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Sense107

 最初に選んだ手段としては、誰もが考える息つく間もない連続攻撃。

「シャドウブリット!」

 開始直後、互いの主導権争いが始まる。
 クロードは、闇魔法の下級魔法を放ち、俺は、横に走りながら矢継ぎ早に弓を射っていく。
 クロードへと飛んでいく矢は、十秒間隔で射られていく。始まってからのエンチャントを使う機会を失い、未だに掴めずに居た。
 弓の性質上、定位置射撃と強化と弱体化は、相性が良い。だが、それは普段の先手があるという前提だ。
 事前準備で強化し、弱体化で相手と自身のステータスに差を生み、戦いやすい場を作り、接近する前に射撃で終える。それがPVPでは出来ないのだ。素のステータスでは、厳しい。エルメス バッグ 種類
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だが、この状態を一種の利点と考え、付加術を温存しておく。
 対するクロードも俺の矢を避けながら、魔法を途切れる事無く使用してくる。待機時間を短くするほどレベルが高いのか、短くするセンスを装備しているのか。俺の弓同様に連射性はあると見て良いだろう。
 俺も必要ならば、そういった類のセンスを選び、移動中も魔法の併用が出来れば理想だが。
 それにしても――

(タクの奴。俺の付加を待ってたのか。悔しいな)

 本気になれば、エンチャントとカースドを使う暇すら与えずに倒せたのだろうという予測に大きな差を感じる。
 だが、俺の手札はそれだけじゃない。
 俺は、弓を引く手を止め、戦闘用に編成したショートカットのインベントリからあるアイテムを取り出す。
 走りながら、口に含み、噛み砕くとエンチャント時のような身体の軽さを得る。

 ――強化丸薬(ブースト・タブレット)。

 モンスターの肉を丸薬系の素材を混ぜ合わせて調薬した自作アイテム。
 以前は、状態異常を低確率で引き起こす欠点を持っており、状態異常回復の素材を使うことで抑止していたが、不完全なものだった。
 どうしても完全には毒性を押さえ込めなかったために毒性の『排除』というアプローチ法を発見し、持続時間と効果が上昇した。

 毒性の排除――これは別のセンスの力を借りることによって達成した。
【料理】センスの新たなスキル【毒抜き】は、食材系のアイテムから毒性を抜くスキルだ。
 成功すれば毒性は消え、失敗すればアイテムの消失。また、レベルの低さや素材のランクによっても成功率が大きく変わるが、調薬同様に手作業だと成功率は高い。いや、むしろアイテムごとに毒性の原因があるために手作業による除去で調査している。
 専ら料理のレベル上げは、持ち込まれた食材系アイテムの毒性原因を調べるために捌いて、調査内容をノートに書き残すことが多い。
 余談であるが、素材となる食材アイテムを対象に、回復魔法の状態異常回復やリゥイの浄化を使えば、毒抜きと同様の効果が得られたりする。

 俺が急に早く動くことでクロードに動揺が走ったのか、動きが鈍り、射撃間隔が短くなった矢が一本オーラへと刺さり、カウントが4になる。
 それに気を緩ませた俺は、オーラの揺らぎが納まるまで攻撃の手を止めた。

「ダークシールド、ドッペルゲンカー」

 クロードが新たに口にした魔法は、影から黒い人型を生み出した。
 その影は、俺へと直進してくる。
 慌てて矢を放つが、影の身体は矢を受けても、空気のようにすり抜けてしまう。矢は奥に居るクロードへと向かうが、クロードの眼前に張られた薄紫の長方形の膜によって落とされる。
 二本、三本と矢を放つが、薄い膜を突破できずに影が更に近づく。
 俺は、時間稼ぎをするために逃げの一手を選ぼうとするが、硬直から脱したクロードの牽制は、俺の退路を塞ぐ様に放たれる。
 近づく影から離れて別の角度からクロードを狙おうと考えるが、上手い牽制で移動が制限される。

