珍しく来夢が朝の7時に起きていた。

基本的に週1しか通学しないけど今日の課題テストは進路指導に絶対必要だから名前だけでも書けと言われたらしい。

とは言え、こっそり予備校に行ってるし成績は悪くない、髪型自由、髪色自由、制服も改造?OK,

バイト自由、出席代返OKって高校だけで決めた。



「髪型が決まらない!新しい口紅が制服に合わない

ペンケースはどこいった」

散々、文句を言ってようやく家をでた


「大夢!来夢がスマホ忘れてる!」


結局、僕が持っていく訳でバス停まで走った。

梅雨に入ったばかりで蒸し暑いし、雨も降りそうだ


「来夢!」


ピンクの髪色がすぐ目立つからありがたい、

ちょうど通学バッグの中を探してみたいで、めちゃくちゃ焦ってる、まぁ、そうだろうな…


ついにバラバラとバッグの中身が道路に散乱した

みんな朝は忙しいし、クスクス笑ってる女の子もいるし、こんな子達とは可愛くても絶対友達にもなりたくない。


「見てんじゃねーよ!」


ヤバい、来夢の逆ギレパターンだ。



「来夢!」


叫んだ瞬間、一人の男子生徒がさりげなく拾っていた


「はい、大丈夫?」


ばらまいたペンやらポーチやらを両手一杯に持って笑顔で手渡された来夢は呆然としていた


リーくん…だった



二人を見て、僕の胸のあたりがキュッとした。

幼稚園の時の二人がそのまま成長した姿は

まるで映画のワンシーンのようだ…


なんか、敵わなねーよ


バスが到着して、ドッと乗客が乗り出した

通学時間だからバスは満員になりそうで

慌てて叫んだ


「スマホ!」


僕に気づいた来夢はスマホを奪い去って

バスに乗り込んた。バスの窓から

リーくんに小さく頭を下げて、僕にありがと、と口元が動いた。


ハァ、間に合った…



「ひろむちゃん⁉︎」


いつの間にか、隣りにリーくんがいた

困った人がいたら、すぐに助けるとこは

昔から変わらないんだな…ホント、よく助けてもらった


「あ、ありがとう。助けてくれて」


「あの子、ひろむちゃんの彼女?」


真剣な顔をして見つめてくるから、ドキドキするじゃないか。


「いや、妹だけど」


「良かったぁ、

昨日、家族から彼女いるんじゃないって言うし

あ、でも好きな人がいるかもしれないか」


僕達は電車通学だから駅へ歩き出した

何故にバス停にいたんだか…


「彼女いないけど」

まぁ、リーくんはいただろうけどね、


「ホントに!良かったぁ、

ひろむちゃん可愛いし、カッコイイから

昨日から心配してたんだ」

何で心配するんだか、分からんけど


駅に向かう途中でも女子高生がチラチラと

カッコいいねーという声が聞こえる


「ひろむちゃんは、部活とか入ってる?」


「部活じゃないけど…、生徒会に入ってる」

生徒会会長は許、フェンファンだ。

今どきの高校生には面倒くさいらしくて

結局、ジャンケンで負けて決まった…

来月の七夕祭に向けて忙しくなるから人手不足だ


「俺も入れる?」


えっ…?