高円寺駅から北西に伸びる中通りを3分ほど歩いて左に折れ、線路側に少し行ったところ。そこに新築5階建てのスタイリッシュなマンションが立っている。それがダイナシティ高円寺Ⅱだ。
1LDKか1DKの間取りのみの単身者向けの分譲マンション。この秋か募集を始めたそうで、僕も新居を探しているときに立ち寄った。
説明してくれた営業マンは、いまこのマンションを購入することがいかに素晴らしいかについて、とうとうと話してくれた。最大のセールスポイントは普通なら家賃15万はする高級マンションに、月々10万くらいのローンを払うだけで住むことができる。しかも立地条件がよく担保価値が高いので銀行が購入価格いっぱいに融資してくれるため、頭金も10万円程度で済むという。
だがマンションの価格は約3500万円。ローンを組めば金利もあわせて4000万以上の借金をする計算だ。当然じっくり検討する必要がある。営業マンには「早く決めないとなくなってしまいますよ」と急かされたが、借金するのはこの僕なのだ。
そう思って家に帰り、マンションを販売していたダイナシティという会社について調べてみてびっくりした。この1年で株価が暴落していたのだ。一時期2万円あった株価は100分の1の200円に落ち込んでいた。ヤフーファイナンスの掲示板では、いつ倒産するかとう話題で持ちきりだった。こんな会社の物件に手を出すわけにはいかない。
それからしばらくの間、ダイナシティの営業担当者から何度か電話がかかってきて熱心に勧誘された。たぶん会社の経営状態がやばいから必死だったのだろう。だが安易に話に乗るわけにはいけない。いろんなデメリットをあげて、誘いには乗らなかった。
僕が高円寺のマンションを訪ねて2週間後、ダイナシティは民事再生法の適用を申請した。あまりにもあっけない倒産だった。

