帰ったら子どもたちとのしばしの別れに未練が出て、ベソベソしてしまうのではないかと思い、最初は乗り気ではありませんでした。
だけど、それが今の自分ならそれを見られてもいいか、と思い直し、帰ることにしました。
家では、庭で子どもたちとスポーツチャンバラの練習をしました。模擬刀で居合も何本か抜きました
年末以来伸び放題だった髪の毛を妻がバリカンで刈ってくれました。
大学時代の部活の友人が家まで顔を見に来てくれました。
家族4人で夕飯を食べました。根菜類の煮っころがし、三種の刺身をみんなで分けてそれぞれ一切れ、合わせて三切れずつ、サラダ、土鍋で炊いたご飯、お味噌汁。とても美味しくいただきました。長男は、自分の刺身をわたしと妻に分けてくれました。自分でたべな、と言っても、あげたいんだ、と言いはりました。だから私たちはありがたくいただきました。次男はサラダが美味しいと言って、バリバリと食べていました。
食後に長男と、勉強のことを話しました。自分が何かを本気でやりたいと思った時に、その扉を開ける力をつけておかなきゃいけないよ、とじっくり話しました。
布団に入ったら体力不足からもうヘロヘロになってしまいました。
妻はアロマオイルで足裏のマッサージをしてくれました。「今日は帰って来てくれてありがとう」と言ってくれました。
今朝は真っ青な空。
子どもたちと朝食をとりました。秋にみんなで見たプロ野球の日本シリーズを思い出しながらみんなで他愛もない話をしました。学校に行く時間が差し迫っても、2人はずっとおしゃべりしていました。
みんなニコニコしていました。
学校に行く子どもたちを玄関で見送りました。2人は何度も振り返って、じゃあね、じゃあね、と言いました。
2人は以前わたしが言った、春にはお父さんは良くなるから、という言葉を信じ切っています。不安もあるに違いないと思いますが、その言葉を頼りにがんばっています。お父さんは、嘘をつくわけにはいきません。どんなに辛い思いをしても、裏切るわけにはいきません。あの子達がわたしを思ってくれる気持ち、わたしがあの子達を思う気持ちが自分の細胞の隅々まで行き渡って、自分の体を保たせていることを最近特に実感します。結局、子どもたちの前では涙は出ませんでした。
出発までの間、庭に出て木刀を振りました。下丹田で動くことを理解してからは、剣を振ることは自分の体の中心から末端に向けて、さらにその先の天と地とがひとつながりであることを確認するための重要な儀式になりました。
庭の梅を眺めました。はかなく白く、それでも存在を目一杯主張するかのように青い空を背景に咲いていました。

世界は、透明で静かで、暖かでやわらかかった。
満足しました。
わたしは家族と一緒で幸せでした。
満足しました。
いつかは別れを告げなければいけないと、そう考えても、
それでもわたしは充分に満足でした。
これ以上に幸せを求めるのは、あまりに身勝手というものです。