ひろむside
やっぱり、来夢は体調を崩してしまった。
母親と一緒に公園に行って、リーくんに
ゴメンなさいって話すとねって来夢に伝えた
「来夢の代わりにいってきて」
熱で苦しそうに話す来夢のお願いにダメだなんて
言えない。僕は来夢が着る筈だった服を着て
公園にいくことになった。
ピンクのワンピースにレギンスを履いた僕をみて
「マジ、そっくり」
母親のお墨付きをもらって公園に行った
お気に入りのブルーのポシェットに来夢のリボンを付けて僕のテンションは確実に上がっていたと思う。
ちょっとしたアトラクションに乗るようなワクワク感だ。
公園に着いたら、リーくんらしき男の子が手を振ってくれた。
わぁ、カッコいい子だなぁ…
目がくりくりしてる。
「こんにちは、名前教えて!」
「ひろむです」
「ひろむちゃん!可愛い名前だね」
リーくんが嬉しそうに笑った。
その時、僕は大きなミスに気づいた。
自分の名前を言ってしまった…、
ゴメン、、来夢…
まぁ、でもいいかぁ…なんて呑気に考えてたけど。
「こんにちは。初めまして、ひろむちゃん」
リーくんの後ろにお母さんらしい人と小学生のお姉さんらしい女の子、、また、後ろには僕の母親と同じ年くらいの女の人がニコニコして立っていた。
驚いたのは皆んなキレイで芸能人みたいだ。
「ゴメンね、ウチの理人が、初デートするって言うから皆んなでついてきちゃた♡」
「なんで、皆んな来るんだよー!」
「だって、一目惚れした♡なんて言うんだもん」
いやいや、それは来夢なんです…僕より、ずっと可愛いです…
女の人に囲まれてドキドキするし、バレたらどうしよう、ヤバい、マジヤバい。助けて、来夢‼︎
「さすが、理人ねぇ、めちゃくちゃ可愛い子じゃないのぉ、」
「おばちゃん、ひろむちゃんがビックリしてるよ!アタシ達は邪魔だよ。お母さんも!!」
「えー、ついていきたいなぁ〜」
リーくんのお姉さんらしき子が二人を引っ張って
僕達にウインクして大笑いしていた。
「ゴメンね、うるさくて。行こう!」
リーくんは照れながら、僕に手を差し出したから
僕もそっとリーくんの手を握った…
なんか、温かいなぁ…、、
今日、教室で手を握られた時と同じ温かさだったな…
「おい!大夢!今日、帰りは遅くなるからな」
ドピンクのロングヘアに真っ赤な口紅。
今どき珍しい制服の長いスカート…
あの可愛い来夢は、すっかり元気になって
ヤンキーになっていた…