推定13歳
里奈嬢からの手紙
彼女は私の家のすぐ隣に住んでいた。
引越してきたその日に我が家に来て
「友達になってください」
と、積極的に挨拶に来たので怖かったのを覚えている。
「美奈子はテニス部に入ったの？
なんで？バレーって言っていたじゃん？
私と同じなんだね。」
嫌なのかよ！
何部にしたっていいじゃんか！
バレー部は先輩がみんな態度悪くて怖いんだよ。
「美奈子は高校どこ目指しているの？
私はね、Ｎ高目指しているんだ～
高校一緒になれるといいね」
中学に入学したばかりなのに
もう高校の話ですか？
私は環境に慣れるのに3年はかかるんですが。
しかもＮ高は県内で一番の進学校ですよ？
一緒に行けるといいねというのは、
本気だったの？嫌味だったの？
彼女はとても勉強が出来た。
そして目指した通り、県内一の進学校へ進学したが
その後の消息は不明である。
「美奈子の中学の男子スケベなんだ？
わたしらの男子もスケベだよ。
美奈子のところみたく、胸には触ってこないけど
いつもいやらしいことばっか話してて、
女のあそこばっか見てるの！」
って、
あそこって、どこ!?
思い出せば、私の学校の男子は
同級生の胸を無料で触るという、
今の私ならば、
"一番恥ずかしい格好のまま縄で縛り放置"
してお仕置きやりたいくらいの犯罪を、日常行っていた。
時は第二次成長期。
体からはホルモンスプレーが出まくり、
男女共に性差が表れてくる時期で、
そのことに対する興味も半端ではなかった。
保健体育で"乳房"”や、"精巣"などという言葉を
教科書で見つけようものなら大騒ぎで、
隣の席の矢野君は、第二次性長期の章にシオリを挟んでいたくらいだ。
反応しすぎだが、
異性への変化に敏感になる。
それが恐るべき第二次性長期の効果だ。
「美奈子の質問にあったけど
生理はね、まだなっていないんだ。
でも、ブラジャーは今度買ってもらう予定。美奈子は？」
いったい私は何を質問しているんだ。
しかも里奈嬢に生理の話なんて聞くから
聞かれたくないブラジャーの話題をされてしまったじゃないか。
ほとんどの女子は、
夏休み前にブラジャーをしていた。
実際、私は必要あったのかなかったのか記憶にはないが
多分見栄で、友達と共にブラジャーを購入しただろう。
当時私は、人よりも初潮は遅く、
一向に生えてこないワキ毛を剃り
ブラジャーは乳首を隠す為の役割として主に活躍していた。
実際の成長に伴わない行動が多かった。
それでも女を意識するようになるのが成長なのだ。
13歳で妊娠のできる体になる。
生理があるということは
子供を産むことができるということ。
この意識が私にあっただろうか。
私は、性教育というものを受けた記憶がない。
雑誌から性を学び、
SEXは、しながら覚えた。
唯一性教育といえば、
小学校の林間学校の前に、
男女別集められた教室で、サイの交尾画像を見せられ、
女性には子宮があり生理が始まると子供が出来ると教えられただけだ。
SEXに対する責任や、性病の恐ろしさ、
自分の体の大切さ、命のを大切さを学んだ記憶はない。
もしかしたら、先生はそれを話したかもしれない。
しかし私の心に残っていないということは、
聞いていないのと一緒だ。
生徒の心に響かない、残らない性教育は無意味だ。
子供だけではない。
コンドームを持って、団体で買春旅行ツアーに出かける大人たち、
子供を性の対象にする大人にも、
正しい性教育は必要なんじゃないか。
サイの交尾画像では、一向に性犯罪はなくならないだろう。
子供のSEXに対する興味を止めることは出来ない。
子供に対し、目の前のプールに入るのを禁じても、
子供は絶対に親の目を盗んで入るに決まっている。
だったら親は、溺れ死ぬ前に泳ぎ方を教えるべきだ。
例えばあの頃の自分に、
私は正しく、性を伝えられるだろうか。