藤村です。

書く、書くと言っているうちに時間が経っていましたが、いい加減書きたいと思います。
今回も、前編、中編、後編、完結編、後日談…とだらだら続いてしまうかもしれませんが。
次回予告通り、日本の科学(・技術)についてです。

今回は、問題の提起です。
すなわち、日本の科学(・技術)は弱まっているのか、弱まっているとしたら何がなのか、です。

①そもそものそもそもが大事というのはよくある話ですが
科学技術とはなんでしょう。

先日の記事でも引用した朝日の記事ですが、科学技術白書において、学術論文の減少が指摘されている、と。
だから日本の科学技術が弱まっている、と。
朝日のみならず、このスタート地点は日経だろうと同じようです。
(結論は全然違うのがなかなか面白い)

そう、ようやく論文数の低迷を、政府が認め始めたということです。

ですが、実はこの段階で、結構重要な前提をすっ飛ばしていないでしょうか。
すなわち、「科学」の弱まりと「科学技術」の弱まりを混同する議論をしているということです。
「科学技術」はあくまで、科学に裏打ちされた技術を指しています。分野で言うなら工学や理学など。
カルノーサイクルが科学なら、冷蔵庫は科学技術。
ベルヌーイの定理が科学なら、飛行機は科学技術。
というならわかりやすいでしょうか。

本科学技術白書において言及されているのは、括弧つきの「あくまで科学技術」というべきでしょうか。領域としては工学など自然科学系であり、人文社会学系は言及されていません。

②論文数が低迷しているっていうのは
本当でしょうか。本当です。
科学技術白書の図表ではわかりやすくショッキングなのがなかったのですが、
取り敢えずこちら


 

 

そしてもう一つ、いつもお世話になっているこちらのブログからこちら。

主要15か国がどこも論文数を順調に伸ばしていますが、奇妙なまでに伸び悩んでいるのが日本という国。

③どこが伸び悩んでいるのか深めたい
数が伸び悩んでいる。さてそれは、どんな領域でしょうか。
例えばこちらをご覧ください。

この領域が、というのはあまり無く、まんべんなく沈下していってますね。

一応、化学・材料科学・物理学の論文減少について言及しています。

 

一方例えばこちらでは工学、材料科学、計算機学の論文減少が言われています。

取り敢えず本記事では、どこの領域が低迷しています、とは主張しづらいです。どこでも低迷が見られるといえるのでしょう。


で、先述の通り人文社会学系は自然科学系ほど論文数による評価が行われていません。そのため論文低迷という烙印から逃れているような形です。
じゃあ人文社会学系は衰退していないのか、というとそんな主張ではなく、
いやそもそも文系廃止議論が出てくるようなこの国において、人文社会学系が衰退していないなんてそんな馬鹿なHAHAHA

④人文社会学系は衰退しましたです?なんでです?
略して人類は衰退しました。

 

そもそもの話ですが、日本は人文社会学系が強くありません。

例えば、THE世界大学ランキングですが、100位以内に入ったのは

東大46位、京大74位でしたね。

もしこれをEngineering and Technology(工学とか)に限定するなら、

東大35位、京大42位、東北大61位、東工大65位、大阪大98位。お、なかなかやんけ。

しかしSocial Science(人文社会科学とか)に限定すると、

東大40位のみ。あんまり強くない。

人文系は他国に比べ、そもそも博士課程まで行く人が少ないというのも指摘されています。

ですが今回の記事は論文数に関するところなので、人文系についてはまた別の記事で。

⑤今日のまとめです
取り敢えず、今回のまとめはここまで。
1.日本の論文数は伸び悩んでいます。それに比べて他国がどんどん伸びているので、シェアとしては低下の一途をたどっています。
2.この領域が特に衰退してる、というのはちょっと主張しづらく、割とまんべんなく伸び悩みが見られます。


次回は低迷の理由に踏み込みたいなと思います。