「暗号」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか? スパイ映画に出てくる秘密のメッセージ、戦争中の極秘通信、それとも難解なパズル? 私はもともと謎解きや推理が好きで、暗号に対しても漠然とした興味を持っていましたが、『De/Cipher: The Greatest Codes Ever Invented and How to Break Them』 を読んで、その奥深さと面白さに完全に引き込まれてしまいました。この本は、ただの暗号解説書ではなく、人類の歴史と共に進化してきた「秘密を守る技術」の物語でもあります。

Morse Code

古代から現代へ、暗号の進化をたどる旅

この本は、古代文明から量子暗号まで、時代を超えて暗号技術がどのように発展してきたのか を紹介しています。最初の章では、ローマ時代の「シーザー暗号」や、未解読の「ヴォイニッチ手稿」、古代ギリシャの「ポリュビオスの暗号」など、歴史に残る暗号システムが登場します。特に興味深かったのは、暗号の発展が単なる知的遊びではなく、政治や戦争と深く結びついていた という点です。

たとえば、シーザー暗号は単純な文字の置き換え暗号ですが、ローマ時代の軍事機密を守るために活用されました。また、「一度解読されてしまった暗号は、すぐに時代遅れになる」というのも印象的でした。新しい暗号が生まれ、それを破る解読者が現れる… まるで終わりのない知的な戦いのようです。

🔐 シーザー暗号を試してみよう!
文字を3つずらす暗号(A→D, B→E)を使って、以下の文章を変換してみてください。
👉 "MYSTERY IS FUN"

このシンプルな暗号も、歴史の中では重要な役割を果たしてきたのです。

戦争と暗号:情報戦の鍵を握る技術

この本の中盤では、戦争の歴史を変えた暗号 に焦点が当てられています。特に印象的だったのが、エニグマ暗号機 の話です。第二次世界大戦中、ドイツ軍が使用していたこの暗号機は、当時の技術では「解読不可能」とされていました。しかし、アラン・チューリングと彼のチームがこの暗号を解読したことが、戦争の終結を早める大きな要因になった のです。

このエピソードを読んで、暗号学が単なる数学やパズルの世界ではなく、「人々の命を左右するもの」だったことを改めて実感しました。現在でも、サイバーセキュリティや軍事情報の保護において、暗号技術は最前線で活躍しています。

また、この時代には モールス符号(Morse Code) も重要な役割を果たしました。短点(•)と長点(–)の組み合わせだけで情報を伝達するシンプルな仕組みですが、戦場では迅速な通信手段として欠かせないものでした。

🔐 モールス符号を解読してみよう! ( morse code translator)
👉 "-- .- --. .. -.-. / .. ... / .- -- .- --.. .. -. --. "

この暗号を解読すると、ある「魔法の言葉」が現れるはずです!

デジタル時代の暗号:私たちの身近にある秘密のコード

現代では、暗号技術は日常生活に欠かせないものとなっています。スマートフォンのロック解除、オンラインショッピングのクレジットカード決済、SNSのメッセージ送信… これらすべてが、暗号技術によって安全に守られています。

本書では、公開鍵暗号(Public Key Encryption, PKE)AES(Advanced Encryption Standard) など、現代のインターネット社会を支える技術についても詳しく解説されています。これらの暗号は、単純な文字の置き換えではなく、数学的に高度な手法を使ってデータを保護するものです。

特に興味深かったのは、量子暗号(Quantum Encryption) についての話です。従来の暗号は計算能力が向上すれば解読される可能性がありますが、量子暗号は「情報を盗み見ようとすると即座にデータが変化する」仕組みになっているため、完全に安全な通信が可能になると期待されています。これが実用化されれば、未来のサイバーセキュリティは劇的に変わるでしょう。

読後の感想:暗号学は単なるパズルではない

この本を読んで、暗号学は単なる「知的な遊び」ではなく、歴史や社会、技術の発展と密接に関わっていることを改めて実感しました。特に印象に残ったのは、暗号を生み出す者と、それを解読する者の終わりなき戦い です。

また、暗号解読者たちの物語も非常に興味深いものでした。たとえば、エリザベス・フリードマン という女性暗号解読者は、もともとは文学好きの一般人でしたが、その才能を見出され、第二次世界大戦中に重要な暗号を次々と解読しました。暗号学の世界では、数学者だけでなく、こうした直感的なひらめきを持つ人々も大きな役割を果たしているのです。

そして何より、この本を読んだことで「暗号は私たちの身近にある」ということを強く感じました。SNSのメッセージアプリ、銀行のオンライン決済、さらには映画やゲームの中にも暗号は潜んでいます。もしあなたが謎解きや推理が好きなら、きっと暗号の世界にもハマるはずです。

最後に、この本をきっかけに「自分だけの暗号を作ってみる」というのも面白いかもしれません。友人や家族に挑戦させてみたり、日記を暗号化してみたり… 暗号の世界をもっと身近に感じることができるでしょう!🔍🔐