最初にゴタクをいろいろ並べましたが、一応は 説明してきたかったので。 いよいよ 紙上の夢旅行 開始です!!


…時は 1969(昭和44)年の夏のある日、大きなリュックサックを背負った 管理人オータが上野駅に現れました。

手に持った切符はその日から有効の、東京都区内発の 北海道均一周遊券です。学生の夏休みということで。

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1969年5月号の時刻表より

この均一周遊券は、1980年代には「ワイド周遊券」と呼ばれていました。均一という名が示すとおり、一定の地域

の国鉄の普通列車と急行(バスや航路も含む)が 期限の間は乗り放題という 有難い切符です。実際、管理人

は1980年代に 何度も北海道をはじめ 全国を旅しましたが、青春18きっぷと併用しつつも 長期間になれば

なるほど、この周遊券の有効性を感じておりました。北海道の鉄道を乗りまくるのなら、当時は 基本の切符に

なります。

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当時の 北海道周遊券の値段などが表記されていますが、九州からだと なんと30日も有効だったのです。

ワイド周遊券の頃には どこからでも20日になっていたと思います。ちなみに、東京都区内からは 21日有効で

値段は 学割で10,500円でした。では、この切符一枚を とりあえず持って 出発することにしましょう。ついでに

お財布の中には 伊藤博文サンの千円札が五枚、所持金五千円で スタートすることにします!!

鉄キチだった管理人のことですから、大まかな計画は立ててあります。ただ、細かい部分は 北海道に着いてか

ら 道内時刻表を購入して考えようとも 思っていました…

さて、当時の 東京から北海道方面への 連絡は、
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道内時刻表 1969年7月号より

この頃は まだ飛行機の本数も少なく 搭乗券も高価で機材も小型だったので、多くの人々が 国鉄で北海道を

目指していました。飛行機による輸送が 本格的になるのは1980年代のことですね。

で、見てのとおり… 朝から晩まで 特急も急行列車も青森へ向けて たくさん運行されています。どの時間帯を

利用しても、札幌に着くまでに必ず 車船中一泊を要しました。

管理人の頭の中には いきなり札幌を目指すのではなく 函館・道南周辺の路線をまず乗ってみようという考え

がありました。見開きの一番右側にある 朝一番の 上野6:55発急行八甲田1号で乗り継いで 24時前に函館へ

着くより、もう少しゆっくり出て、翌朝早く函館へ というルートを選択したのです。

そういうわけで、上野12:10発急行十和田1号の自由席に 腰を下ろして 上野駅を出発しました… 乗り込む前

には とんかつ弁当200円と お茶20円を購入。もっとも、発車するかしないかのうちに平らげてしまいました(笑)

常磐線経由の 客車急行なので、単線区間もあり それほどスピードは出ません。暑いので、平で8分停車の間

に売店でジュースを一本。この頃、ペットボトルはおろか缶ジュースさえまだ出始めた頃で、自動販売機など無

かったはずです。そういう設定で この先も書いていきます。

17:52に仙台到着、お客が降りては乗ってくる中 夕食の駅弁を探しにホームへ。お腹も減ったので うなぎ弁当2

00円とお茶20円を買いました。例のごとく、すぐに食べてしまうのです。しかし 青森は遠くて まだ五時間以上も

かかるのです。暗くなり始めたので、一眠りすることにしましょう。

賑やかなアナウンスと人々の喧騒が聞こえて 起きたのは、盛岡。20:40の到着です。大勢のお客が降りました

が、それほど乗客は増えません。青森までの主要駅に止まる最終列車なのですが。足を伸ばしてくつろいでいる

うちに発車。列車は 奥中山を登りだしました。その時、車内アナウンスで女性の声が… この頃は 普通急行に

も食堂車が連結されていたのです。青森到着へ向けて、食堂車の最終案内でした。

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1969年7月号の 道内時刻表より  中ほどに 急行十和田1号の編成が。7号車が食堂車です。

仙台で食べた うなぎ弁当など とっくに消化してしまっていたので、車内中ほどにある食堂車へ行ってみること

にします。けっこう混んでいましたが、空席を見つけて座ると ウェイトレスがやって来ました。180円のチキンライ

スを頼むと、コップに入った水が置かれます。向かいの席では ビールやお銚子を何本も並べて おじさん二人

が 方言丸出しで 歓談の最中。やがて 白いお皿に盛られた チキンライスが置かれると、そそくさと食べてし

まい会計を済ませて、また車端の自由席に戻りました。もちろん、重いリュックサックは 網棚の上に無事です。

駅に止まるたび 車内のお客が減っていく中、車掌がやって来て 青函連絡船の乗船名簿を配りだします。管理

人も一枚もらって、氏名や住所など書き込みました。もちろん、普通席です。夜の景色に飽きた頃、23:45定刻に

急行十和田1号は 青森駅のホームに滑り込みました… いよいよ 青函連絡船で北海道へ向かいます。

一日目費用明細:  弁当200円二個、お茶20円二個、ジュース50円、チキンライス180円  …計670円
                                                            つづく