盆休みも終わり通常の道場が始まった。
北川先輩は茶帯の寮生で草食系というか、穏やかで優しい先輩だった。
そんな北川先輩が月曜日のスパーリングで田原先輩のハイキックでKOされた。
完全に失神のKOだった。
そしてその次の日に北川先輩はいなくなった。
峯岸先輩にスパーリングのたびにムチャクチャにやられて毎回KOされていて、あとで聞いた話では『あいつは寮生なのに弱すぎる。 俺が追い出してやる』と峯岸先輩は言っていたそうだが、
私は白帯から青帯の頃で、茶帯の北川先輩とは、まったく話す機会はなかったが、倒されても頑張る北川先輩が好きだった。
北川先輩を見なくなり寮生の大野さん、石田さんに聞くと
『俺達が止めたのですが、田原先輩に倒された日に出て行きました。』
とのことだった。
初めて経験する先輩の離脱に悲しい気持ちだったのを忘れない。
北川先輩はその後も大道塾を見ていたのだろうか?
北川先輩はその後の私を知っていたのだろうか?
知っていたなら、あの白帯の高校生がチャンピオンになったのをどう思ってくれたのだろうか?
北川先輩、今どうされていますか?
次回・・・1995年の話58~合宿と新人戦の巻