さあ出かけよう!


車のエンジンをかけようとしたところでメールの受信音が鳴った




「今朝、父が他界致しました。本当に本当にありがとうございました」




他界した左藤さん(仮名)のお嬢さんであり、夫婦共通の友人である真由さんからだ


しばし、真っ青に晴れた空を見つめ茫然とした


とても空気が冷たい朝だった


真っ青な空…


本当は真っ青な空なんかじゃないな…


どちらかと言えば水色だよ、空は…


水色は近年好きになった色


そんな水色した空に向かい、佐藤さんは旅立った





3ヶ月前から毎週、僕は全身麻痺の左藤さん宅に伺い、オーガニックオイルで足裏と手のマッサージをしていました


医師から「回復は難しい」と言われていた状況でしたが、完全自宅介護で奥様は全く諦めていませんでした


そんな時、真由さんから妻に。そして僕に声がかかりました





3ヶ月のお付き合いでしたが、何年も前から知っていたような、そんな深い縁を感じた左藤さんでした


夫婦としてのあり方、男としてのあり方を、たくさん学ばせていただきました


入院を拒否し、完全介護状態の奥様


約1年、24時間つきっきりのようなものです


奥様の施術もさせていただきましたが、満身創痍な状態でした


















それでも、いつも満面の笑顔で僕を迎え入れてくれました


会っただけでは、元気はつらつのようにしか感じない奥様です





「ね、お父さん」と喋らず動かない左藤さんの頭を、いつも愛おしそうに撫でていました



全ての世話をし、時には溜め息だってついてもおかしくないはず




それでもいつも笑顔でお世話をしていました



長年夫婦をしていれば、いろいろあったかとは思います


苦楽を共にし、時には喧嘩もしたでしょう


そんな時を経て、今2人きりの生活を楽しんでいるかのようにさえ見えました





「絶対よくなる!」


奥様は確信して熱心に介護していました





「父は他界しました」


僕はまず奥様の顔を思い出しました





数日前伺った時、僕は言いました


「いつもより足裏の感じがいい」


奥様は目を見開き喜びました


「あと1ヶ月もたないなんて、そんな事があるわけない。過去のデータを言っているだけ。みんな同じなわけないじゃない」


いつもより足裏の状態が良かったのは嘘ではなかったし、安易に喜ばすつもりもありませんでした。


足裏の状態は本当に良かったし、全身麻痺で硬かった関節も、1番柔らかくいい状態でした


証拠に、左藤さんはいつもより気持ちよさそうだった





足裏を刺激し内臓を活性化すれば、奇跡を起こすかもしれない


いや奇跡を起こす!


そう思い施術しました





あんなに喜ばせてしまった…


結局、僕は何もできなかった






サヨナラ会に顔を出しました


奥様の意向で明るく送り出したいとの事




従来の葬儀や通夜はしたくない意向でした


喪服でなく、普段着で来て下さい…と


今までのお付き合いから、明るい格好の方が喜ばしいだろう


そう思い、ベージュのパンツにベージュのジャケット。そして薄いピンクのシャツで出かけました


妻もカジュアルパーティーに行くような装い




こんな格好…普通なら非常識もいいとこです


でも今日は、新たな旅立ちを祝うサヨナラ会





僕は奥様と顔を合わせるのは正直不安だった


結局何の力にもなれなかったし、最後の施術では喜ばすような事を言って期待させた


そんな不安は会った瞬間消えました


「お忙しいところ、ありがとうございます!」


いつものように満面の笑顔


「どうぞどうぞ!主人も喜びます!」





左藤さんはデートにでも行くかのようなセーターを着ている


今日の空色に似たジップアップセーター


「左藤さん、今までありがとうございました」





そして奥様に向かって言いました


「申し訳ありませんでした。何の力にもなれなく…」


言葉に詰まり、最後まで言わずに奥様が遮った


「本当に大変お世話になりました!主人はいつも楽しみにして、いつも気持ち良さそうにしてました。もう本当に良くしていただきました!穏やか~に旅立ちました」


ホッとし涙が出そうになったが、今日は旅立ちを祝うサヨナラ会だ







奥様が回復を確信していたのも嘘ではない




初めて佐藤さん夫婦にお会いした時から思っていたのですが、きっと今を受け入れる力があるのだと思います




やるだけの事をして、結果を受け入れる







そして佐藤さんに対する愛情だとも思います




泣き叫んだりしたら安心して旅立てない。そう思ったのかもしれません







以前の僕は、「もう長くはないな…」と思ったら、家族に置き手紙を残し北欧の森にでも行って朽ちたいと思っていました




それは間違いだと思いました




佐藤さん




全身麻痺で生き続けていたのは、奥様…家族に対する愛情なんだと理解できました




いつ旅立っても悲観に暮れないよう、心の準備をさせる愛情でした




1年という期間は、心の準備をさせるのに、長すぎず短すぎない時間だと思いました




やせ細って全身麻痺の状態




そんな弱い状態を見せるのは、強くなければできません




つまらないプライドより、家族に心の準備をさせる時間。納得させる時間をくれたのです




佐藤さんは、僕に男として生き方を教えてくださいました







奥様は回復を確信した発言をしながらも、どこかでは覚悟をしていたのでしょう




ただ終わりのホイッスルが鳴るまでは、弱気の発言をしない。マイナスの発言をしないのだと思いました




でなければ、僕に深々と頭なんて下げません




たとえ理不尽だとしても、嫌味の1つくらいは言いたいはずです






佐藤さんとの3ヶ月は、この仕事をしていく上で大きな転機、大きな財産になりました







佐藤さん




いろいろ教えて下さり、本当にありがとうございました




またいつか会いましょうね




肩に触れお別れをしました







部屋にはずっと優しい歌が流れていた







GrinBlue


GrinBlue

佐藤さんの書画です



実物はもっと迫力があります!










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