麻央さんが亡くなったのは、実は嘘で、夢の世界だと願いながら、この何日間眠りについておられると思います。でも寝ても覚めても、やはり麻央さんは亡くなったということは現実なんだと思い知らされます。
これが夢であったならばと、どんなに願われたことでしょう。
海老蔵さんは、
なるべく変わらぬ日々を、
役者として舞台に立ち続けなければ、
これからは父親も母親もやらねば、
と、自分自身を奮い立たせようとされています。
強く生きていかねば。
でも悲しみが止まらないのです。
私が15歳で父親を亡くしたときもそう思いました。周りの大人から「これからはしっかり強く生きていかないとね」と言われているように感じたし、私自身もそう感じていました。
一週間ほど学校を休んだ後、久しぶりに登校し、私は当時、女子バレーボール部に所属していたので、顧問の先生に呼び出しを受けました。
そして、その先生だけは私にこう言いました。
「大変だったね。悲しい想いをしたね。お前は強くなる必要はないよ。お前と同じ経験をした人の悲しみが分かる優しい人になる。お前は優しい人になりなさい。」
この言葉に、高校1年生だった私はなぜかとても驚きました。
「強くならなくていいんだ。優しい人になればいいんだ。」と。
この言葉が38歳になった今でも、何ひとつ色あせることなく、私の胸に刻まれ、私自身を支え続けています。
先生、ありがとうございます。
そして先生は、私が20歳になった頃、私の父親と同じ「クモ膜下出血」で亡くなってしまいました。
こんな悲しい偶然ありますか。
先生・・・
お父さん・・・
私を支え続けてくれてありがとう。
どんなに月日が流れても、あなたのことを想うと涙が止まりません。