給付型奨学金のお話です。
現在、政府文科省がせっせと給付型奨学金を作ろうとしています。ニュースなどによると、
「進学先や下宿の有無に応じて月額2万~4万円を給付する」
「民税非課税世帯の1学年2万人が対象」
「最終的な予算規模は約210億円を見込む。日本学生支援機構に専用の基金を設け、来年度予算案に70億円を計上」
とのことです。(ソースはこちら)
しかし、その規模の小ささ、額の少なさに失望の声が広がっています。月2~4万円を二万人に、というのはしょぼい、と。
では、今日本で議論されている給付型奨学金はどれくらいしょぼいのでしょうか。ここでグローバルスタンダードを覗いてみましょう。(今回使用したのはこちらのデータです。)
①韓国
全学生数は327万9000人。国の人口千人あたりの学生数は65人。
給付型奨学金の受給者は130万人。
給付額は国立大授業料を基準に年間450万ウオン(年間45万円くらい=月額4万弱)を上限に、世帯年収によって変動する。この上限は上がりつつあるらしい。
授業料は高額。
②ドイツ
全学生数は261万6900人。国の人口千人当たりの学生数は32.4人。
給付型奨学金の受給者は66万6千人。
給付額は実家暮らしで年最大63万円、一人暮らしで年最大89万円、そのうち半額が貸与で半額が給付。
そもそも大学に授業料がない。
③フランス
全学生数は242万9900人。国の人口千人あたりの学生数は36.9人。
そのうち給付型奨学金の対象は63万9884人。
給付額は、焼く28万人が年48~68万円を給付されており、20万人が年20~40万円を給付。
そもそも授業料が極めて安い。
④アメリカ
全学生数が1273万7千人と桁が違う。国の人口千人あたりの学生数は40.6人。
そのうち給付奨学金の対象が895万9千人。
給付額の平均は年額28.1万円。
さらに補助奨学金の対象が163万3千人で平均は年額3万5千円。
授業料は高額。
⑤日本の奨学金はどれくらいしょぼいのか
以上から、日本の奨学金の異常さを考えてみましょう。
日本の給付型奨学金の年額は24万円~48万円。これ自体はグローバルスタンダードから大きく逸脱したものではない模様です。
受給額に段階を設けるのも、よくあることのようです。
とにかく問題なのは、対象人数です。
ここに書いているものだけで、韓国で学生の4割以上、アメリカで7割以上を網羅しています。
授業料の低廉なドイツフランスでも、学生の3割くらいを網羅しています。
一方日本は?聞いて驚け、ひと学年あたり2万人とか。
ひと学年あたり2万人なら4年制では総計で10万人くらいになるとしても、全学生数が296万2千人なので、その1割どころか5%にも満たないのです。
⑥事業予算を見るとさらに絶望します
日本では財源論が席巻していますが、ここで各国の年間予算を見てみましょう。
韓国では35748億ウオン≒3835億円
ドイツでは23.49億ユーロ≒3208.26億円。
アメリカでは320.61億ドル≒3兆7351億円。
(フランスはNoDataだけどたぶん2000億円くらいかと)
一方日本では、必要な財源が200億円程度なのに、財源がないーとか、そうだ、扶養控除をなくしてしまえー、とか言っております。
もう一つおまけに、韓国ではこの数年間で急激に給付型奨学金を整備し、グローバルスタンダードにかなり追いつきました。
日本も満を持して給付型奨学金を作ってみたら、韓国の10%にも満たないような規模だと。
アメリカの補助奨学金の規模が、今まさに日本で検討されている給付型奨学金と同じくらいだと。
日本共産党が、70万人に月3万円の奨学金をと言っていますが、それでもまだグローバルスタンダードには一歩及ばない、と。
⑦結論
これは、しょぼい(率直な感想)
年間190億円とな。日本で210億円出すのにこれだけの賛否が巻き起こるのに、こんなにあっさりと、190億円とな。