読書の時間

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これまで読んだ、本や文献を書評し自己研研鑽するためのブログです。

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「リハビリテーション・ルネッサンス」  著:宮本省三

この本は、僕が臨床1年目のとき出会いました。
当時はその内容に引き込まれ、わすか半日足らずで読み終えてしまう程でした。

以下、印象深い内容を簡単にまとめます。

治療には病気そのものを治す「専門医療」と慢性患者や高齢者、障害者を地域の場でサポートする「地域医療」とがある。伝統的なリハビリテーション医療の最大の誤りは本来、地域医療のためのリハビリテーション思想を、病気を治そうとする専門医療の分野に持ち込んだことである。その意味では、戦後のリハビリテーション医療は進歩したがリハビリテーション治療はなんら変わっていない。

しかし、近年のリハビリテーション医療は明らかに機能回復よりも社会復帰を第一目標としている。

果たしてそれでいいのだろうか?

患者の声(希望)を無視してはいないか?

セラピストの本来の役割は治療であり、病態からの回復を行なうこと。つまり、「治療医学モデル」に遵守しなければならない。そうしなければセラピストとしての専門性や存在意義を自ら放棄した形となってしまう。

そのためには、リハビリテーション治療は思想でな「理論」に準拠すべきである。運動麻痺の回復を目的とした運動療法は、リハビリテーション思想に基づいて行なわれるべきではない。

治療期間を十分に確保した上でADL指導、在宅訪問指導、社会復帰などのいわゆる「社会福祉モデル」を他職種と協業しながら行なう必要がある。また、社会福祉モデルの中にあってもセラピストは脳の機能障害を十分に分析した上でどの認知過程を活性するべきかという治療的視点に立って関わらなければならない。つまり「社会福祉モデル」の中であっても「治療医学モデル」を実践しなければならない。


最後に、もっとも印象深かった言葉を…

リハビリテーション治療は高額な医療機器を必要としない。世界中どのような場所でもセラピストの努力によって世界最高峰の治療を提供することができる。

「リハビリテーションは現在進行形の学問である」

現在、読み返してみても名書だなと思う本の1つです.

まだ、読んだことのない方は是非一度読んで見てください。

ではまた。