「くっ、【ボム】、クレイシールド」

 焦れた俺は、影の妨害のためにボムのマジックジェムを影へと放り、影と俺の間に土壁を出現させる。キーワードの詠唱により宝石に込められたボムが炸裂し、俺は土壁の裏側から上へと三本の矢を放つ。

「――おいおい、マジかよ」

 闇魔法は、ボムと土壁に阻まれてることが音で分かった。しかし、影は壁をすり抜けて、俺の目と鼻の先にのっぺりとした黒い液体で出来たような身体を近づける。
 避けようと考えるも、強化丸薬の短い効果時間が切れて重くなった身体でワンテンポ遅れたために組み付かれた。
 手足に絡まり、ずっしりと重みを感じる影。俺の視線の先にある土壁は、幾度と無く魔法を受け消滅し、俺の姿をクロードの前に曝す。
 影で動きが阻害され、重い身体で俊敏に動けずにいた俺は、シャドウブリットを受け、カウントが減る。
 影は、まだ解けず、このままではもう一回攻撃を受けてしまう。
 俺のオーラが納まり、次の魔法が飛来する直前、クロードのカウントがまた一つ減り、その動揺から
クロードの攻撃の手が鈍る。
 しかし、クロードの動揺は脱出の時間稼ぎにはならない。
 執拗に纏わり着いてくる影は、クロードが放つ二度目の攻撃が来る直前に溶けるように消えた。溶けた瞬間に、横へと逃げるが、衝撃に巻き込まれて俺のカウントが更に減る。

 互いにカウント3。俺たちは、互いの武器を油断無く構えて、言葉を交わす。

「クロード。あれは何だ? 【ドッペルゲンカー】と【ダークシールド】とか言ったが」
「勉強不足だぞ、敵を知り己を知れば、百戦危うからず。という諺があるだろう。【ドッペルゲンガー】は、闇の第三魔法だ。効果としては、指定した相手に接触すると速度減少させる効果がある。まぁ、効果の継続時間はそれなりと言えるが、待機時間も小さくは無い。【ダークシールド】は、第二魔法。簡単な防御魔法だ」

 土魔法のマッドプールのような足止めは、受けるほうが厄介だ。マッドプールを比較すると、自分に被害が無いこと、だろう。初手に使わなかったのは、ディレイ・タイムが長めなのだろう。だから攻撃を受けた直後の無敵時間を利用し出現させた。
 ダークシールドは、半透明な紫色の盾だった。クレイシールドの盾版。半透明だから相手の様子が分かるのが利点だが、今回は、クレイシールドの透明性の無さが有利に働いたな。

「一つ俺からも聞こう。何故上から矢が降って来た」
「ああ、クレイシールドを出現させボムの爆破を足止めと目隠しに利用した。壁の裏側からお前の立ち位置に、山型射撃をしただけだ」

 ソロ狩りでは、よく時間差を利用するために重宝する技術だ。指定する位置へのブレは、誤差三メートルの範囲。今回は、当たれば儲けもの程度で三本放ったが、運良く当たったようだ。

「さて、雑談はこれぐらいにして戻るとするか」
「了解。じゃあ、やるか」

 再び、場が動き始める。
 俺は、その場で矢を放ち続けるが、クロードは、薄紫の盾を展開したまま、こちらに直進してくる。
 何をする気だ。後衛職が前に突き進むなど。
 矢は盾を貫通せずに、甲高い音を当てて弾かれるのみ。
 クロードは、俺が後方へと距離を取ろうとするのを機敏に察知し、魔法を適所に打ち込み、足止めをする。
 密度は、移動しながらの狙いのために薄いが、クロードの接近が予想以上に早く、距離を詰められる。
 再び、クレイシールドを張るか、それほど密度の濃くない魔法の牽制を掻い潜り抜けるか。
 相手のシールドの効果が切れるのを待つほど俺は、気が長くないようだ。

 盾に守られて肉薄するクロード。退路を塞ぐために放たれる牽制以外を無視し、俺を狙う本命だけを避けて、射程に入り込むまで引き付ける。

「そこっ! 【――弓技・鎧通し】」

 弓センスの第三アーツ。防御無視の貫通攻撃を持った矢が薄紫の膜を打ち砕き、クロードにそのまま突き刺さる。
 カウント2。副次的な効果で防御が下がったようだが、HPの関係ないこのPVPでは、意味を成さなかった。
 さぁ、貫通衝撃の弓撃は、大抵の敵はヒットストップする。これで止ま……らない!?

