共依存(4)

依存とは
「依存」とは、他人や組織、モノに愛情や支持、保護、援助を求め、それがなくては生きていけない状態であり、行為や思考のコントロール障害といわれています。自分ではやめられなくなり、精神医学の立場から病気と認められているものを「依存症」といいます。
現代は「依存症」が増えやすい時代
依存症が増えている理由に
①ポスト核家族(ひとり暮らしをする人が増え、一家の団欒が消えつつある)
②少子化(親の愛情が子どもに集中し、愛されて当たり前という自己愛のつよい子供が増加)
③進む格差社会(成果主義、能力主義の激しい競争社会で生き抜くことが要求されているため勤労者の不安が増大)
④道徳・倫理感の低下(モラルを守ろうとする意識の低下、個人の自由のみを追求する傾向が強くなっている)
⑤情報化社会(IT技術が進み、便利さの反面、人と顔を合わせなくなっている)
⑥地域社会の崩壊(伝統・文化、相互扶助などが伝承されなくなり、隣人の顔も知らない人が増えている)などがあげられます。モノが豊かになったはずですが、心は逆に豊かさが失われているのです
「依存」には、よい依存と悪い依存がある
依存には、成長とともに自立へとつながる「よい依存」と、依存症へと進む恐れがある「悪い依存」があります。
よい依存⇒主体性のある人間として、相手を尊重しながらお互いに支え合い、助け合う。相手と 程よい間合いが、よい依存で認められる。
悪い依存⇒自分が安心や満足を得られないために、常に相手にしがみついたり、相手を支配・束縛しようとする
 悪い依存の種類
依存には人への依存、プロセスへの依存、物質への依存の3種類があります。
 1)人への依存:ふつう私たちは対等な人間関係で支え合いますが、悪い対人依存は、相手にしがみつくか、支配しようとするという上下関係でつながります。
例)夫に喜んでもらうために夫に逆らわない従順な妻(上位の人にしがみつく)
例)子供の世話を過度にやくことで、良き母を演じ評価されたがる
(下位の人をコントロール)
 2)プロセスへの依存:ある行為(仕事、ギャンブル、買い物、ゲーム、PCなど)に没頭し、耐えがたい不快な感情をコントロールしようとします。対人関係の苦手な人に多くみられます。
例)孤独や寂しさからPCやゲームに依存(バーチャルな世界の主人公は自分であり、すべて自分の思い通りに動かせる)
3)物質への依存:不快な感情を忘れるため、酒や薬物、たばこ、大量の食べ物などを体内に入れることで快感を得ようとします。物質依存は他の依存と異なり、物質が脳の中の報酬系を刺激し、快感を感じるというメカニズムがあり、快感を求めて物質を繰り返し取り入れてしまうのです。①精神依(飲みたくて仕方ない)②耐性(以前より多く飲まないと酔えない)③身体依存(酒をやめると手のふるえ、発汗、頻脈、不安、幻覚など離脱症状がみられる)という3つの状態があります。
例)事業がうまくいかなくなり酒を飲むように。やがて酒が切れると不眠・落ち着かなくなる(酒は脳の神経細胞を麻痺させます)
例)軽い気持ちで覚せい剤を乱用。半年で幻聴があり「死ね」という命令が聞こえて自殺未遂をおこした(覚せい剤は快感物質である脳のドパミンを大量に放出させます)
 依存症からの回復
依存症がすすむと、ひどい苦痛をおぼえ、日常生活で不都合を感じるようになり、本人のために周囲が悩みます。しかし物質依存症以外の依存症は、ほとんどの人が治療が必要な病気だとは考えません。本人が「絶対やめないといけない」とかたく決心しなければ回復の見通しは立ちません。依存症を支え続けてきた家族の対応によっては、依存症を悪化させてしまうケースもあります。家族は時には突き放し、本人にどん底をみせる必要がある場合もあります。体をこわす、家庭崩壊、社会的信用を失う、犯罪、自己破産など、すべてを失うことにもなりかねません。 
①本人が依存症を自覚することから
まず、ストレスの存在と程度に気づく
朝起きられず、朝が一番気分がすぐれない
仕事や家事の能率が悪く、失敗が多い
決断に時間がかかったり、責任感がなくなる
考え込んだり、イライラ、セカセカする
人と会うのがおっくうになる
気分が落ち込み、泣いたり、泣きたくなる
体の調子が悪いことが多くなる
食事や飲酒の量が大きく変わった
家族や友人への不平不満、反発がある
寝つきが悪くなった
チェックの数による判定:3~4 ゆとりを失っている。リラックスが必要
5~7 ストレスがかなりたまっている。休養が必要
8~10 要注意。専門医に相談してみよう
② 生活習慣の改善から始める
生活習慣チェック 
たばこを吸わない
酒を飲みすぎない
朝食は毎日とる
栄養のバランスがとれた食事をする
平均して9時間以上の労働をしない
ストレスをためない
スポーツを定期的にする
7時間は睡眠をとる
疲れたら休養をとれる
悩み事を相談できる人がいる
③健康な依存、よい依存に移行する
⇒スポーツジムに通う、料理作りに凝ってみる、図書館に通って読書をする、
ボランティアを始める、何かを収集するなど
④自分で自分をヒーリングする
⇒ネガティブな受け止め方を、見方を変えてポジティブな受け止め方に変える(本ホームページの認知行動療法を参照に)、スポーツ、ガーデニング、ペット、音楽や香り、体操など
⑤本人が治療の決意をかためたら専門医へ(個人精神療法、自助グループ、入院など)
 現在の精神医学では、依存症の治療はアルコールやドラッグなどの物質依存症に、ほぼ限られています。家族や友人がトラブルの後始末をしている間は、本人が問題に直面することはなく、本人が底つき体験(何もかも失う現実に直面し、自分のために新しい生き方を模索しようと決意する)に至らなければ治療は始められません。
 おわりに
依存、依存症は、まず自覚することから始まります。違法薬物の使用や、多量・長期の飲酒は身体や脳に多大な影響を及ぼすこともわかっており、とくに若いうちの使用は大きな問題です。「依存症」とならないよう、「よい依存」を心がけたいものです。

http://www.u-gakugei.ac.jp/~hokekan/d-izon0908.html