ひろむside

 

 

・・・今、僕は初めて会った同級生(多分)の2m後ろを歩いている。

なんか、申し訳ない気持ちでいっぱいなのに素直になれなくて・・

自己嫌悪に陥っている…

 

きっと、担任の先生(仮)の木村先生から頼まれたんだろうな

せっかく迎えに来てくれたのに、めちゃくちゃ感じが悪い態度をとってしまった

 

僕の前をスタスタと歩く同級生(多分)は、スラリとした長身で羨ましい位のスタイルのよさ

高校指定らしい紺色のバッグを

肩に掛けていて、バッグの持ち手には、Rのキーホルダーがキラキラと輝いている

彼女からのプレゼントっぽいし、

見るからにもてそうだ

 

 

 

「ありがとう」

って言いたいのに…

 

 

 

ホント、自分で言うのもなんだけど

面倒な性格だな…って思う

 

 

あ、止まった

 

また、歩きだした…

 

何度か繰り返す度に僕も立ち止まる

 

僕の態度に怒ってるのかな…

 

 

また、立ち止まって、ポケットから

スマホを出して誰かと話してる…

 

「めちゃくちゃ、態度が悪いからさ

このまま置いていこうか」

 

なんて話してたら、どうしよう…

 

あっ…

 

くるりと僕に振り向いた

 

や、やばいっ

 

「今からさ、学校の校門で

抜き打ちの頭髪検査があるらしいんだ」

 

ジッと僕の金髪を見つめて、頷いた

 

「あと、5分でぶっちぎる!」

 

あっという間に僕のバッグを取り上げたら

一気に走り出した!

 

待て、おいっ!

 

慌てる僕にちらっと振り向いて

ニヤリと笑った

 

挑発してる?

 

僕も負けずに猛ダッシュ!

久々の本気で全力疾走で追いかけたら

少しだけ距離が縮まったかも

 

ハァ、ハァ…

 

は、速い…、また、引き離される

右側の細い道を曲がったら校門が見えてきた

 

誰もいない、間に合った!

 

先にゴールした同級生(仮)も

ハァハァ息を切らして芝生に座り込んだ

 

「急に走って、ハァ…ごめん

ハァ…転校初日に捕まるとかさ、へこむだろ」

 

汗でぺっとりしてるだろう僕の髪を指差して

アハハと大笑いするヤツ…

 

「風紀委員に捕まったら反省文なんだ

金髪はさ、来週までに黒に染めたらいいよ」

 

 

「あのさ…ありがと、、」

 

 

「大丈夫、俺、風紀委員だから」

 

 

「…じゃあ.走らなくてもよかったんじゃ…」

 

 

「風紀委員か金髪見逃せないだろ」

ケラケラ笑う風紀委員…

やられたなぁって思いながらも

何だか楽しくって、僕も自然に笑ってた

 

「ねー、名前教えてよ」

 

「…高塚 大夢」

 

 

僕の新しい日常が始まった

 

 

「高塚 大夢…です…