りひとside


珍しく尾崎が落ち込んでいた…

何度もため息をついて教室の外を見つめている

試験で赤点取っても弁当を忘れても絶対に落ち込まない筈なのに、、

尾崎の彼女がこっそり呟いた


「世界水泳のチケット…落選したんだって」


「昨日からさ、人生終わったとか言ってさ、

めちゃくちゃ落ち込んでるのよね…

旅のしおりみたいなヤツ作っててさ、そんな時間があったら勉強すればいいのにね」


ブツブツ言ってるけど尾崎の彼女も

ワンピースかパンツを新しく買うか友達に相談してたし内心はガッカリしてる筈だと思う。


俺、だってさ…

会場は海がすぐ近くにあって2人で眺めたい…

好きな食べ物とか好きなお笑い芸人とか、どうでもいい話しをして笑って過ごしたいなぁって。

とにかく、テレビでも連日でミステリアスのユリちゃん特集があったり、テーマ曲をオープニングで披露することが決まったとユリちゃんから発表されたり、、で当選することも厳しいワケだ。

気になるのは、、りなちゃんからのLINEで

送られてきたのは…これ、本物のユリちゃん⁇何だろうか…

今日はりなちゃんと駅前のカフェで待ち合わせている。

ひろむくんと言えば、最近忙しそうだ。

クラスの生物部の子が熱帯魚を飼い始めた話しに

盛り上がってカタカナの難しい名前、、

なんとかブレコとか?よく分からんけど、生物部の総勢5人の部員の熱烈なる勧誘の末に部員になってしまってた…まぁ、動物好きは知ってたけど生き物全部が好きとか、やっぱ可愛い♡

だから、最近は一緒に帰れない…

クラスの皆んなと仲良くなるのは嬉しいけど、1番は自分でいたいって思うのは重症なんだろか、笑うと可愛くて、ご飯をモグモグして食べちゃうトコもやっぱり可愛いと思う…

ヤバいなぁ…、この瞬間も可愛いと思うなんて。


「ひろむくん、今日も部活?」


「うん。水草の事で相談にのってるんだ」


なんか、嬉しそうだし。最近、一緒に買った水色のシャーペンを大切そうにペンケースに入れてるし、

実は色違いで紺色を買ってるけど。


「じゃあ、また、明日」


「じゃあね」


俺は駅前のカフェに急いだ。