世の中には鬱漫画というジャンルがある。
有名どころでいうと、「ぼくらの」「魔法少女まどか☆マギカ」「serial experiment lain」といったところだろうか。

これから話す「がっこうぐらし!」も所謂鬱漫画として数えられることの多い作品だ。
しかし、私は「がっこうぐらし!」をホラー漫画だとは思うが、決して鬱漫画であるとは思わない。
むしろ、私がうつ気味な時には、この漫画に元気をもらった。むしろ、この漫画には現在問題となっているコロナうつを乗り越える要素が揃っていると考える。

今回は、そんな「がっこうぐらし!」が持つ鬱漫画要素と、抗鬱要素の双方を紹介していきたい。

がっこうぐらしが、鬱漫画と言われる理由
この答えは4つある。
①可愛らしい絵柄からは想像できないゾンビ展開
②生きていると思っていたキャラクターが実は妄想で、既に死亡している。
③主人公の精神が病んでいる。

しかし、②以外の鬱要素はそこまで先を読んでいくと、全て無駄にはならないのだ。

①確かに、何も知らないで見た方には衝撃だっただろうが、ゾンビ漫画と知ってみるとそれほど衝撃ではない。
③主人公の精神病のような妄想は、周りの人物のメンタルケアの役割も兼ねている。更に、主人公はその後成長して、現実と向き合い始める。

このように、めぐねえの死さえ乗り越えれば、がっこうぐらし!の鬱要素は乗り越えることができる。

がっこうぐらしが、コロナうつに効く理由
がっこうぐらしのテーマは、「ゾンビに囲まれた絶望的な閉塞空間でいかに楽しく毎日を送るか」ということだ。

主人公達は、学校での終わりなき避難生活を、「学園生活部」という部活の活動と設定し、学校行事を企画したりしながら、楽しんでいる。
↑物資調達を遠足と設定するゆき。

主人公のゆきは、ゾンビ世界に生きる赤毛のアンのような存在である。
初めゆきは、敬愛する先生のめぐねぇが亡くなったことで、現実と向き合えなくなり、架空のめぐねぇに話しかける等、見ていられないような行動をしていた。
その様子に心を痛め、鬱漫画だと思った人も多かろう。

しかし、ゆきのこの能天気な妄想は、他の生存者であるくるみりーさんみーくんを元気づけ、荒んだ毎日を少しでも楽しいものにしていた。
更に、ゆきは次第に現実と向き合い始める。
その成長もまた、この漫画の肝である。

↓現実逃避をする一話のゆき(左)とゾンビに立ち向かうゆき(右)


最初は精神病患者のようなゆきだが、中盤からは現実をちゃんと見た上で皆が楽しくなるような言動をしているのである。

↓ゆきの妄想に助けられるりーさんくるみ

このような学園生活部の過ごし方に、終わりなきコロナ禍により外出ができない現在、生活を楽しむヒントが隠されている。

彼女たちが教えてくれることは、「どのような状況でも楽しむことはできる」という教訓だ。

これは、コロナ禍に関わらず、現状に不満があるすべての人に対して言えることではないだろうか。

たとえゾンビに包囲されようが、考え方さえ変えれば青春をエンジョイすることができるのである。

学園生活部の一員みーくんの友達のは、「生きていればそれでいいの?」と言って安全な閉塞空間から外に飛び出し、その後行方不明になってしまう。

↑この後、消息不明になってしまう圭。閉塞空間に残されたみーくんは孤独に苦しむ。


みーくんはその後孤独に苦しむが、ひょんなことからゆき達と出会い、学園生活部に入る。

彼女は、卒業時にに向けて「私生きていていいことあったよ」というメッセージを残すのだ。

このような場面からも、どんなに辛い状況でも、孤独でも、生きる意味が見出せなくても、いつかはいいことがあるというメッセージが読み取れる。

少し大袈裟かもしれないが、うつ気味な人には大切な感覚であると思う。

コロナうつに陥っている方々は、一度ニュースを消して、がっこうぐらし!を読んでみたらいかがだろうか。