「東京タワー」で時の人となっているリリー・フランキー氏。
前々から気になっていた人でしたが、東京タワーを読む前に、
タイトルで思わずこっちを手にとった。

多才な人だなー、ホント。この人のイラストも好きだけど文章も、なんだか

いろんな人の感情をよくよくわかっていそうな。。


これは6編の短編集。中でも「死刑」が、なるほどと唸らせ苦笑させる。

たかが万引きで死刑にさせられる未来時代のハナシ。


「でも、やっぱり僕も心のどこかでは思ってる・・・・。僕はこんなことで死ななきゃいけないのかなって。

今の法律は本当にこれでいいんでしょうか?このままで本当にいい社会になるんでしょうか・・・?」

「それは僕にもわからない。でもね、これだけは言えると思うんだ。これでいいのかはわからないけど、

確実に昔よりもマシだってこと。そして、僕らが死んだ後、作りだされる世界の方が、もっとマシだってこと。

昔の人のことを話すと、どうにも彼らが野蛮で下品で低能に思えてしまうだろ?」

なにかに、つまづいている人の方が、魅力的だと思う。 リリー・フランキー
リリー・フランキー
ボロボロになった人へ

各界の名士たちが集う「沙高樓」。

青山墓地のほとりにそびえる、高級マンションの最上階で、世の高みに

登りつめた人々が、女装の主人のもと、今夜も秘密を語り始める。。。


普段ニュースなんかでも、いわゆる勝ち組といわれる人やその道の人といわれる人を見ると

ここまで上り詰める過程には、さぞかし、様々なことを経験されてきてるのだろうなと

思っていたが、この小説を読むと、実際こんな「沙高樓」があるのではないかなと思う。


「今宵もみなさまがご自分の名誉のために、また、ひとつしかないお命のために、あるいは平和と

秩序のためにけっして口になさることのできなかった貴重なご経験、心ゆくまでお話くださいまし。

お話になられる方は誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。

あるべきようを語り、巌のように胸にしまうことが、この会合の掟なのです」

映画かドラマ化されるなら、この女装オーナーは美輪明宏があう雰囲気。


一人ひとり語られる出来事は、現実なようで現実でないような霧雲にがかった話。

自分の毒を吐くかわりに、他人の吐いた毒を呑まねばならない。

そして、高い場所は脆くて殆い。


浅田 次郎
沙高樓綺譚

また子供が殺された。

変質者か顔見知りの犯行かはまだわからない。

世の中のストレスが、全て弱いものへベクトルが向かっている気がする。


今の今まで笑ってしゃべっていた自分の子供が

数時間後、人形のように変わり果てた姿になって対面しなくてはいけない

時、親としてはどういう気持ちになるのだろう。

想像につくしがたい、狂気と理性の狭間でどうにかなってしまうのを抑えるのはとても難しいと思う。


・・・は悲しみを覚えなかった。怒りも憎しみも沸かなかった。

後悔も懊悩も惑乱も絶望も、感情のいっさいが死に絶えようとしていた。

・・・・・・それは佐伯の慟哭だった。

彼は自分の娘をただ生き返らせたいと願い、信じたくて狂気に走ってしまう。


・・・人は信じたいことだけを信じるのです。私は娘が生き返ると信じたかったから、信じた。

それはどんな親でも同じじゃないですかね」

信じるものは救われる。違う。信じるものが違ったなら、結果は違ったものになってしまう。

息が詰まるほど悲しい結末。

こんなこと繰り返していいわけないのに、誰もが他人事だと思ってしまう。


貫井 徳郎
慟哭

今この人にはまっている。

東野圭吾の小説は、今映画にひっぱりだこみたい。

それは原作の小説自体が、既に脚本のようにスマートにまとまりながらも、エンターティメントな演出がほどこされてて読みやすく、わくわくするからだと思う。

そして、現実感がある。


白夜行は、こわいけど切なく、悲しい。こわいというのは人間の魂がこうゆうことにもなりうるという現実。

核となる犯罪者の主人公である少年と少女の思いが、一行も自分の口から語られていないことが

また面白い。全てまわりの人間が見た印象や感想から二人の心を想像するしかない。


あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。

でも暗くはなかった太陽に代わるものがあったから。・・・・・・・・・・・・・

あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたのあたしには最初から太陽なんかなかった。だから失う恐怖もないの


でも彼女はその光も失ってしまうことになる.

それでも白い影法師のように生きていくしかない強さ。

東野 圭吾
白夜行

一番大切なのは、何をする時間ですか?

