直近で取引のあった顧客から、W-9 or W-8BENならびにCA Form587 or Form590の提出依頼をいただきました。

 

■W-9 or W-8BEN-E要求

W-8BEN-EではなくW-9を提出します。

W-9は、弊社の住所とEID番号77-0134259、責任者のサイン、日付を記載するだけです。

弊社の場合は、W-8BEN-Eは下記参照の通り適用外です。

W-9は過去に何度か求められたことがあり「いつものことだね」ということで、W-9 or W-8BEN-Eと言われた時にW-9を提出すればいいんだ、という判断は容易でした。

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デロイト・トーマツHP

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/tax/articles/ftc/qi-fatca-20may2016.html

米国から見て米国非居住者となる外国事業体や外国人に、配当・利子・ロイヤルティーなどの米国源泉所得を支払う場合、原則として30%の源泉徴収税が課される。ただし、米国連邦税の規定や米国が締結している租税条約の規定により源泉徴収税が軽減、あるいは免除される場合がある。その軽減や免除を受けるためには外国事業体や外国人がその軽減や免除を受けることが適格であることを、源泉徴収義務者に知らせる必要がある。

租税条約の適用を受ける適格な外国事業体であることを通知するための様式がW-8BEN-Eである。

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■顧客からのカリフォルニアForm587(Nonresident Withholding Allocation Worksheet)or Form590(Withholding Exemption Certificate)要求

これは初めて求められたもので、戸惑いました。

そもそも論として、Form587 or Form590のどちらも初めて見る単語。

 

https://www.ftb.ca.gov/forms/2017/17_587.pdf

https://www.ftb.ca.gov/forms/2017/17_590.pdf

 

日本語情報が乏しく、自ら色々と調べた結果、

形式:弊社がForm590を顧客に提出。

用途:顧客がカリフォルニア州から源泉徴収免除を得るため。

背景:顧客が弊社に代金の支払いをする前に、お金を受け取る側(弊社=Payee)から、これはカリフォルニア州内の売買であるという旨のお墨付きをもらう必要があり、その弊社からのお墨付きを示すフォームが590。

書き方:Withholding Agent Information欄に顧客(=お金を支払う側)、Payee Information欄に弊社(=お金を貰う側)の情報を記載。

ということが判明しました。

 

顛末は下記です。

 

○Form5878(Nonresident Withholding Allocation Worksheet)とは

これは下記の様に、

①カリフォルニア州の源泉徴収が必要かどうか

②源泉徴収対象のカリフォルニア州の収入がいくらか

を決めるフォームです。

カリフォルニア州でビジネスを行っている事業体は源泉徴収はカリフォルニア州から徴収されない(おそらくフェデラルで徴収しているため)のでこのフォームの提出は不要のようです。

Use Form 587, Nonresident Withholding Allocation Worksheet, to determine if withholding is required and the amount of California source income subject to withholding.

Withholding is not required if payees are residents or have a permanent place of business in California.

今回提出を求めてきた顧客はカリフォルニアで事業を行っている組織なので、彼らがForm587を州に提出する必要は無いはずです。

なぜ弊社にそれを提出するように求めてきたのか。。

 

また587のInstructionには下記が記載してあるので、587ではなく590を使うのは確実。

Do not use Form 587 if any of the following apply:

The payee is a corporation, partnership, or limited liability company (LLC) that has a permanent place of business in California or is qualified to do business in California.

Foreign corporations must be qualified to transact intrastate business.

Use Form 590.

Payeeの定義が良くわからなかったのですが、今回は、顧客も弊社もカリフォルニアにあるので590を使えば問題ないようです。

 

○Form590とは

Form587は使わないだろうということがとりあえずわかったので、Form590のInstructionを精読。

精読と言っても、Google翻訳です。

役所関係の書類は文章がしっかりしているので、Google翻訳が一番役立つところでもあります。

 

Form590(Withholding Exemption Certificate)は下記の様に、

①Form 590 is certified by the payee.

