「じいちゃん、死んじゃったよ。居なくなっちゃった。」

泣きながら私にそういった祖母は、やけに小さく見えた。

身近な人の死を体験したのは、この時が最初で、私はまだ中学一年生だった。

父が学校に連絡を入れたらしく、祖父の訃報は先生から聞いた。

「お前がしっかり手伝ってやれよ。」

祖父の訃報と一緒に先生に告げられた。なんだよそれって思ったけど、今思えば、嘘くさい励ましの言葉とか、同情の言葉とかをかけられるよりはよっぽどましだった。

祖父はなんの予兆も無く死んだ。急な出来事だった。

いや、本当は病気だったのかもしれないし、ずっと具合が悪かったのかもしれない。ただ、祖母の手を握ったまま、朝目覚めることはなかった。

死装束を着た祖父の周りで、母や祖母が泣いているのを見て、人って本当に死ぬんだなんて考えていた。ドラマみたいだと思った。ありきたりな設定で嘘くさいとも思った。心の底から自分が嫌になって、私はこの部屋にいてはいけないなと感じて1人で部屋を出た。

 遺影の写真を選ばなくちゃいけないんだと祖母が言い、祖父の写真を持ってきた。

「最近は写真撮ってなかったから、いい写真ないかもね。」なんて言って渡された写真は本当に少なく、結局20年くらい前の写真が遺影になった。背景を青空に加工してもらったその写真はやけに祖父の死を強調しているようでわざとらしかった。お通夜や葬式に来てくれた祖父の知り合いにたくさん話しかけられた。その全てがテンプレのように感じて、悲しくなった。お葬式終わりの外は土砂降りの雨で、全てがドラマみたいだった。