今、一番したいことは何ですか?

絶対手放せない、私の最優先(ファーストプライオリティー)なこと。


三十一歳の揺らぐ惑う、二十代にはなかった自分を形作るものが見えてくる

三十一人のショートストーリー。


他人からみれば、そんなことと笑われてしまうような理解されないようなことも

自分にとっては最大のこだわりだったりする。


私にも確かにある。ファーストプライオリティー。

でもきっと人に言えば笑われてしまうんだろなー。


山本 文緒
ファースト・プライオリティー

TV化もされたんでみなさんご存知の方も多いはず!

恐い顔だけど心優しいチョビ、気は荒いが姉御肌ネコのミケ、凶暴な雌鳥ヒヨちゃん

カサカサ動くだけでと何もいわないスナネズミ。


こんな楽しい動物家族がいたらいいいなぁー

疲れて帰ってきても

チョビが

著者: 佐々木 倫子
タイトル: 動物のお医者さん (第1巻)
著者: 佐々木 倫子
タイトル: 動物のお医者さん (第4巻)

あそぼ

ってきてくれたら癒されそう♪


北村氏の文章は淡々としているのに、やわらかなやさしさが感じられる。

 

さまざまな愛のかたちを描く短編集。

愛といっても、なんとゆうか心のなかにある意識しないやんわりしたとこ。

それぞれの話もやんわりして不思議。

 

表題でもある「水に眠る」は表紙イラストに惹かれたのと

この話がわたしにとってとてもリアル感が感じられた。

 

それは体の形に、上と下からわたしを覆うようだった。

    わたしそのもののようにわたしをくるみ、ただチリチリと切なかった。

 

水や空や空気につつまれている

意識的に無意識に感じとって生きていることを実感する。

著者: 北村 薫
タイトル: 水に眠る

愛って男からみても女からみても切ないものだと感じた。

4、5年前に映画化された。

映画を見てから小説を読んだけど、映像がとても綺麗だし、

俳優陣も皆役柄にぴったりで

どちらを先に見ても読んでも裏切らない出来栄え。

原作は江國香織と辻仁成。

”あおい”の言葉で江國香織が書きつづる赤の物語rosso、

”順正”の視点で辻仁成が描く青の物語blue。

 

あのとき交わした、たわいもない約束。

十年たった今、君はまだ覚えているだろうか。

私には、帰るというのがどういう意味なのかわからない。帰る場所。

それをずっと探していたような気がするけれど、一度も手に入れたことがないようにも思う。

 

出会っていてもすれ違ってしまう。

一緒にいてもすれ違ってしまう。

それでも願ってしまう。

想いを言葉に、言葉を大切にしないと人はきっと後悔してしまう。

 

著者: 江國 香織
タイトル: 冷静と情熱のあいだ Rosso(ロッソ)
著者: 辻 仁成
タイトル: 冷静と情熱のあいだ Blu(ブリュ)
著者: 江國 香織, 辻 仁成
タイトル: 冷静と情熱のあいだ
タイトル: 冷静と情熱のあいだ

 

 

 

もし私の大切な人が誰かに傷つけられたり、殺されたりしたら
私はどんな気持ちになってしまうのだろう。
その犯罪者を自分の手で復讐してやりたいと思うのか、
死刑してほしいと望むのか
社会復帰してほしいと願えることができるのか。。

法律は正しいのですか。本当に平等なのですか。
地位のある人もない人も、頭のいい人も良くない人も、金のある人もない人も
悪い人間は犯した罪に見合うように、正しく裁かれているのですか。
自分が  殺した行為は、罪なのでしょうか。
そんなこともわからない自分は、救いようのない極悪人なのでしょうか。


タイトルから連想されるような単純な話ではない。
二転三転と面白いほどに展開され、心の奥深くに染み渡っていくように
考えさせられる。
人は本当に無力だけど、だからこそ人に光も与えられるのかもしれない。




著者: 高野 和明
タイトル: 13階段

とても静かで丁寧で、やさしくわがままな小説。


その時の私にはなにもわかってなかったのだ。
健吾がどんな場所にいるかについて。
華子がどんな場所にいるかについて。
あるいはまた、私自身がどんな場所にいるかについて



自分の居場所を求めてやまない。求めて得られるようなものじゃない、
ずぶ濡れになるような贅沢。
そんなあたりまえに思えることの贅沢を一度味わってみたい。




著者: 江國 香織
タイトル: 落下する夕方