さよならが言いたくて。
さよならと言えなくて、弱るだけのあなたに呼びかけ続けたあの日。声は届いていましたか。終わりの足音に追いかけられる様に、願うしかなかったあの短い時間、何を他に思えば未来を変えることができましたか。どこにも行くあてなくて、ただ小さくうずくまるしかないこの心をどこへ持っていけばよかったですか。誰に胸の内の悲しさを押しつけてよかったですか。誰にも受け止めようのない思いだと、大人になりすぎた私はわかっていて、悲しみすら誰にも思い切り表せなくて。もっと悲しい人が他にも居るって、平常心と落ちゆく気持ちが混同してしまう。落ち切れずに、崖の端を掴んだまま悶える。這い上がれたらいいのに。落ちてしまえたらいいのに。どちらかでいれないのは現実の難しさなのね。