何の試練ですか。
先週のできごと。
土曜日、休日出勤でくたくたになって帰ったら、
電気が止まっていた。
間違いなくオフィス受付の私2人分みたいな人に電気代は払っていた。
血糖値が日本人平均の65万倍の彼女に渡した。
なのに、ドアの隙間から、
お前は先月も今月も電気代払ってねーから止めてやったった!
やったった!
と言う手紙が入っていて、
ライフラインを止められた。
あいつが電気代を払っていなかった。
とりあえず冷蔵庫に向かって、
宝物の、パナソニックの懐中電灯にもなる充電器を懐中電灯にして、
買ったばかりのチキン、日本から持ち帰った大切なウェイパーやわさび、
マミーからの大切な救援物資、
それからキッコーマンのお醤油をまとめてご近所の同僚に預かってもらう。
日本人が近くにいるだけで少し救われる。
お金で済むことじゃない。
ウェイパー重いんだから。
簡単に送ってもらえないんだから。
そこからその請求書の案内に従ってとにかく携帯で支払う。
オンラインで再支払いをする。
英語のサイトで支払う。
電気が来ない。
あのー払ったんだけど私、2回も。
って電話すると、ヒンディー語で何かをまくしたてられる。
暑いのと冷や汗ともうわけわからんぐらいの汗だく。
何ですかこれ。
会社の人事に助けろと電話をしたところ、
週末なのですぐに電気は来ない、だからお前はゲストハウスに行けと言う。
お迎えが来て、同居人のブラジル人と一緒にゲストハウスへ避難。
そこにはすでに日本人が一人滞在中で、
ベッドルームは2つしかなくて、
もうとりあえずやけ酒だよね。
「これがインドだやっほー」とか言いながらもうやけ酒。
ブラジル人が「あたし南米の女だからテレビあったがいいからここでいいよ」
と言ってソファで寝てくれた。
そのゲストハウスに水が来ない。
外は地獄みたいな大雨なのに水道は来ない。
なにこれ。
私、何かしましたか?
そりゃあ、
たまに弟どついたり、
502は悪くないのにホルモンバランスのせいにして無視したり、
牛も鶏も豚も食べるし、
蚊を退治するベープみたいなやついつもオンだし、
ラマダンで断食中のせいで水も飲めないムスリムの同僚に、
「回鍋肉食うか?」って持ってったりするし、
30過ぎてるのにマミーにお抹茶送ってくれなきゃグレちゃうよとか言うし、
悪いこともたくさんしているよ。
だけど滝みたいな雨のムンバイで、電気も水道も無いってありますか。
何の試練ですか。
水の出ないゲストハウスで2晩、
頭かゆい!って言いながら、
日曜にふらっと日本人と向かったフォーエバーで要らん服をまた大量に買って、
化粧品もお靴も買って、エステまで行って、
自分を騙す。
そう、こんなもんだって。
地獄みたいな週末にどっと疲れて、
やっと月曜日に届いた電気に心から感謝して、
日本に帰りたくて、
日本人ばっかでご飯したりして、
で、よけい日本に帰りたくなって、
何もかんも流される様な雨に打たれて、
コーランに「うるせー!」って毒づいて、
「多分アラーの神すらうるさいって思ってるよ」ってムスリムに日本語で伝えて、
マミーのお抹茶や柿の種だけで日本とつながって、
で、やっとちゃんとお休みできる週末がやってきた。
助けてってあまりに言うもんだから、
私に貢ぐことが幸せなご両親からまた救援物資が届いた。
中身の物資の何倍かの送料を掛けて。
お抹茶に、緑茶に、わらびもちのもと。
お酢と、ホワイトチョコレートと、わさびの味の何か。
これでちゃんともう少しは生きてける。
私はいつだって日本に帰りたいって思ってるんだ。
で、外は地獄みたいな雨。
相変わらず。
もう本当全部流れされてしまえ。
コスメティック/林真理子

ある程度の長編でここまで主人公を好きになれないってありますか。
しかも30を少し過ぎて、
仕事にとにかく邁進するかっこいいキャリアウーマンで、
別に悪いことをするわけでもないんだけれども、
もう読書中ずっと
「気まずいことになってしまえ」
「不倫がバレてしまえ」
とかずっと不利な方へ行けばいいのにって思っていた。
登場人物全員好きになれない。
何だかこう、私はよくしらないけれどもが、
トレンディドラマが幅をきかせて、
週末は軽井沢、
え、どうしてDCブランド着ないの?って言う人たちの、
そう言うにおいがして好きじゃない。
そのバブル世代とこれからのゆとり世代に挟まれて、
辛酸だけを舐めるしかなかった私たちの、
ぽっかり空いて呼び名も付けてもらえず、
ただキレやすいだの何だのと言われて、
その私たちの、
それでも平気なふりをして生きるしか無いことのその意味を。
とにかく本はおもしろかったけど好きじゃない。
林真理子が好きじゃない。
土曜日、休日出勤でくたくたになって帰ったら、
電気が止まっていた。
間違いなくオフィス受付の私2人分みたいな人に電気代は払っていた。
血糖値が日本人平均の65万倍の彼女に渡した。
なのに、ドアの隙間から、
お前は先月も今月も電気代払ってねーから止めてやったった!
