「外の空気を吸うのは久しぶりだわ」
  俺もそうだな、夢なのか分からないが気持ちがいい。
「今日からあなたは国連軍横浜基地衛士訓練学校第207衛士訓練分隊、略して207訓練分隊、207隊に入ってもらうわね」
「エイシ?」
「パイロットって言えば分かるかな」
「おお!!」
  いや~たのしみだね~
  バンバン敵を倒してやるぜ。
「あぶない!!」
突然誰かの叫び声が聞こえたその刹那、武の頭に衝撃が加わる。
「ぐはっ!」
  な、なんだ?
「いてててて・・・」
「だ、大丈夫ですか?」
  誰だよ畜生、いてーじゃねえか。
  え!?
「みんなでバレーボールしてたの?」
香月先生が少し笑いながら話す。
「ちょうどいいわ、白銀、紹介するわ彼女があなたの入る207隊の・・・」
  あれ、なんだろうものすごいデジャヴを感じる。
  いや、おれは知らないぞ、でもなんでだろ、彼女と俺は知り合いだったような気が・・・
「ちょっと白銀聞いてる?」
  も、もしかしてこれは恋なのか?
  いやいや、たしかに彼女は美人だが、デジャヴなんか感じないだろ。だとすればあとは・・・
「白銀!!」
「は、はいぃ!!」
「ちゃんと聞いてるの?」
「聞いてますよ、もちろん」
「本当?まぁいいわ、みんな自己紹介してちょうだい」
いつのまにか武の前にはさっきの彼女を含め四人の女の子がいた。
一人、一人、自己紹介が始まるが、武はまたデジャヴを感じる。
  まただ、さっきと同じ感覚、俺は知らないはずだ・・・
  いやまてよ・・・どこかで見たような・・・あ!!
  そうだ思い出した!たしか違うクラスの教室で一緒にいるのを見た事がある!!
  他にも誰かいたよな一人か二人・・・う~ん思い出せん。
「ちょっとあなた本当に聞いてるの?」
メガネをかけた三つ編の女の子が聞いてくる。
  第一印象は大事だからな。
「もちろん聞いてますとも、バッチグーだぜ!!」
「バッチグー??」
みんなきょとんとした顔をする。
  ありゃ、失敗しちまったか・・・。

10月25日
「わたしは国際平和と~~」

入隊式が終わりPXに向かう。
「白銀さん」
  PXの場所わかりにくいな、おい
「白銀さん聞いてます?」
  そ、そうだ、俺は白銀武だったんだ。
「あ、ああ聞いてるよ、うん」
ピンク色の髪をした背の小さい女の子に言う。
  これからは気をつけないとだめだな。
「ずいぶんと遅かったな」
一番初めに会った青い髪をした女の子が言う。
「いや~道に迷っちゃってね、PXが略されて案内板に載ってあったとはね。気づくのに時間かかっちゃったよ」
「あなたまさかPXを知らなかったの?」
「ま~色々と事情があってね。それよりさ、みんなの名前教えてくれない?昨日は緊張してて忘れちゃってさぁ」
  正直まったく聞いてなかったとは言えないよな。
「はぁ??」
みんながあきれ返った顔をして言う。
「白銀武」
それが俺の体の名前らしい。

あのあと俺は気を失っていて目覚めたら牢屋の中にいた。
そこに香月先生そっくりの人がきてそう言ったのだ。
「あ、香月先生~助けにきてくれたんですか?いや~ありがたい」
「先生?」
「何言ってるんですか、香月先生は香月先生でしょ」
「何で私のこと知ってるの?初対面なのよ」
「はい・・・?」
  
・・・は!!
目が覚めた。
  夢の中で夢をみてたのか?体がおかしいな。
  それにしても昨日の先生はなんだったんだろう。
  昨日だっけ?くそう、感覚がわかんねえ。
  それにここは本当に夢の中なのか?
  夢にしては長すぎるし、夢の中でこれは夢だ!なんて気づいた事なんてあったか?
  いや、でも俺の体は白銀武とかいう奴の体らしいが
  現実で体が入れ替わるなんておかしい、きっとこれは夢なんだ、たぶん・・・。
  とりあえず夢なのかどうか確かめたい。
「白銀武」
また呼ばれた。
「・・・」
「あら、どうしたの?」
  答えるのが面倒だ。
「条件しだいでここからだしてあげてもいいわよ?」
悠樹が反応する。
「ほ、本当ですか!?」
  やった、やっとここから出られる。
悠樹の目に輝きが戻る。
「私の言う事を無条件で従ってくれたらね」
「従いますよ!!」
「あら、突然元気になったわね」
  確かめてやるんだ。ここが夢の世界なのかどうかをな。

