しらんがな。
私に出来るのは、ただただ彼女の素朴な外国人留学生優遇論に対してファクトを提示する事だけです。
参議院議員選挙も近くなってきて、「外国人留学生優遇されてる」デマを振り回す人、振り回される人(あと翻弄される声優)、
「日本人ファースト」とか言いながら外国人差別を振りまくクズが増えてきました。
今年もちょっとちゃんと、最新の数字とファクトを持ってきましょうか。
① 多くの留学生が給付型奨学金をもらっている?
コロナ禍になってから減少した外国人留学生。しかしその後、急激にその数を回復させています。2019年⇒2022年⇒2024年の数字を見てみましょうか。
・2019年(コロナ禍前)
留学生全体数:312,214人、そのうち高等教育機関在籍数:228,403人。
国費留学生数:9,220人
⇒留学生全体のうち2.95%。高等教育機関在籍者数のうち4.04%
・2022年(コロナで留学生数が減ったピーク)
留学生全体数:231,146人、そのうち高等教育機関在籍数:219,214人。
国費留学生数:8,924人
⇒留学生全体のうち3.86%。高等教育機関在籍者数のうち4.07%
・2024年
留学生全体数:336,708人、そのうち高等教育機関在籍数:229,467人。
国費留学生数:9,304人
⇒留学生全体のうち2.76%。高等教育機関在籍者数のうち4.05%
何億回でも質問しますが、一般的に3%、4%は「多い」ですか?「多い」とは言えませんよね。国費留学生は留学生の中でもほんの一部です。
そして、留学生向けの給付型奨学金と言えば、留学生受入れ促進プログラム(文部科学省外国人留学生学習奨励費)もあります。
大学院レベル・学部レベル:月額48,000円
日本語教育機関:月額30,000円
給付期間は1年です。「大学院レベル・学部レベル」で…4127人?なんか少なくない?もうちょっと、1万人くらいいたような…
とにかく、これらの枠は非常に少ないです。こういった奨学金を一切利用できない純粋な「私費留学生」が外国人留学生の9割を占めています。
私費留学生は基本的に、学生支援機構の給付型・貸与型奨学金を利用することが出来ません。
給付型奨学金も、留学生は対象外です。仮にも消費税増税で作られた制度で、留学生も消費税払ってるのに。
こちらの記事でも言及しましたが、多くの留学生が長時間のアルバイトに従事しなくてはなりません。そしてそれは極めて大きな負担になります。せっかく留学しに来たのにバイト漬け、とはどうしたものでしょう?制度上の欠陥ですよね。
② 多くの中国韓国からの留学生が国費留学生??
国籍内訳ですね。
まず前提ですが、そもそも日本は多くの留学生を中国などから受け入れています。2024年は、中国から123,485人(全留学生の36.7%)、韓国からは14,579人(4.3%)です。
ネパールやベトナムからの受け入れも多く、それぞれ64,816人(19.2%)、40,323人(12.0%)。
中国や韓国などからの国費留学生受け入れはどうでしょう?文科省が最新の数字を出していないので、これは2020年のものなのですが、
中国から834人(中国からの留学生のうち0.7%、全国費留学生のうち9.5%)
韓国から565人(韓国からの留学生のうち3.6%、全国費留学生のうち6.4%)。
全国費留学生のうち、中国・韓国からのは16%ですね。
「国費留学生の多くが中国や韓国からの留学生なんだろう(怒)」と思っていたそこの貴方。中国韓国以外が8割以上を占めているのです。落ち着いてくださいね。
③曲がった真実(苦笑)
林原氏のブログによると、
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一部の海外留学生に無償で補助
日本の学生は奨学金(返さないといけないから
平たく言うと借金ね)
に繋がる曲がった真実
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とのことでした。曲がった真実の意味は分かりかねますが、要は外国人留学生を支援しすぎだということを仰りたいのでしょう。
国費留学生や外国人留学生向け予算はどの程度なのかと言うと、
文科省の資料によると、2025年予算で、
国費留学生制度のために177億円、留学生受け入れ促進プログラムのために32億円、
全体で250億円と言った程度です。
これが日本人向け奨学金「⾼等教育の修学⽀援新制度」と比較してどうなのかというところです。
文科省の資料によると、同じく2025年予算で、5,438億円と言った程度です。
ざっくり言うなら、33万人の留学生の奨学制度に250億円(一人当たり7万5千円といったところ)、260万人の日本人学生の奨学制度に5,438億円(一人当たり20万円といったところ)です。
別に外国人留学生向けの奨学制度が馬鹿みたいに充実しまくりという事実は存在しません。
曲がった真実(苦笑)
曲がった真実(デマ)
曲がった真実(曲げたのは私)
というところでしょうか。
④留学生の博士課程生の支援はやめろ???
こんなニュースが飛び込んできたでございますね。
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文部科学省は、優秀な博士課程の学生に生活費や研究費を支給する支援制度について、生活費の支援を日本人に限定する方向で見直す方針を固めた。同制度を巡っては、受給者の約3割を中国籍の留学生が占めていることを疑問視する声が国会で上がっていた。文科省は見直し案を26日の有識者会議で示し、2026年度以降に適用する。
制度は、文科省が21年度に始めた「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」。博士課程への進学を促す目的で1人当たり年間最大290万円を支給するが、国籍要件はなく、昨年度の受給者1万564人のうち留学生は4125人で、国籍別では中国が最多の2904人だった。
見直し案では、支援額のうち生活費(最大240万円)は、留学生を支給対象から外す。
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・・・とのこと。引用ここまで。
端的に言ってあまりにもクソな発想過ぎて、日本人全体の知能が低下しているかのように捉えられかねないんだけど、どうしてくれます?
かつてこちらで書いたことがあるのですが、
大学院博士課程生に占める外国人学生の割合はとても高いです。
その最新の数字を見てみましょう。引用は統計庁の調査。
2024年、専攻分野別の博士課程生数と、そのうちの外国人学生数を見てみましょう。
人文科学:4,968人、うち1,750人(35.2%)
社会科学:5,706人、うち2,003人(35.1%)
理学:4,787人、うち1,456人(30.4%)
工学:14,816人、うち7,337人(49.5%)
農学:3,393人、うち1,517人(44.7%)
全合計:77,717人、うち22,700人(29.2%)
保健(医歯薬)がパーセンテージを引き下げていますが、それでも10人博士課程がいたらそのうち3人が外国人学生なのです。
ざっくりと、10人の博士課程生を集めたら「SPRING奨学金を受けられる7人」と「受けられない3人」を生むと言うことです。
これには相当明確な理屈立てをしなくてはならないはずです。差別的な扱いをする明確な理屈立てを。
どこぞの参政党を支持するという、人生の恥を何重にも塗りたくる無知能の中には、「日本人の税金は日本人のために」みたいなことを言っています。
いや、留学生も税金納めてるやろ。しかもクソ高い学費まで納めて、多額のお金を落としてるやん。以上。
そもそも何十回も言っていますが、日本はアジアの中で、決して学術研究力がトップなわけではありません。
特に中国にはかなり負けてるデータが多いです。
そんな中国から沢山の留学生を招けてたってわけですね。良いことじゃん。
SPRIGの受給者は39.0%が留学生だったとのことで、しっかり優秀な留学生を招くことができていたってことですね。良いことじゃん。
そんなアドバンテージを放り投げ、決して鎖国してはならない学術という領域で鎖国し、日本の国益に大きなダメージを与えながら「日本人ファースト」と叫んでいるんです。
無知能、無理性もここまでくるとすごいですね。知能が無いならせめて口を開かなきゃいいのに。