受験テクニックは嫌いです。藤村です。
今日は短く、THE大学ランキングの話です。
イギリスの「Times Higher Education」大学ランキングにおいて、日本の大学の不振が話題になっていますね。
当然、言語といった壁の大きさは無視できるものではなく、英語圏がそもそも有利な戦いとなっているという指摘もされています。世界大学ランキングをもってすべてを語ることなどもとよりできません。
それでも東大が今回過去最低の46位、京都大は91位から上げて74位という、その二つしか上位200位以内に入っていないのは、確かに不振と言えるものです。
特に2013年に安倍が、日本再興戦略で、「10年以内に世界ランキングトップ100に日本から10大学を」とか言っていましたが(もうあんまり誰も覚えてない)そのための処方箋も見つからないというのが正しい認識です。
(安倍の言葉は当時メモっていたので、続きからのところに入れておきます。良かったら読んでください)
今回のテーマは、どうして大学ランキングは振るわないのか、です。
まずはランキングを見てみるところから始めましょう。
東大のはこれで、京大のはこれ。
まず目を引くのは、日本の「International Outlook」、すなわち「国際化度」とでもいうものでしょうか。その点数がとても低い。そのせいか、国際化を進めなければ、外国人教員を、国際競争を、という主張が盛んにされてきました。
ですがまってください。このランキングにおいて重きが置かれているのは、教育や研究、引用論文です。
配点は教育30点、論文引用32.5点、研究30点、国際化度5点、産学連携2.5点。
東大の点数をこれに、機械的に当てはめて単純計算してみましょう。
79.5×0.3= 23.85点 (教育)
63.7×0.325=20.7点 (論文引用)
85.2×0.3= 25.56点(研究)
52.7×0.025=1.32点 (産学連携)
32.2×0.05= 1.61点 (国際化)
合計73.04点
実際の点数は72.2点という事で、実際は更に配点が細かいようですが、概ねこの計算方法で点数を算出できるようです。
さて、諸兄には一目瞭然でしょうが、もしここで国際化の点数が100点をマークしたとしても、総合得点は3.39点しか上がらないのです。「論文引用」の点数が10点上がるのと同じことなのです。
外国人教員を招くとか、留学生を増やすとかで、取り敢えず「国際化」の点数を多少稼げるでしょうけども、それが目的ではありません。「引用論文63.7点」という、振るわないところをしっかり点数とっていくこと。それなくしてランキング上昇はあり得ません。
この間、こんな人とかこんな人から、日本の論文数の伸び悩みが指摘されています。
ランキングをあげることがすべてではありません。ですがTHE大学ランキングは、一定力を持った評価指標でもあります。
この論文数伸び悩みという日本の学術研究の地番沈下、一体どうしてこうなったのでしょう?そしてどうしたらいいのでしょうか?それはまた、別記事で。
今日のまとめ
大学ランキングの「国際化度」が低いからと言って、外国人教員を増やせ、留学生を呼べ、産学連携して起業させてグローバルなイノベーションだ、という結論を持ってくる人は、あまり信用しなくていいです。
論文数の伸び悩みが問題の本質であり、その解決が望まれます。ここで、大学改革が切り札だ、スーパーグローバル校が切り札だ、COEが切り札だ、という議論もたくさんあります。ですが、引用論文を増やすために必要なのは、切り札ではありません。日常的に、研究をしっかりできるという環境です。それについてはまた別記事で。
今日は短く、THE大学ランキングの話です。
イギリスの「Times Higher Education」大学ランキングにおいて、日本の大学の不振が話題になっていますね。
当然、言語といった壁の大きさは無視できるものではなく、英語圏がそもそも有利な戦いとなっているという指摘もされています。世界大学ランキングをもってすべてを語ることなどもとよりできません。
それでも東大が今回過去最低の46位、京都大は91位から上げて74位という、その二つしか上位200位以内に入っていないのは、確かに不振と言えるものです。
特に2013年に安倍が、日本再興戦略で、「10年以内に世界ランキングトップ100に日本から10大学を」とか言っていましたが(もうあんまり誰も覚えてない)そのための処方箋も見つからないというのが正しい認識です。
(安倍の言葉は当時メモっていたので、続きからのところに入れておきます。良かったら読んでください)
今回のテーマは、どうして大学ランキングは振るわないのか、です。
まずはランキングを見てみるところから始めましょう。
東大のはこれで、京大のはこれ。
まず目を引くのは、日本の「International Outlook」、すなわち「国際化度」とでもいうものでしょうか。その点数がとても低い。そのせいか、国際化を進めなければ、外国人教員を、国際競争を、という主張が盛んにされてきました。
ですがまってください。このランキングにおいて重きが置かれているのは、教育や研究、引用論文です。
配点は教育30点、論文引用32.5点、研究30点、国際化度5点、産学連携2.5点。
東大の点数をこれに、機械的に当てはめて単純計算してみましょう。
79.5×0.3= 23.85点 (教育)
63.7×0.325=20.7点 (論文引用)
85.2×0.3= 25.56点(研究)
52.7×0.025=1.32点 (産学連携)
32.2×0.05= 1.61点 (国際化)
合計73.04点
実際の点数は72.2点という事で、実際は更に配点が細かいようですが、概ねこの計算方法で点数を算出できるようです。
さて、諸兄には一目瞭然でしょうが、もしここで国際化の点数が100点をマークしたとしても、総合得点は3.39点しか上がらないのです。「論文引用」の点数が10点上がるのと同じことなのです。
外国人教員を招くとか、留学生を増やすとかで、取り敢えず「国際化」の点数を多少稼げるでしょうけども、それが目的ではありません。「引用論文63.7点」という、振るわないところをしっかり点数とっていくこと。それなくしてランキング上昇はあり得ません。
この間、こんな人とかこんな人から、日本の論文数の伸び悩みが指摘されています。
ランキングをあげることがすべてではありません。ですがTHE大学ランキングは、一定力を持った評価指標でもあります。
この論文数伸び悩みという日本の学術研究の地番沈下、一体どうしてこうなったのでしょう?そしてどうしたらいいのでしょうか?それはまた、別記事で。
今日のまとめ
大学ランキングの「国際化度」が低いからと言って、外国人教員を増やせ、留学生を呼べ、産学連携して起業させてグローバルなイノベーションだ、という結論を持ってくる人は、あまり信用しなくていいです。
論文数の伸び悩みが問題の本質であり、その解決が望まれます。ここで、大学改革が切り札だ、スーパーグローバル校が切り札だ、COEが切り札だ、という議論もたくさんあります。ですが、引用論文を増やすために必要なのは、切り札ではありません。日常的に、研究をしっかりできるという環境です。それについてはまた別記事で。