盛夏を迎え、俺のすむ愛知県長久手は「セミ」の鳴き声でうるさい。 鳥といいセミといい、鳴き声に包まれると「自然が戻って来たか」という思いになる。なんか一時より増えてきたようで環境汚染が静まったせいだとすれば嬉しい。 ただ俺にとって「夏が来れば思い出す」音声、、ミンミンゼミが聞こえないのだ!
相撲の呼び出しに似て、最初に「ミーン」と長く澄んだ声を響かせそのあと「ミン、ミン、ミン」と短く区切って音を続ける。 朗々と大きい音を響かせて鳴きだすと、あたりの蝉の声が静まる。女王様のように気高いしぐさで羽を震わせ、お腹をいっぱいに使って辺り一面に響き渡る。アブラゼミやニイニイゼミの濁った一本調子の聞きづらい音色とは大違いだ。昼間「ミンミンゼミ」に聞きほれ、夕に「ヒグラシゼミ」の単調でものさびしげな声で一日を終える。これが夏の「風物詩」と言わずして何があろう。 ところが名古屋には、長久手には、ミンミンゼミが聞こえない! 今までサラリーマン時代気にも留めなかったが、久しぶりにこちらで落ち着いて夏を過ごしてみて分かったことだ。
ネットで調べてみると、本当に名古屋地方には居ないという!暑すぎる夏のせいらしい! 西日本でも山間部では何とか見られるそうだ。主な生息地は東京を含む東日本の沿岸地帯。夏が東風で涼しい地域に限られるという。。
また、日本海側は冬、湿気がありすぎてあまり育たないそうだ。、、、じゃ何故「豪雪地帯の会津にはいるのだろう?
唯一考えられるのは日本海の湿った空気が飯豊山脈で叩き落され、一種の空っ風に変化して会津に吹いてくるせいかもしれない。 気候のせいだったとは! 「ミンミンゼミ」や「ヒグラシ(日暮し)」の声を聴いて育ったのはとっても運が良かったのだ。
さらに調べてみると大陸や他所の国では鳴き声が違うという。 最初の「ミーン」がなく「ミン、ミン、ミン」だけらしい。透き通ったあの美声が最初に来ないとは、締まりのない話ではないか?
夏、観光を思い立ったら一回会津や仙台に来て観て欲しい! 君はきっと嘘でなくオペラの女性ソプラノ歌手のさえずりを聴くことができる事だろう! それが「ミンミンゼミ」だ!
セミは7年間土中で育ち、たった7日間の浮世生活で一生を終える。人間に比べても哀れすぎる。はかない一生だ。でもその七日間、精一杯歌い続け、子孫を残してこの世を去る。
心して聴こう! ミンミンゼミの唄を!