人は酷い環境、絶望的な状況に置かれ、その場所で暮らし続けると、そこから逃げようとする意志や意欲をを無くします。

DVやモラハラ環境で暮らし続け、諦めの境地になっている人が多いので「学習性無力感」というものについて書きます。

何事も諦めない努力、繰り返し、続ける努力が大事、学習を続けるのが大事、とは言いますが、これを間違った方向で使うとトンデモナイことになります。

ちょっと想像してください。

二頭の犬をマットの上に乗せます。
一頭は自由に動けますが、もう一頭はマットにベルトで固定し逃げられないようにします。
ここで、マットを通して電気ショックを加えると、ショックに驚いてそこから犬は逃げますが、もう一方の犬は固定されいるので逃げられません。

これを繰り返した後、今度はマットではなく、飛び越えられるような低い冊に犬を入れます。
この時どちらの犬も固定せず自由に動けるようにします。
そしてここで電気ショックを与えると、最初の実験で逃げた犬はやはり逃げます。

しかし、固定され逃げられないという経験をした犬は、自由になっていても逃げず、電気ショックを受け耐え続けます。

ジャンプすれば逃げられるのに逃げない、その理由は、固定されていた経験から逃げることを考えなくなったわけです。

何をしてもムダ、どうにもならない、と諦め自分は無力だということを学習してしまったから、逃げられるのに逃げなくなったのです。

つまり、無力感は学習してしまう、ということで学習性無力感、学習性絶望感と言われます

 

これを人間に例えると
長期間、監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値がふみにじられる、つまりモラハラや人格否定され続けてきた人、ということになります。
そうなるとこういった、メチャクチャ不愉快なストレスが加えられる状況から、自分から積極的に抜け出そうとする努力をしなくなります。

実際のところ、すこしばかりの努力をすれば、そこから逃げられたのに、逃げ出すという事さえ考えなくなっている、思いもつかなかった、という事があります。

これは、長年受けた仕打ちによる反動で、どんな可能性さえも「無駄な努力」と思い込み、自発的行動を全くしなくなる、ということです。

ストレスが加えられる状況、又そのストレスに対して対して何も出来ない、どうにもならない、苦痛、そこから逃げられないという状況の中で、諦めの気持ちがすべてを覆いつくすのです。


これは、人の行動は、良かれ悪しかれ何らかの学習の成果として現れてくる、という理論です。

拉致監禁の被害者や長期の家庭内虐待の被害者、学歴信仰やいじめ、会社などでのモラルハラスメントや、ブラック企業に勤めて低賃金でキツイ労働を強いられる。
そんな状況でも自分から進んで退職しない人が一定数居ることなど、行動の心理的根拠を説明する理論として、注目されています。

DVモラハラといった家庭環境で暮らす人も、ある部分では共通しています。
中にはパブロフの犬のように、何かされたら、言われたら、謝り続けるといった反応だけを示す人もいるでしょう。
あなたはどうでしょう?

そんな人生を送りたくないのであれば、逃げ出す事を思い、もがき続けるしかありません。
そうすれば、何か捕まるモノが見つかるかもしれません。
諦めたら沈んでいく、彼等の思い通りの生き方になるだけです。


また、この学習性無力感は伝染するとも言われています。
病気ではありませんが、他の人が直面している問題に負けていく、無力だと思って諦めていく姿を見ていると、自分もその無力感を学習する、自分も同じだと思い込んでしまうそうです。
一種の疑似体験、とでもいえます。

ネガティブな状況を見る事で、自分の考えもネガティブになっていく。
他人の体験なのに、自分もそれを体験しているかのように思い込み、自分も同じ世界に入り込んで行く、そうして同じように負けていく。

それも知らず知らずのうちに、あなたの頭の中に浸透していき、自分も同じ負け犬になっていく可能性があります。
ネットの動画などでも、他の人のケース、それも悲惨なケース、逃げられなくなった話しばかり聞いていると、自分も諦めの境地に陥る可能性があるということです。

人の不幸は蜜の味といいますが、他人の不幸を見て、自分はまだいい方だ、等と思って安心する、そんな人もいるでしょう。
それで今の自分から目を逸らしている人もいるでしょう。
しかし、他人の不幸を見てばかりいると、あなた自身も諦めの境地に陥る可能性があるんです。

もっと希望のある話し、希望を夢見ていないと、いつの間にか、無力感を学習してしまいます。
そこから逃げるためにも、もがき続けることが大切です。
無力感を学習してはいけません。
あなたは、もっと幸せになる可能性の方が高い事を、忘れてはいけません。

 

オリザリサーチのホームページ

 

相談・カウンセリングはこちらから