10月24日
「白銀武、白陵大付属柊学園3年B組在籍、両親健在」
「これであってるわよね?」
書類などで散らかった校長室みたいな所に連れて込まれ、そう聞かれた。
生徒手帳にでものっていた情報なのだろう、これで悠樹の体の持ち主がわかった。
  同学年だったとは・・・、しかも隣のクラスだし。
  正直に自分の正体を明かしたほうがいいのかな。
「どうしたの?」
「あのー・・・」
「なに?」
  どうにでもなれ
「俺、白銀武じゃなくて明神悠樹なんですけど」
「・・・」
「それにクラスはB組じゃなくてD組です、あとは同じですけど」
「わかっているわよ」
「え?」
「あんたの正体よ」
  なんでバレてるんだ?俺の正体がわかる手がかりなんてないはずだぞ?
「なんでしってるんですか?それにさっきまで白銀武って言ってたじゃないですか」
「色々と事情があるのよ、それに今はどうでもいいのよそんな事は」
「どうでもよくないですよ」
「私の言う事は無条件でしたがうんじゃなかったの?」
「・・・はい」
  知らないうちにしゃべっちゃったのかな。くそお
「あんたこの世界が夢だとおもってるでしょ?」
「まぁ今のところは・・・」
  夢だよな?
「ここは現実よ」
「ちがう!!そんなはずはない」
「認めたくないの?あんたはここが現実だって気づいてるんでしょ」
「だったらこの白銀武の体はなんですか?こんなのありえませんよ」
「教えてあげるわ、ここはあなたの住んでいる世界じゃない。そして私もあなたの知っている香月夕呼じゃない」
「あなたはこの世界とは別の世界から来たのよ。そしてなんらかの理由であなたの心と白銀武の体だけがこちらの世界に来たの」
  夢ではなくてパラレルワールドみたいなとこに来たと言うわけか。だったら説明がつくな。でも・・・
「でもいきなりこんな事を信用できないですよ」
「私もこんな事信じられないわよ、でもね、これはありうる話なのよ」
「そんな・・・」
「とりあえずここで暮らしてみたら?そしたらわかるわよ」
「え・・・!?」
  この世界で暮らす?じゃあロボットに乗れるのかな?
「どうする?」
「この世界って戦争してますよね?」
「そうよ」
「ここに暮らせばロボットに乗れますか?」
「戦術機の事かしら、戦術歩行戦闘機って言うの、まぁがんばれば乗れるわよ」
「よっしゃーーー!!暮らしまーす!!」
  おいおい、マジかよ戦術機っていうんだあれ、夢とかパラレルワールドとかもうどうでもいいよ。
  ロボットに乗れるんだったら気にしないぜ、今日から俺はこの世界の住人になってやるぜ。
「あらあら元気ね、それじゃあここの訓練兵になってもらうわ」
「わかりました」
  そのあと敵は宇宙人であるとか、人類は劣勢で外も一時は敵に占領されてたとか
  条件があって研究に協力して呼び出されたらどんな時でもすぐに駆けつけろやら
  注意する事があり別世界の人間と他の人に言ったらいけない事、それに知り合いを見つけても
  初対面を装える事、先生に言われた事は漏らしたらだめ、この世界に神宮司先生がいるらしく
  神宮司先生は例外らしい、ちなみに軍曹で訓練兵の教官なんだと。
  それとセキュリティーパスを渡された、一握りの人間しか持てない権限があるんだと
  そして香月先生がこの基地の最高責任者であることと俺が特別な人間である事
  を長々しく説明された。
「最後に」
「なんですか」
「あんたはここで明神悠樹ではなく白銀武として生活しなさい」
「えええ!?」
「命令よ、従いなさい」
「・・・はい」
  理由はなしですか、まぁ実際、体が白銀武だしね。がんばりますか!!
「それじゃあいきましょうか、これからあんたが過ごす場所に」
「はい!」
10月22日
目の前に赤い髪をした女の子と青い髪をした女の子がいる。
でもぼやけていてどんな子なのか分からず髪の色くらいしか分からない。
何か言っている、誰だろう、知らない。どうでもいいや・・・。
だんだん意識が遠くなってきた・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・はっ!
突然目が覚めた、いつもより目が冴えていて少し気持ちがいい。
しかし学校があると思うと気持ちがブルーになる。
めんどくさいが行くしかないと思いベットから起き上がるが何か違和感を感じた。
不意に部屋を見渡す、そしてその違和感の正体に気づく
「違う・・・」
思わず声をだしてしまった、そこはぜんぜん知らない部屋だったからだ。
「違う・・・」
もう一回声がでた。もう一つ違う事があったからだ、声が違う。
そして自分の体を見るこれもまた違う、誰か別の人の体だ。
  意味が分からない。どうなってるんだ?
悠樹は焦りつつも考えるそして一つの答えがでた。
「夢だ」
  こんなありえない事は夢でしか起きないよな。
  あせっちまって損したよ。すぐに気づいてよかったよ。
「さてと、何をしようかな~」
悠樹は少し考える。 
  とりあえず外に出てみようかな、何か面白い事がありそうだ
意気揚々と立ち上がり部屋を出ようとする。
「お!ゲームガイじゃん、もって行くか」
机の上にあったゲームガイをポケットに入れ、部屋をあとにした。

