日本原子力研究開発機構=JAEAなどが、避難区域で行った除染のモデル実証事業で、地元の了解を得ずに除染で出た排水を川などに流していたことがわかりました。
その量は少なくとも1千186トンに上ります。
JAEAは南相馬市を訪れ、当時の状況などを説明しました。
日本原子力研究開発機構=JAEAなどによる除染のモデル事業は、2011年11月から去年の6月にかけて、当時、避難区域だった12の市町村で行われました。
作業で出た排水は地元の了解を得ずに川へ流していて、南相馬市では、小学校の除染で出たおよそ340トンの排水が近くを流れる飯崎川へ流されていました。
さらに、富岡町ではおよそ740トン、大熊町と葛尾村では、およそ40トンなどと、また、田村市や広野町、楢葉町では6トンから10トンと、少なくとも1,186トンを側溝などへ流していたことが新たに分かりました。
JAEAでは、「排水は事前に放射性物質を取り除く処理をしていた」としたうえで、「当時の飲料水の国の暫定規制値を1リットル当たり200ベクレルを下回っていて問題がないと判断した。地元へも口頭で説明した」としています。
しかし、県や南相馬市は「どこに流すのか詳しい説明はなかった」と話しています。
この問題について環境省は「当時は明確な排水の基準がなく、作業としては問題がなかった」としています。
しかし、地元の住民は…。
*南相馬市民インタビュー
「早く帰りたいけど、そんな状態では、帰れないわね」
「みんな汚れたの、結局、汚染されたの、下水に(排水を)流して、流して汚されたら、なんにもならない」
この問題を受けて、JAEAの担当者は午後5時過ぎに南相馬市役所を訪れ、当時の状況などを説明しました。
桜井市長は、「汚染水の問題で住民は疑心暗鬼、きちんとした説明が必要」などと述べました。
一方、佐藤知事も国へ情報の開示を求める考えです。
*佐藤知事
「このようなことが事実であれば誠に遺憾だと思っております。国にも事業者にも除染についての情報の開示を迅速にするよう、全てを開示するよう申し上げていきたい」
<出展:http://www.fct.co.jp/news/>