田中さん「中和田さんは、どこの大学に出られたの？」

僕「はい。僕は大学に行っていません」

田中さん「あらそう…高校はどちらへ」

僕「はい。牛久高校に行きました」

田中さん「東洋大牛久高校？」

僕「いえ、県立牛久高校です」

田中さん「あらそう…」

そこで話しは終わり、また違う話しに流れました。

数日後、話しの流れで田中さんは言いました。

「大学行かない人っているじゃない。もう人生が終わったものよね。」

あれ？先日大学は行ってないって言ったよな？

「はぁ…」

「公立の高校って、貧乏で下品な人が集まるじゃない。

うちの娘には絶対に行っちゃあダメって言ったのよ。」

あれ？先日、県立高校出たって言ったよな？

「はぁ…」

田中さんとの付き合いはずっとそんな感じでした。

すぐにイヤミを言うのではなく、数日後とか、

前もって僕の情報を聞いてからイヤミを言うのです。

僕が一番最初に買った車は、15万円の中古車。

バイトして自分で買いました。

聞かれたので答えました。

それから数日後

「息子には大学入学祝いにベンツを買ったのよ。

それが親の愛情じゃない」

「はぁ…」

僕は腕時計をしていませんでした。

聞かれたので「持ってません」と答えました。

それから数日後

「まともな男の人はまともな腕時計をしているわよね。

安い腕時計の男の人はたいてい仕事できない人よね」

「はぁ…」

もう覚えていませんが、そのイヤミは3年間続きました。

イヤミのボキャブラリーはものすごいもので、ある意味、とても頭が良いとさえ感心しました。

僕はセラピストです。

そこでいちいち心を乱していたらセラピスト失格。

僕はそう思っていました。

僕はセラピストです。

ここまで僕にイヤミを言うのは甘えている証拠。

イヤミを言うことで、過去のトラウマを解消しているのかもしれない。

そのトラウマを解消することで、デトックスしているのかもしれない。

週に2回〜３回、僕は田中さんに呼ばれては出張の施術に行っていました。

いろんな言い訳を自分にしながら、田中さんを悪く思わないように努力していました。

当時の年収が400万円くらいです。

そのうちの100万円が田中さんからの収入です。

とても大きかったです。

悪く思っていたら、とても付き合えません。

嫌と思ったら何事も続かない僕です。

嫌と感じたら、身体に触れたくはないと思うでしょう。

「感謝すべき感謝すべき感謝すべき」

そうやって洗脳してきました。

僕はどうにか自分に言い聞かせて、モノゴトを綺麗に収めようとしていました。

しかし本当は、100万円の収入を切らしたくなかっただけです。

なので、電話の表示に田中さんの名前が出ると、途端にズンっと心が重くなりました。

そしてその日一日、心が重くなりました。

妻には最初、何も言いませんでした。

イヤミを言おうが何だろうが、生活を支えてくれている大きな存在である事には代わりありません。

少しでも悪く思われたくなかったのです。

しかしある時に言いました。

もう疲れたのです。

3年お付き合いしてきて、ポジティブに考えられなくなりました。

「もう仕事は受けない方がいい」

妻は即答でした。

収入が1/4減ったとしても受けない方がいい。

「そんなモヤモヤした気持ちで他のお客様の身体に触れていたら、それはお父ちゃんを信頼している人に対して失礼だよ。

そして田中さんにとっても良くない。」

僕は何も言わずに、田中さんの電話を無視する事にしました。

何度も来る電話を無視し続けました。

イヤミ（攻撃）に対して、攻撃で返すのはセラピストではない。

同じ土俵に立ったら、それは田中さんと同じようなもの。

かと言って、冷静に話したところで、理解してもらえるとは到底思えませんでした。

あまりにも価値観が違います。

ただ怒らせるだけだと思いました。

ギャフンと言わせたい訳ではありません。

その前に、もうとにかく関わりたくないが勝ちました。

気持ちが切れたら、声さえも聞きたくありませんでした。

もう、とにかく疲れたというのが本音です。

それから40万円だった収入が30万円になりました。

家のローンやら、開業時の借金やら、けっこう大変になりました。

しかし、心が軽くなりました。

心が軽くなったら、新しいお客様が来るようになりました。

悪い流れを切ったら、綺麗な流れが来ました。

それから年々、収入は上がっています。

感謝しあえるお客様に恵まれています。

あの時、年間100万円の売り上げに執着して田中さんと付き合っていたら、今はもうサロンは潰れていたと確信しています。

心が汚れまくりました。

お金は大切ですが、それよりも大切なのは、どのような人と縁を持つのか？

目の前のお金を優先するのではなく、どの人と縁を持つのか？

どこにお金を遣うのか？

どこに出かけるのか？

それを優先させる事が、結果的にお金を運んでくれると身をもって体験しました。

田中さんは当時６０後半。現在は７０後半です。

どうしているのか、さっぱり分かりません。

田中さんのおかげで、「お金を優先させる事が、一番お金を失う」という事を、身をもって体験をさせてもらえました。

イヤミばかりを浴びせられた3年間でしたが、戴いた料金で生活していた事には代わりありません。

やはり有り難い存在です。

もう生涯会う事はないと思いますが、今はあの経験全てに感謝できています。

そして田中さんにも、身をもって体験して欲しいです。

「中和田オサムという存在を、人生から失った多大なる損失を」

こう言うと本当におこがましいですが、僕という存在を失う事はかなりの損失です。

このような言い方をするのは、僕を信頼してくれている人に対しての敬意です。

僕を「価値ある存在」と認めてくれている人に対して、僕自身が「価値のない存在」とか言うのは、とても傲慢で自分勝手。

人間は1人で生きているのではありません。

たくさんの人に支えられ、たくさんの人からの信頼で成り立っています。

自分の身体や魂は、自分だけのものではありません。

そこには現在・過去・未来

たくさんの愛情や信頼で出来上がっています。

自分を汚す言葉は、自分だけでないたくさんの人を傷つけるようなもの。

ここまで読んで下さった方々は、僕にとって価値ある存在の人です。

あなたの身体には、中和田オサムの信頼と感謝が入っています。

あなたが自分をバカにしたり傷つける事は、僕をバカにしている事と変わりない。

それを、頭の片隅に置いて欲しいです。

最後までお付き合い下さり、心から感謝いたします( ´∀｀)

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