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撮影  急行はまなす 札幌発青森行  2016.3.21 0:25AM 室蘭本線伊達紋別駅 にて

前回、開拓期の北海道において いかに鉄道が重要視され 住民に有り難がられたか、少し触れました。そもそも長い間、普通の人々は 内地との往復、いや道内の移動でも、ほとんど鉄道を利用していたのです。というか、少なくとも昭和40年代までは 全国的に鉄道が最も移動手段として使われていたのでは。


たとえば 50年前、1966年の時刻表を ひもといてみましょう…

札幌東京間の飛行機輸送は ジェット機で一時間十分、プロペラ機で二時間強 かかりました。
日本航空   七往復 一往復を除いて 124席のジェット機 一往復はプロペラ機(深夜便 定員不明)
全日空    六往復 129席のジェット機
日本国内航空 三往復 二往復は124席のジェット機 一往復は64人乗りプロペラ機

ちなみに 現在は 成田行きを含めると 約八十往復にもなり、これだけで五倍は違います。もちろん機材は大型化されていますから、当時との輸送力は二十倍ほどの開きがあると思います。北海道の人口は当時より50万人程度増加しただけです。単純には比較できませんが、いかに飛行機の進出=鉄道の衰退が顕著なのかを 示す一例になると思います。
そして、面白いのは 20~30分程度ですが、飛行機の運航時間が短かったこと。これは現在は 空港を発着する便が増えたことに伴う待機時間が入ったからでしょう。今のほうが 若干時間がかかるのです…
さらに 全国も含めてそうですが、北海道の人口は 五年ほど前から減少に転じていることは、この先を書き進めるにあたって 留意しなければならないと思います。

さて、当時の鉄道の輸送についても 簡単に触れておきます。
まず、青森函館間の 青函連絡船が 10往復、当然にも 24時間体制での運航です。それに本州側と北海道側で 数多くの列車が接続していました。最も早かったのが、札幌発19:35の 特急おおぞら から連絡船を介して、青森から特急はつかりを利用して 上野着が翌15:15と 所要19時間40分です。また 函館からだと 14時間50分になります。
このたび開通する北海道新幹線利用による 札幌から(東京まで)8時間あまり、函館から4時間あまりを思うと、まさに 隔世の感がありますが… でも、料金のほうも 見てみなければいけません。

札幌東京間は 飛行機だと 片道11,000円。一方 鉄道の最速プランが 二等4,400円ほど。急行列車にすれば時間はかかるものの まだまだ安く行けました。あるいはどこかで 寝台列車を使うと二等寝台下段で5,400円、上段なら5,200円になります。ゆったりと すべて一等車(今のグリーン車)利用でも8,700円、さらに一等寝台車にも乗ってようやく 10,700円と 飛行機とほぼ同じになるのです。が…当時 全て一等車に乗るのは、お金持ちですから、結局は普通の人々には無縁な世界。飛行機自体も やはり お金持ちたちのものだったようです。庶民は安く行けれるかわりに、一昼夜の長旅を余儀なくされました。

さて 現代に眼を転じると… 
飛行機の運賃は トンでもないダンピング合戦になっています。新千歳~成田間なら LCCの最安値だと片道3,990円!! 逆に高く乗ろうとすれば 羽田も成田も 39,990円という通常運賃がありますが、この値段で乗ることは よほど差し迫った事情がある場合に限られます。繁忙期はともかく エアドゥやスカイマークでも3万円を切るくらいが、最高値の運賃になるでしょう。
そして 函館から北海道新幹線を利用した場合の 札幌東京間ですが、ネット割引無しだと 31,260円、
ネットの事前購入割引で最安値が 25,580円 だそうです。もう 言わずながもですね。私の妻も たびたび東京へ行きますが、エアドゥ(やはり 道民ですから…)の28日前割引で 片道 ほぼ12,000円くらいで航空券をゲットしております。やはり、北海道新幹線など乗る気は無いとのコトです。 


話しを戻しますが 気がつくと… 東京-札幌間の移動手段として、鉄道を利用するのは わずか2% などという事態に陥っています。こうなると、北海道新幹線が開通したくらいでは 鉄道にお客が戻るとは 考えにくいのです。特に ビジネスなどの用務客にとっては、飛行機に比べて時間がかかりすぎるのが 論外でした。
そんな状況でも 細々と、本州連絡の手段として 時刻表には 列車の接続が案内されてきたのです。それは最近まで、鉄道を利用すれば 安く行かれるという利点が 残っていたからでした。
しかし ながら、今まで 比較してきたとおり、料金面でも 飛行機のほうが圧倒的に有利なのです。時間的にもまったく 歯が立たない。これは 札幌延伸が かなったとしても 同じような状況が続くことでしょう。それでも 札幌まで 新幹線を走らせなきゃならいのでしょうか!? 結果は見えていますヨ。
観光客だって、必ず乗ってくれるアテもないし、鉄道ファンだって そんなに優しくないでしょう。今日も 当地 北海道新聞が、 開通に向けていろいろな記事、また観光関連の広告が紙面を飾っていますが…笑止なものがほとんどですね。
唯一 役に立つとしたら、天候その他のトラブルで 飛行機が飛べなくなった時の 代替手段としてだと思いますが… しかも 天気が悪ければ 新幹線だって運行できるかどうか? 大自然は甘くないです。

このように 道民の視点から見ても、大丈夫なの? という疑問だらけなのです。次回は 函館を中心にした問題について、さらに触れて行きたいと思います。 ご意見、ご感想 大いにけっこうです。
                                         (つづく)