こんにちは。藤村です。

 

例によって例のごとく、アクセスカウンターがぐるぐる回っている今日この頃。

もう何も言うまい、今回はこれじゃろ?

 

 

なんともセンセーショナルなタイトルです。

いつも通り、そんなタイトルに吊れた・・・じゃなくて呆れた・・・じゃなくて吊られた方々が

 

 

 

 

・・・とのことです。

いわく「外国人留学生一人あたり170万円」「介護留学生に1人あたり170万円」「概算要求で137億円」・・・とな。

この表現は果たしてどうなのでしょう?1次データを見てみましょうか。

厚労省の概算要求資料はこちら。

 

「137億円」という数字はここにありますね。

「170万円」という数字の根拠は何かと言うと・・・

受入介護施設等が留学生に対して補助を行った場合、「外国人留学生及び特定技能1号外国人の受入環境整備事業等実施要綱」に基づいて、要件を満たした場合最大で下記の半分の額を補助するというもの。

 

1年目の学費補助(月5万円=年60万円)+居住費補助(月3万円=年36万円)

2,3年目の学費補助(月5万円=二年間で120万円)+居住費補助(月3万円=二年間で72万円)+入学準備金と就職準備金(1回のみ、20万円と20万円)+国家試験受験対策費用(年4万円=二年間で8万円)

=336万円の半分で168万円⇒「約170万円」ということでしょう。

 

下記スライドにもそんなことが書かれています。

 

 

ここまでで賢い方は気づいたと思いますが、「137億円」は上にある通り、非常に多種多様な「地域医療介護総合確保基金」の取り組みに対しての予算総額です。「外国人留学生及び特定技能1号外国人の受入環境整備事業」はそのほんの一部にすぎません。

上記日経新聞の記事によると、本補助事業の実績は2021年で1億4000万円とのこと。

その一次データは見つかりませんでしたが、都道府県の事業の実績らしきものはありました。気になったら計算してみてね。

 

そしてその人数も、「こんな人数だよ」というのがあったら誰か教えて。見つからないです。

なので概算してみると、約1億4000万円を一人あたり140万円配れば、当然それは100人に配ることが出来ます。逆に言うと人数的にはその程度です。100人~200人程度といったところでしょうか・・・?

 

以上より、

「137億円で外国人留学生に奨学金」と言っている記事があったら、デマなので気を付けてくださいね。「1億4000万以上を使って外国人留学生に奨学金」ならまだデマではないかと。

「外国人留学生一人あたり170万円」も相当なデマです。「外国人留学生30万人のうち100人~200人に170万円相当の奨学金」…なら正しいです。

「介護留学生に1人あたり170万円」もまあまあ怪しいです。あんまり正確な数字が見つからないので議論しにくいですが・・・

 

で、調べてみて思ったのですが、この予算規模は本来的にはここまで騒ぎになるほどのものではないんです。

1億4000万円は国家予算・文科省予算の中で鑑みれば大した金額ではありません。

ただ「外国人留学生に一円でも税金が使われたら血圧が上がる」特殊能力をお持ちの方は、一気に血液が沸騰してしまうのでしょう。

 

そして何より、どうしてこの「外国人留学生及び特定技能1号外国人の受入環境整備事業」のようなものが必要なのかと言うと、それは国内の介護の担い手不足、つまり日本側の事情です。

じゃあどうして介護の担い手が不足しているかと言うと、まずは待遇が悪いからです。待遇が最高に良かったら、そりゃあひっぱりだこになっているはずなのです。

 

そこまで「介護留学生」の待遇が羨ましいなら、同様の制度は日本人向けにもあります。5年間、介護福祉士として福祉・介護の仕事に継続して従事すれば、返済が免除されて給付型になります。

まずはご自身や、周りの人やお子さんに、その「滅茶苦茶優遇されている制度」とやらを活用して介護従事者になることを勧めてみては?と思います。

そこで「いや、でも介護の仕事は大変だからなあ…」とか頭をよぎったそこのあなた。

 

だからこそお金を出してでも介護従事者を育てたりしなくてはならない、という議論に妥当性はありますよね?

 

 

おまけ

それにしてもこのツイートはすごいなあ、今年のデマアワードに早速ノミネートって感じですね。ちゃんと保存しておこう。