やったった!
と言う手紙が入っていて、
ライフラインを止められた。
あいつが電気代を払っていなかった。
とりあえず冷蔵庫に向かって、
宝物の、パナソニックの懐中電灯にもなる充電器を懐中電灯にして、
買ったばかりのチキン、日本から持ち帰った大切なウェイパーやわさび、
マミーからの大切な救援物資、
それからキッコーマンのお醤油をまとめてご近所の同僚に預かってもらう。
日本人が近くにいるだけで少し救われる。
お金で済むことじゃない。
ウェイパー重いんだから。
簡単に送ってもらえないんだから。
そこからその請求書の案内に従ってとにかく携帯で支払う。
オンラインで再支払いをする。
英語のサイトで支払う。
電気が来ない。
あのー払ったんだけど私、2回も。
って電話すると、ヒンディー語で何かをまくしたてられる。
暑いのと冷や汗ともうわけわからんぐらいの汗だく。
何ですかこれ。
会社の人事に助けろと電話をしたところ、
週末なのですぐに電気は来ない、だからお前はゲストハウスに行けと言う。
お迎えが来て、同居人のブラジル人と一緒にゲストハウスへ避難。
そこにはすでに日本人が一人滞在中で、
ベッドルームは2つしかなくて、
もうとりあえずやけ酒だよね。
「これがインドだやっほー」とか言いながらもうやけ酒。
ブラジル人が「あたし南米の女だからテレビあったがいいからここでいいよ」
と言ってソファで寝てくれた。
そのゲストハウスに水が来ない。
外は地獄みたいな大雨なのに水道は来ない。
なにこれ。
私、何かしましたか?
そりゃあ、
たまに弟どついたり、
502は悪くないのにホルモンバランスのせいにして無視したり、
牛も鶏も豚も食べるし、
蚊を退治するベープみたいなやついつもオンだし、
ラマダンで断食中のせいで水も飲めないムスリムの同僚に、
「回鍋肉食うか?」って持ってったりするし、
30過ぎてるのにマミーにお抹茶送ってくれなきゃグレちゃうよとか言うし、
悪いこともたくさんしているよ。
だけど滝みたいな雨のムンバイで、電気も水道も無いってありますか。
何の試練ですか。
水の出ないゲストハウスで2晩、
頭かゆい!って言いながら、
日曜にふらっと日本人と向かったフォーエバーで要らん服をまた大量に買って、
化粧品もお靴も買って、エステまで行って、
自分を騙す。
そう、こんなもんだって。
地獄みたいな週末にどっと疲れて、
やっと月曜日に届いた電気に心から感謝して、
日本に帰りたくて、
日本人ばっかでご飯したりして、
で、よけい日本に帰りたくなって、
何もかんも流される様な雨に打たれて、
コーランに「うるせー!」って毒づいて、
「多分アラーの神すらうるさいって思ってるよ」ってムスリムに日本語で伝えて、
マミーのお抹茶や柿の種だけで日本とつながって、
で、やっとちゃんとお休みできる週末がやってきた。
助けてってあまりに言うもんだから、
私に貢ぐことが幸せなご両親からまた救援物資が届いた。
中身の物資の何倍かの送料を掛けて。
お抹茶に、緑茶に、わらびもちのもと。
お酢と、ホワイトチョコレートと、わさびの味の何か。
これでちゃんともう少しは生きてける。
私はいつだって日本に帰りたいって思ってるんだ。
で、外は地獄みたいな雨。
相変わらず。
もう本当全部流れされてしまえ。
コスメティック/林真理子

ある程度の長編でここまで主人公を好きになれないってありますか。
しかも30を少し過ぎて、
仕事にとにかく邁進するかっこいいキャリアウーマンで、
別に悪いことをするわけでもないんだけれども、
もう読書中ずっと
「気まずいことになってしまえ」
「不倫がバレてしまえ」
とかずっと不利な方へ行けばいいのにって思っていた。
登場人物全員好きになれない。
何だかこう、私はよくしらないけれどもが、
トレンディドラマが幅をきかせて、
週末は軽井沢、
え、どうしてDCブランド着ないの?って言う人たちの、
そう言うにおいがして好きじゃない。
そのバブル世代とこれからのゆとり世代に挟まれて、
辛酸だけを舐めるしかなかった私たちの、
ぽっかり空いて呼び名も付けてもらえず、
ただキレやすいだの何だのと言われて、
その私たちの、
それでも平気なふりをして生きるしか無いことのその意味を。
とにかく本はおもしろかったけど好きじゃない。
林真理子が好きじゃない。