いろいろ一段落したので

納戸に積み上げた父の遺品を整理していました。

昔の人なので、書簡やら写真やらがめちゃめちゃ多くて

一つ一つ確認しながらもゴミ袋にポイポイ

あまり想いを込めると片付かないなと思い切って処分していきました。

その中には、私が子供のころに書いた作文だとか、良い点を取ったテストだとかがあったりで苦笑い。

そんなものまで大切にとっておいてくれたのだなあ。

そして、一枚の紙に私の名前を見つけました

真新しい便箋の一番上に走り書きのように書かれた文字。

わずか数行の言葉でしたが、胸がいっぱいになりました

 

千種殿

いろいろ世話になり申し訳なかった

自分の人生、後悔ない様 楽しく有意義に

送って貰いたいと願っています。

今生を去ることは淋しく思われますが

去に生きる者の運命、致し方ないことと思われます

又の縁を願っています。

 

おそらく、ホームに入居して間もないころに書き留めたものかと思われます。

認知症が進んでいろいろわからなくなっていたと思い込んでいましたが、

父なりの想いがたくさんあったことなのでしょう。

わかってあげられず、いつも歯向かってばかりの娘でした。

それでも、もう一度縁があったらと言ってくれた父の想いに

亡くなってから初めて、強烈な淋しさと愛しさに

涙がとめどなく流れました。

母が亡くなった時、火葬の扉が閉まる瞬間に「もう一度私を産んでください!」と叫んだ私でした。

今、また父にも同じ言葉を伝えたい

「もういちどあなたの娘にしてください!」

 

縁あってあなたの子として産まれ

今を生きている私は幸せに暮らしています。

本当はもう生まれ変わったりとかしたくないけど

また生まれ変わらなければならないのなら

父と母の子としてまた人生を歩んでいくことを私も願っています。

私を選んでくださってありがとう。

良い娘ではありませんでした。

老いた父との暮らしを切り捨てた親不孝者です。

それでも、縁を願ってくれた父。

 

以前のブログでも書きましたが

欠けてゆくものたちに

今まさに痛切な思いにかられています。

もう この言葉を伝える人はこの世にいません。

 

わたしも 又の縁を願っています…と