初恋、は人生における最も美しい思い出のひとつとして語られることが多いけれど
# 初恋
のハッシュタグをいくら検索しても
自分の情報を検索することが出来ない。
Googleに 自分の名前と半角スペースと初恋を入れてEnterを押しても
何も見つからないのだから、初恋はなかったのかもしれない。
と、ぐだぐだつまらない言葉を並べるのはやめて、以下回想
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# 小学校2年生
冬の寒い日の朝
教室はストーブの熱気で満たされて
顔を赤く染めた子供たち
いつもより少し高揚感のある教室
ガラガラッ
初老の女性が教室に入ってくると
子供たちのキラキラした視線が一斉にその女性を見つめる
「起立」
「きをつけ」
「礼」
魔法の呪文で教室は女性教諭の指揮に従う
慣れた様子でホームルームを進める
優しい目をしながら厳しいことを言うような女性教諭は
子供たちの期待にせかされるように
「それでは、席替えをします。」
求められる言葉を口にする。
教室の熱気は増し
ストーブは高揚する中
この日を心待ちにしていた何人かの一人である
ぼくは思う
「あの子のとなりになりたい。」
これが2年生での最後の席替えであることを僕は知らなかった
けれど、何となく分かっていた
これがさいごのチャンスだ、と言うことを
黒板には白のチョークとピンクのチョークで
人数分の四角形が並んでいる
四角形の中には数字があって
そこにはまだ誰の名前も書かれていない
順番にくじびきをひく
ぼくは、
白の四角形とピンクの四角形が交互に並ぶ黒板を見つめて
小さな手を
グー パー グー パー していた。
やっぱり、ぼくは
仲のいい友達の近くよりも"あの子"の隣になりたかった。
くじびきが進む
ぼくのじゅんばんが来た
すっと席を立ち、くじを引く
何気ない表情を取りつくえない不安と期待でいっぱいの
その顔が紙に書いてある番号をこっそりとのぞきこむ
二桁の番号があった
引いたくじを握りしめ、もう一度願いをこめる
そして
クラス全員がくじを引き終える
もちろん
あの子も含めて
先生はいつものように声をかける
「じゃあ、男子はみんな廊下に出て下さい。」
ぼくは廊下に移動する
運動会で徒競走を走る前の気持ちに似ている
その感情を抑えきれないのは
ぼくだけじゃなかった
「ぜってーあいつのとなりにはなりたくない」
「そーだよなー」
「おれはあいつはいやだな」
そんな声が聞こえてくるが
教室の中の
つくえの音
いすの音
それが気になって仕方なかった。
しばらくすると、教室が落ち着いたのがわかる。
先生が教室のドアをあける
「男子は教室に入って自分の番号の席に座ってください。」
誰が最初に教室に入るかを牽制するよりも
期待に背中を押された男子達が教室に入っていく。
誰かにあの子の隣がとられてしまうような気がして
ぼくもそれに続く
続々と
席が決まった子供たちは
新しい席へと座っていく
ぼくも新しい席に座って
「おまえのとなりかよ、さいあくだわ」
となりの女の子にそう言って
黒板をみる
自分の名前と
その隣にある、あの子の名前をみて思わずにやけた。
おわり