玄関から外に出た悠樹の足が止まった。
「なんだ・・・これは・・・」
そこら一面が廃墟と化していた。
後ろを振り返る。
さっきまで悠樹のいた家がありボロボロとなっていた。
隣を見る。そして悠樹はさらに驚いた。
なんと上半身だけのロボットが倒れていた。
「すげーーー!」
  夢の力はすごいな。これが俺の望んだ世界か・・・
  戦争をしているのか、楽しそうだな。
  俺もロボットにのって戦争にでも参加しようかな
  軽く敵どもを倒して英雄にでもなるか、ロボットは男のロマンだぜ! 
  そうと決まればとりあえず見晴らしのいい学校の方へ行ってみよう
  ロボットとか軍隊の基地が見つかるかもしれない。
  入隊して俺の実力でも見せつけてやるか、あはは
ここがどこだかよく分からなかったが幸い学校のある丘が見えたので
たぶん悠樹の家からは近いのだろう。そして悠樹は学校へと歩き出す。

坂にある桜並木は無事だった。
「夢の中でも疲れるんだな、坂が相変わらずしんどい」
「でも、この体だと少しはましだな」
その体は元の悠樹の体より身長は高く、筋肉も悠樹よりかはついていた。
  もう少しくらいムキムキにしてくれてもよかったな。
学校についた。廃墟と化していると思ってたが軍隊の基地みたいになっていた。
「ラッキーだ、探す手間が省けた」
  ここから俺の伝説が始まるのか。楽しみだ。
すると銃を持った警備兵らしき人が二人こっちに歩いてきた。
「よお、外出してたのか?ここらへんは一面廃墟と化しているのに物好きだな」
「許可証と認識票をだしてくれ」
  リアルだな、さすが俺の夢だ、まぁここは余裕で顔パス通過だろう。
そう思い、悠樹はそのまま通ろうとする。
しかし警備兵に道を塞がれる。
「何やってるんだ?ここ通るんだったら許可証の提示が先だぜ?」
  だめらしい。ここはガツんと一発言ってやって格の違いを見せ付けてやらねば。
「おいコラァァ!!俺さm,,,,,,,」
「動くな!!」
突然警備兵が銃をこちらに向けてきた。
「は!?・・・」
「こいつ部隊章がないぜ」
「たしかに。両手を上げろ、声を出すなよ。動いたら撃つぞ」
  おいおいなんでだよ。ミスって敵側の基地に来てしまったのか?
「手を早く上げないか!」
  しょうがない上げるか。自分の夢なのに思いどうりにはならないのか。
「ぐはっ」
  突然殴られた、一瞬の出来事だった。
そしてそのまま悠樹は気を失ってしまった。