あんまりにもひどすぎる新聞記事があった。
マイナーであるが、全国紙である、「
日本農業新聞 2011年10月24日」付
一面トップにある「論点」の記事が突っ込みどころが、満載で困っちゃう。
(引用) 論点 -新の安全・安心とは- 国産の意義 消費者に
ノンフィクション作家 島津菜津
先日、近所に住む友人が「オーストラリア牛って、この辺でどこに売っているか、教えて」と電話で尋ねてきた。正直、がっかりした。国内産は東京電力福島第1発電所事故の影響から放射能汚染が心配だというのだ。風評被害に価格の下落と二重苦の農家に、なんというふがいなさだろう。
「風評」で窮地に
日本人は、今、“安全・安心”の袋小路に迷い込んでいる。だが、そもそも安心・安全とは何だろう。
数日前、愛媛県西予市の、冬にはかまくら祭りも出来るほど積雪のある大野ヶ原の開拓村を訪れた。避暑地とはいえ、冬の寒さの厳しいこの地域だが、今後、山村が高齢化からどんどん減ると懸念される時代に、村の7割が営む酪農を中心に食べていける農業を模索してきたこと、集落のまとまりの良さから、今も後継者が育ち、長年、子供が減っていないのである。
その大野ヶ原開拓組合の組合長である武田孝司さん(59)は、2005年から黒毛和牛経営に切り替えた。ブナの原生林も残る、標高1400㍍の高原という素晴らしい環境も相まって、その肉は高い評価を受けている。2人の娘を育て上げた武田さんも、一時は跡継ぎを諦めていた。それがまず、次女が大阪から帰郷、夫が婿入りをして家業を継いでくれた。やがて長女一家も東京からUターン。農業経験も無い旦那さんも空き家を借り、肉牛を育て始めた。気がつけば孫が9人の大家族になった。
ただ、ショックだったのは、その武田さんでさえ、今年は肉の値が下がって苦労したという。北海道の襟裳岬で放牧牛を育てる人も「今年は例年の3分の2」と肩を落としていた。
まったく、私たち消費者は何をしているのだろう。
“安全な輸入肉””安さは味方“という売り文句に惑わされていては、本物の安心・安全を支える国内の生産者たちを窮地に追いやるばかりだ。
武田さんも「消費者は本当にわがままだ」と漏らした。「ついこの前までは、安全・安心な国内産といっていたかと思えば、今はもう……。わかってほしいですね。農家も努力しているということを」
農を守る正念場
残念ながら、私の周囲でも、国論を二分する議論が起きている環太平洋経済連携協定(TPP)の国内生産者への脅威について、ぴんときている人は5%もいないだろう。苦難続きの農である。だからこそ、言葉を尽くし、目と目を合わせて、訴え続けていかなけらばならない。
「漫然と、広告に流されて食べ物を買い、よく調べもせず放射能汚染への不安から国内産を退けることでは、自給率は一層低下する。将来、食糧危機さえ招きかねない。農がこれ以上、疲弊すれば懐かしい里山は消え、水を溜め、魚を育てる森も消える。大野ヶ原の逆で、大人はいつも浮かない顔の国から、若者だって消えるだろう」と、私もオーストラリア牛の友人に言うべきだった。
(引用終わり)
引用って疲れますね(笑)。
さて、問題がてんこ盛りだぞ、この記事。
まず、全体的に見て東電や政府の失態(原発管理・政策・初動対応の不備)を一般人の被曝という形であがなう事を是認しているとしか言いようが無いですけど??
さらに、最後の段落に「よく調べもせず放射能汚染への不安から国内産を退けることでは、自給率は一層低下する。」とある。
最近になって航空機で放射能飛散状況のデータが出てきたんだよね。調べる基本データーが無かったじゃないんですかね??
しかも、初動対応では牛の表面のモニタリングしかしてなかったですよね?
で、稲わら→牛と放射能が吸収されて今日に至るわけですよ。
検査をやっても、“ざる”だったわけだよね??
だったら、消費者が過敏に反応するのも理解できるのでは?
経済行動として、至極当たり前であると思いますよ?
確か、外務省は省令か何かで「外国にむやみに安全ですと宣伝しないよーに。」とか通達しているんですが??
1万歩譲って安全であっても、福島から遠い愛媛の産地を引き合いに出して、すべての安全性を担保するかのような書き方は問題でしょ?
しかも冒頭では、買わない人は不甲斐ないときている。
この人は御用ですか??(笑)
5個中1個わさび入りシュークリームを食べるロシアンルーレットじゃないんだから。ホントに命がけだぞ??
もうね、初動対応を間違えちゃっているんだから、何いってもかわらんだろね。
やるんだったら、
・暫定規制値を引き下げて、ちゃんと今までの基準との整合性を説明。
・ 除染、モニタリングの強化
(市役所に食品や肥料を調べるベクレル課、畑の放射線量を調べるシーベルト課を作る)
・サンプル数をもっと増やした検査。
・トレサビを厳重管理。
・上記二つの違反者の厳重処罰などの法整備。
・原発実害被害者農家をしっかり保障、生活再建を国が担保して行なう。
をやった上でなら、みんな食べるだろうね。
もっというと、このノンフィクション作家さんは農家さんの健康を考えていないですよね?
「放射能がある→放射線がある→それは畑→農家は一日の大半を畑で過ごす→被爆をする」って考えちゃったんだけどねぇ。
そんなに自給率云々言うなら、その前に新聞紙面で畑の除染や線量計測を推進せよ!とか書かないのかしら??農家いなかったら食べ物できないんだし。