今日は、どうやって番組が進行していったのか全然掴めなかった。
無意識を意識して、ただ目の前にある情報だけに集中して、他のことは考えないようにした。
でないと…。
「櫻井キャスター」
そう呼ばれるたびに車の中の智くんが思い出されてたまらなくなりそうだったから。
番組が終わり挨拶をして衣装を脱ぎ捨てると反省会はまた後日と足早に駐車場へ向かった。
もう俺の誕生日は過ぎたけど、智くんが待っててくれる。
いつもカメラの向こうで智くんが観ててくれると思うと頑張れた。わかりやすいように伝えようと努力した。番組が終わってメールが入ると、やっぱり今日も観てくれてたんだって嬉しかった。
ぶっちゃけ今日、これから智くんに会って
お仕置き
されたらどうしようって気持ちもあるけど。自分がどんな顔してたかなんてわかんねーし、考えないように出来たつもりだけど撮影の時だって無意識に撮られちゃってたわけだし。
でもなんか。
久々に「人に情報を伝える」って事に集中できた。いつもはいろんな事考えながら取り組んじゃう所があるから。カメラの映り方とか、話し方とかそれこそ智くん見てるかなとか。そういう余計な事を一切そぎ落として、報道にどっぷりハマれた。
だから改めて智くんに感謝したくて。
経緯はどうであれ、俺にこういう状況をくれたのは彼だから。
これも計算だったのかな?ーーんなことないか。あの人そういうの考えなさそうだもんな。
嬉しいのと、審判はどう下るのかなって不安と、何かもう、抱かれてもいいかなって思う気持ちと(笑)
いろいろ抱えながら愛する人が待つ場所へ帰る。
「んっ」
玄関を開けて早々に抱きしめられて、キス。
「今日の翔、すっごいかっこよかったーー」
俺の肩に顔を埋めていっそう強く抱きしめてくれる。
「ははっ、ありがとう///……てか…ただいま。」
ぱっ!って、智くんが顔を上げた。
「そうだね……先にそっちだね。ふふっ…おかえり、翔」
ふにゃんって笑いながら俺を見つめる。もう一度ふふって笑って、唇が重なった。
すぐに舌が入ってきて、お互いひとつになっちゃうんじゃないかっていうくらい絡まりあった。
「んふふ、ここ玄関だよ。」
「サカってんねー、お互い(笑)」
2人で笑ってリビングに行く。手はしっかり繋いで。なんだか久しぶりに智くんに会った気がするな。呼び捨ては相変わらずだけど、表情や言葉遣いがいつもの智くんだ。
やっぱこっちのがホッとするわぁ。
俺が着替えてる間にシャンパンとケーキを用意してくれた。
2人でソファに座って乾杯する。
「翔ちゃん、誕生日おめでとう。」
「ありがと智くん。大好きだよ。」
「っ!///……俺も///」
不意打ちに顔を赤くしてにやける。
「照れるだろぉ」
そう言いながらシャンパンを一気に飲む智くん。すごくかわいい。いつまでたってもこういうのに慣れないんだよな。だから何度でも言いたくなる。
「すごく好き……。ずっと一緒に居たいな。」
後ろから抱きしめて、耳元で呟く。
みるみる耳が真っ赤になって、俺にもたれながら黙ってる智くん。
「ん?」
覗き込むと
「んっ?」
同じように返してくる。でも、顔が。キラキラの目と嬉しくってたまらないって口が、返事してくれてるよ、俺に。
「智くんは顔で会話するんだな。俺もって聞こえた。」
そう言って首元に顔を埋めた。
「んっ……うん。一緒にいたい……ね///」
顔を見なければ、こういう事も返事してくれる。
「そいえばさ、攻めの智はもういいの?今日の俺、顔大丈夫だった?」
智くんをこっちに向かせて覗き込んで聞いてみる。
「あ、うん(笑)大丈夫だったよ。かっこよかった、すごく///……本当はさ、してなくてもあの顔してたよって言って、その…襲っちゃおうかと思ったんだけど……」
恥ずかしいのか、俯いて喋ってた智くんはちょっと黙った後にがばっ!って俺の方を向いて
「今日の翔ちゃんめっちゃかっこよかったんだよ!全身でニュースを伝えようとしてるのが感じれてさ。そんなに真剣にやってる仕事なのに、あんなふざけた事言っちゃって……ごめんっ‼︎」
言い終わるのと同時に頭を下げられる。
びっくりして、嬉しくて、ちょっと固まってたら
「……許してくれる⁇」
下からそぅっとこっちを覗いてくる。
もーーっ‼︎この人はっ‼︎
思いっきり抱きしめて、ぎゅんぎゅんにチカラ入れてやる。
「いだっ!ちょ……しょうちゃん、、いだいっ!」
「俺は感謝こそすれ智くんに謝ってほしい事なんてひとっつもないよ!もう!ほんっとに好きっ‼︎どんだけ俺を好きにさせるのっ!」
そう言って顔を見る。あまりに強く抱きしめたからか、すごい、痛そうにして顔真っ赤なのに軽く睨んでくる智くんが面白くって。
そのままおデコにチューして、俺の思ってた事を話した。
俺も今日の仕事は充実出来たって。それは智くんのおかげだって。