ひろむside

 

羽田空港の奥にある搭乗口から

逃げるように旅立つ…

 

自分自身が大切にしていたモノを

無くしてしまった…

誰も責めたくない…

 

高校の担任から

メールが届いた、

そこには、僕の住む東京から遠く離れた

地方の公立高校名と訪ねる教師の名前。

木村先生か…

新しい学校に初めての一人暮らし。

不安がないなんて嘘だ。

だけど…自分が自分である為の時間がほしい。

穏やかな日々が過ごせればいいだけなんだ…

 

ワンルームの部屋の掃除も終わって

明日は転校初日…

 

ヤバい…

髪を染めるの忘れた…

鏡に写る自分を見て…苦笑い…

伸びかけの金髪だけが、この街に不似合いに

みえる…

窓の外は東京よりは遥かに少ない街の灯りが

見えて少しだけ淋しかった

明日、学校帰りに美容室に行こうかな…

 

新しいベッドに薄い毛布、

 

いつもの寝る時間よりもはるかに早くに

ベッドに潜った…

皆んな、元気だろうか…

友達には担任の西先生から急な留学ってことに

なってると聞いだけど嘘バレバレだ

どーせなら入院したとかにして欲しかった

精神的に疲れました、とか、、

優しい西先生のことだ、きっと僕の将来的なことも

考えてくれたと思う

明日から通う高校の木村先生は、西先生と

大学時代の親友で、木村は一番信頼できるヤツだから大丈夫だって笑って送り出してくれた

 

 

西先生の為にも早く慣れて穏やかに過ごそう

 

 

 

 

 

 

 

アラームが鳴る前に珍しく目が覚めてしまった

窓からの日差しが眩しくて、

カーテンを開けたら、青空が広がっていた

何かいい事あるかも…

初登校で遅刻はマズイから

ペットボトルの水を一気に飲んで新しい制服に着替えた

夏服だから前の学校とあまり変わらなくて良かった…鏡で全身をチェック、高2なのに新品の制服なんて、ちょっと恥ずかしいかも

 

「よし、行くぞ!」

自分にしては珍しく、気合いを入れた

色んな人のお陰で新しい高校にいけるんだ

迷惑かけないようにしないとな…

 

ガチャ…

 

玄関扉を開けたら、

背の高い高校生らしい男子が立っていた

 

だ、誰?

 

涼しげだけど、キリッとした目力強めの

はっきりした顔立ちの男子…

 

「お、おはよ…

 

えっと、、え

まさかの展開に心臓がうるさい

あー、こんな時に自分の人見知りが発動して

思わず言ってしまった

 

「あんた、誰?」

 

ダメだ!謝れ!自分!

目の前に言葉を失ったように

呆然とするイケメン高校生…

 

 

案の定、先生に言われただけだからって、

不貞腐れた感じで言って、僕の金髪を見るなり

ヤバめなヤツって顔…

ここは仲良くないといけない

どうしよう、、

 

 

 

「個人情報濫用だな」

 

 

え〜

何てこと言ったんだよ〜

 

これは怒るよね、謝るんだ!

 

 

「学校、わかんないんだよね」

 

 

マズイ…

これは感じが悪い…

ヤバい…

何でこんなこと言っちゃたんだ…