大阪メトロの経営をきちんと考える

大阪メトロの経営をきちんと考える

大阪市の交通、その中でも民営化された大阪メトロについて考えていきます

初めて策定された中期経営計画には新しいアイデアが数多く盛り込まれていました。これらはいずれも公営であった良いところを活かしつつ、民間らしいアイデアを取り入れたワクワク感のあるプランとなっていました。


鉄道の1丁目1番地は安全です。2005年のJR西日本の福知山線脱線事故を出すまでもなく、鉄道の基本となる安全が損なわれると、お客様にご迷惑をおかけし、信頼の失墜により乗客離れになるだけでなく、都市機能が麻痺することになります。その中で、中期経営計画に盛り込まれたのが可動式ホーム柵でした。民鉄では今でも中々導入が進みませんが、当時Osaka Metroでは4路線で導入済みであり、これを御堂筋線と中央線に拡大していく計画でした。


また、暗いイメージを持つ地下空間を改善すべく、御堂筋線9駅、中央線6駅の合計15駅について地下空間のリニューアルが盛り込まれました。大阪の大動脈である御堂筋線を南北軸として、万博やIRの整備を見据えて中央線を東西軸として、重点的に整備していく計画となっていました。中央線においては、夢洲まで中央線を乗り入れることが大阪市の方針として出されており、西の拠点となる夢洲における開発計画への参画や東の拠点となる森之宮における開発計画も盛り込まれ、大阪市のまちづくりにもマッチしたプランとなっていました。また、公営では今一つだった車両のデザインについても検討されることが盛り込まれており、新型車両の導入やレア車両などの記述もありました。また、次世代を担うモビリティとして、自動運転バス、シェアサイクルが盛り込まれていました。


また鉄道沿線のまちづくりが盛り込まれていました。夢洲や森之宮のような大規模な面開発以外にも、御堂筋線の天王寺以南を対象とする南新都心住宅街エリア、四つ橋線本町界隈を対象とする本町外縁オフィスエリア、近年魅力的な街が自発的に発生しつつあった梅田の近傍を対象にウメソバトライアングルと命名し、それぞれまちづくりについて検討していく方向性が示されていました。


これらを踏まえた財務計画は、計画年度の最終の2024年度では、売上2,100億円、営業利益430億円を目指す輝かしい計画となっていました。