途なわけはない。
彼女が受験したいと言っている工業高校のインテリア科は 
当時女子生徒数が非常に少なく、 
入学すれば、自動的に女子ハーレム状態になれるため
ひそかに人気があったのだ。

これを真理子嬢は見逃さなかったのだ。


さすが真理子だ。
片足は健ちゃんに、一途を装って引っ掛けておきながら
もう片方では、ちゃんと自分の人生を考え、しっかり生きている。
いつも、どっちでも選べるような状態にしているところが
計算でないとしたら、彼女は天才だ。

彼女は今、何をしているだろう。
たくましく、したたかな彼女のこと、 
きっと自分の人生を、自分で立って生きているだろう。

またね~
少し英語が楽しくなった真理子より

まったく授業を聞いていないのに、
楽しくなった理由が知りたい。