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……、なんて、いらないんだよ。
深夜の県道を走るアリオンの中で、そんな言い方で始まった先輩のぼやき。
運転席から聞き耳を立てる。
助手席に座るまた別の先輩、そして私も、ただウン、ウンと頷く以外に無い程度の話だ。
それでも成る程なぁとは思う。

……、と言うと私たちは余りに聞き馴染んだ。
うちの会社に入れば、早々に繰り返し紙に書いて思考に刷り込まれた言葉だ。
○○と○命感。
これと言うものに、違和感など感じる事もなかったし、先輩の話で気分が変わった訳でもない。
先輩は後部座席から、
「それを持ち合わせずとも給料貰ってんだから、やることはやらなきゃ」
と言う。
先輩の脱力仕切った行儀の悪い座り方まで、見るまでもなく伝わるような声。
「その通りですよね。」
私がそう返したところを、となりの先輩はウン、ウンとしてから、愛想よく少し違う話題を振っていた。

車は先輩二人を滞りなく帰すべく場所へ運んだ。
一人になってから、私はしっかり先輩にツッコミを入れる。
「その概念こそ、うちの会社が狙った使命感ってやつなのですよね。」
狭い車庫に自分の声が妙に響く。
何だか虚しい愉しさが込み上げた。
私は、そんな風に思いハンドルを握っていた、どうだ、ざまあみろ先輩。
それでいて口から出任せに先輩をヨイショしたんだ。しかも安全運転を忘れなかった。

この辺の健全に腹黒い点、私の良いところだ。
そんな風に自分を誉めてみる。
虚しい愉しさが込み上げた。

車を仕舞い家路につけば午前2時を過ぎていた。
夜更かしついでにあいまいみー(2期)のブルーレイを見たせいで、今朝は健康診断に寝坊した。