 盾を貫き、矢を受けた。それにも拘らず、詠唱の妨害はされずにクロードの背後で待機状態のシャドウブリットが浮遊を続けている。
 これは、使う手段間違えたな。
 そう思った直後に俺の元へと魔法が殺到する。
 アーツ使用による硬直が抜け切らぬ間に、カウンターで魔法を貰う。動けるようになると、このまま接近されると負けると思ったのか、背後へと跳ぶ。
 しかし、魔法を放棄して肉弾戦へとクロードが持ち込んでくる。
 オーラが揺らいでいる間に、開いている右手で包丁を引き抜き、迎撃姿勢を整えるたが――

 手首を払われ、手が後ろに。身体は流れて、無防備な態勢となり。
 オーラの揺らぎが消えた瞬間――打撃を見舞われる。
 身体の中心を速く重い一撃を押し込む杖。それを軽い取り回しで引き戻し、再び揺れるオーラの間にも手足を打ち据えて行く。

 足を払い膝が崩れ、肩を突いて仰向けに倒し、喉元に杖先が押し付けられて動けない。
 こちらの動きを拘束するための一連の動作は、人間相手にする上での生々しい工程を見た気がした。

「おいおい、魔法使いじゃないのかよ」
「良縁で棒術の扱いや接近戦闘を覚えさせられただけだ」
「そうかよ」
「ユンも頼むと良い。スパルタだが接近された時の最低限の対処法は学べる」

 そうして、揺らぎが納まると同時に喉に杖先が押し込まれて、再び敗北する。
 先ほどよりは納得いく内容だが、まだまだだ。
 手札を十分に使い切れていない。エンチャントとカースドは使うタイミングを失ったまま最後まで使えなかった。
 また、戦いの認識も改めなくては、無敵時間があるからといって気を抜いてはいけない。それは、自分の時も相手の時も。
 タクの時も、クロードの時も一瞬の気の緩みで打ち据えられた。
 
 俺は、草原に寝転がされたまま、空気を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
 それを何度か繰り返しての精神統一をした後、ゆっくりと立ち上がりクロードに向き合う。

「ユン、もう良いのか? もう少し休んでてもいいんだぞ」
「大丈夫。それよりさっき言った良縁って人を教えてくれないか? 少し相手をして貰いたい」

 そう言うと楽しそうに笑みを浮かべて、俺へと指差す。いや、正確には俺の背後だ。
 俺はその指を辿る様に背後を振り返ると、長い棒を肩に担ぎ、悪戯に心躍らせる子どものような笑顔で出迎えるミカヅチ。

「ウェルカム。このミカヅチさんの対人道場へ。とりあえず、時間一杯まで私が打ち込むから全力で避けろよ」

 直後に送られてくるPVPの申請。バトルモードは、ヒットカウントバトル。時間制限一杯までにどれだけ有効打を与えたかを競うPVPだ。

「安心しろ。この世界じゃ痛みも肉体的な疲れも少ない。リアルなら青痣だらけの訓練もここでは可能だ。さぁ!」

 半身で棒を構えるミカヅチに圧倒されて何も言えない。
 だが、OSOのギルド【ヤオヨロズ】を束ねるマスター。戦う上では、得るものも大きいはずだ。
 俺は、申請を受理し、向かい合う。

「よろしくお願いします!」
「それじゃあ、避けろ! 悪いところは言って直して、叩いて直す!」

 俺は無手のまま、ミカヅチと対峙する。
 
 PVP開始直後に駆け出し、迫るミカヅチ。それからは、タク以上の一方的な攻防があった。
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冬休みに突入。二週間ほど実家帰省して、実家で年越しします。