②California residents or entities exempt from the withholding requirement should complete Form 590 and submit it to the withholding agent before payment is made.

③The withholding agent is then relieved of the withholding requirements if the agent relies in good faith on a completed and signed Form 590 unless notified by the Franchise Tax Board (FTB) that the form should not be relied upon.

の3つで説明がなされていました。それぞれ意味を解説します。

 

①フォーム590はPayeeによってCertified(証明?保証?で意味不明)される。

Payeeの意味が不明で、米国人の同僚二人に聞いたところ、

・Payeeはお金を支払う人=顧客

と言うことでした。

最初は「そうなんだ」と思っていましたが、書類を読むほどに疑問が。

実際、Oxfordの英英辞典によると、Payeeは被支払人=代金をもらう側=弊社

となり、意味が完全に逆です。

英英辞典を示しながら、三人で話し合って、

結局、Employeeは従業員(雇ってもらう人)、Employerは雇い主なので、同じように、Payeeは支払いを受ける人(今回は弊社)、Peyerが支払いをする人(顧客)の理解だろうと三人で結論。

Payeeは、米国人でも解釈は難しい単語だそうです。

 

②カリフォルニア州の住民または源泉徴収義務免除対象の事業体は、支払いが行われる前に、様式590を記入してwithholding agentに提出する必要があります。

この意味も難解。

しかし、今回は弊社が、顧客から書類の提出を求められているので、

withholding agentが顧客

entities exempt from the withholding requirementが弊社

ということでとりあえず解釈。

 

③Withholding agent(顧客)は源泉徴収を免除される。要件として、顧客が、(弊社によってサインされた)フォーム590を誠実に使い、かつ、フランチャイズ・タックス・ボード(FTB)からフォーム590に頼るべきではないと通知されないこと。

ということで解釈。

 

また、Form590を読むと下記の様に、

弊社がカリフォルニアの事業体であることを証明・宣言する内容になっています。

弊社はSOS番号を持っているので、なるほど、となりました。

The corporation has a permanent place of business in California at the address shown above or is qualified through the California Secretary of State (SOS) to do business in California. The corporation will file a California tax return. If this corporation ceases to have a permanent place of business in California or ceases to do any of the above, I will promptly notify the withholding agent. See instructions for General Information D, Definitions.

 

■まとめ

顧客がカリフォルニア州から源泉徴収免除を得るために、弊社へお金の支払いをする前に、お金を受け取る側(弊社=Payee)から、カリフォルニア州内の売買であるという旨のお墨付きをもらう必要があり、そのフォームが590。

フォーム590には、したがって、

Withholding Agent Information: 顧客名

Payee Information: 弊社の住所やFEIN、責任者のPrint Nameと役職とサイン、日付、電話番号を記載。さらに、Corporationsの欄に印(チェック)を入れて提出。

となります。

 

また、Payeeとか、withholding agentとかはわかりにくい単語ですね。

こんな感じのわかりにくい、日本人からするとイメージが湧きにくい間接業務関連の単語は下記に並べました。

 

・Payee:支払いを受ける側=モノやサービスを売る側(Payerが支払う側、Payeeが貰う側、Employerが雇う側、Employeeが雇われる側。こう考えると、労働を提供する人=Workerはありますが、働いてもらっている側=雇用主=Workeeとはならず、Employerとなっている点が、労働環境の歴史を物語っていますね。)

・Withholding agent:源泉徴収義務免除対象の事業体=モノやサービスを買う側(なんで、WithとHoldが合わさると源泉徴収なんだ)

・Premium:保険料(プレミアムモルツは保険料モルツの意味!?)

・Veteran:退役軍人(ベテランピッチャーは、退役軍人投手の意味!?)

・Commit:罪を犯す、約束する(一つの単語がこの2つの意味を持つのは、日本人的にはありえないと思います)