はい、やってまいりました!
気まぐれ短編小説第2弾!(^-^)/
今回はYour color know Beatのモノクロームと言う曲をテーマにしたお話です(*^^*)
実はモノクロームと言う曲は、作詞も俺が担当したレアな曲です笑
なのでよくお客様に、「Yukkiも凄い大恋愛してたんだねぇ」とか、「まだ元カノが忘れられないんだね」とか思われがちなのですが、そんなことはありません(^_^;笑
頭の中に浮かんだ物語を詞にしてみたって感じの曲なのです!
なのでこの物語と曲をヒントに、皆さんオリジナルの「モノクローム」を思い描いて楽しんで頂ければなぁと思います(*^^*)
それでは、始まり始まり~(^-^)/
______________
「ふぅ。疲れた」
俺は執筆中のペンを机の上に置き、両腕を頭の上に振り上げて大きく伸びる姿勢をとった。
自分の脳内で思い浮かべた音楽を曲として完成させるのは本当に大変だなと思いながら、先程出来上がった歌詞の無い音楽をひたすらリピートし続ける。
「まぁ、こんなもんかな。」
色々なことを思いつつも、俺はやっとの思いで歌詞を完成させた。
俺は完成したその曲に『モノクローム』というタイトルをつけた。
「モノクロームかぁ………」
そう呟いた瞬間、赤い夕日に包まれた大好きだった公園の風景が脳内に浮かび上がった。
そして書き下ろしたばかりの歌詞を眺めながら、俺は昔出会った一人の少女のことを思い出していた。
俺がまだ幼い頃、俺は近くの公園に遊びに行ってはよく砂遊びをしていた。
友達と山を作ったり、トンネルを掘ったり、川を作ったりと、砂を利用してあらゆるものを作っては壊して遊んでいた。
夕暮れに近づくに連れて友達は次々と自分の家に帰っていったが、俺は日が暮れるその時までずっと公園で遊んでいた。
赤い夕焼けに包まれていく公園には誰もおらず、まるでこの世界全てのものが自分のもののように感じられる錯覚さえ覚えてしまう。
そんな幻想的な風景だった。
やがて、友達はだんだん公園で遊ぶことに飽き始め、気がついた時には俺一人で遊ぶようになっていた。
ある日、いつものように公園に遊びに行くと、同い年ぐらいの見慣れない女の子がブランコを漕いで遊んでいた。
しかし、その女の子は顔をうつむして寂しそうな表情をしていた。
俺はその子のことが気になったので、思いきって声をかけてみた。
「一人で遊んでるの?」
女の子は突然話しかけられて驚いていたが、少し間を空けてから答えた。
「………うん」
俺は一人で遊ぶより二人で遊んだ方が楽しいと思い、その女の子を遊びに誘ってみた。
「そっかぁ。よかったらこれから一緒に遊ばない?僕も一人なんだぁ」
遊びに誘うやいなや、女の子の表情はみるみるうちに明るくなっていった。
「うん!」
それから俺達は砂場で遊びながらお互いのことを話し始めた。
「名前はなんていうの?」
「たまき」
「じゃこれからはたまきちゃんって呼ぶね」
「うん」
二人で砂山を作りながら会話は続く。
「どうして一人で遊んでたの?」
「まだ引っ越してきたばかりで、友達がいないの」
「そうだったんだ。じゃ僕が友達になるよ!」
「本当?」
「うん!」
たまきは嬉しそうに笑った。
俺もたまきが笑っているのを見て、嬉しくて笑っていた。
たまきから聞いた話しによると、たまきの親は忙しいらしく、転勤で引っ越しを繰り返してきたらしい。
友達もなかなか作ることもできず、いつも近くの公園に行っては一人で遊んでいたのだった。
友達ができた!と、たまきはとても喜んで楽しそうに遊んでいた。
俺達は遊びに夢中になり、気がつくと辺りはもうすっかり日が暮れは始めていた。
「私、もうそろそろ帰らなきゃ」
たまきはまた、ブランコに乗っていた時のように寂しそうな顔をして言った。
「そっか。じゃ僕も帰るよ。またねたまきちゃん!」
俺はそう言って手を振ると、たまきに背中を向けて駆け足で帰ろうとした。
「待って!」
たまきの叫ぶような声が聞こえて、俺は立ち止まり後ろに振り返った。
「………今度はいつ遊んでくれる?」
たまきは不安そうに俺を見つめながら言った。
「僕、いつもこの公園で遊んでるからまたおいでよ!」
俺がそう答えると、たまきの表情が明るくなった。
「わかった!また来るね!バイバイ!」
たまきはニッコリ笑いながらそう言うと、手を振りながら走り去っていった。
それから次の日も、その次の日も、たまきは公園でブランコに乗りながら俺のことを待っていた。
俺の姿を見つけると嬉しそうに笑って、「今日は何して遊ぶ?」と訪ねて来た。
そんな人懐っこいたまきと遊ぶのが楽しくて、俺は毎日のようにたまきと一緒に遊んでいた。
その時は、こんな日常が、たまきと過ごす楽しいこの時間が永遠と続くんだと思っていた。
日が暮れても、また明日になればたまきと遊べる。
そう思っていた。
だが、別れの日は何の前兆もなく突然やって来たのだった。
俺は、いつものように公園でたまきが来るのを待っていた。
公園の向かい側の道路には、なにやら人だかりが出来ていて、パトカーやら救急車が来ていたが、俺はそんなこと気にも止めず、早くたまきと遊びたくて仕方がなった。
その日たまきが公園に来ることはなかった。
俺はきっとなにか用事があったのだろうと思い、特に気にすることはなかった。
しかし、それ以来たまきが公園に来ることはなかった。
俺はまさかたまきが引っ越してしまったのではないかと思い、たまきの家に向かった。
たまきの家は公園の近くにあって、「ここ私の家なの」と教えてもらったことがあった。
たまきの家に行ってみると、特に引っ越した様子もなさそうだった。
おかしいな、じゃ何故公園に来ないのだろうと首を傾げていると、突然家のドアが開き、たまきの母親が出てきた。
俺が家をジロジロと見ていたせいだろうか、その人は俺に声をかけて来た。
「あなた、たまきのお友達?たまきに会いに来てくれたのかしら」
たまきの母親とは初対面だったが、とても優しそうな人で、たまきによく似ていたのですぐにたまきの母親だとわかった。
「はい」
俺は少し緊張しながら答えた。
「そう。わざわざありがとうね。上がって頂戴」
おばさんはそう言うと、ドアを全開にして俺を家の中に入るように促した。
俺は「お邪魔します」と、一声かけて言われるがまま家の中に入っていった。
俺はそのまま、ある部屋の前まで案内された。
「たまき、お友達が来てくれたわよ」と、おばさんは声を震わせながら言った。
俺は訳が分からなかったが、そのまま扉を開けた。
…………そこに、たまきの姿はなかった。
そこにあるのはたまきが可愛らしく笑っている写真が供えてある仏壇と、線香の香りだけだった。
「おばちゃん。たまきちゃんはどこにいるの?」
まだ幼かった俺には、この状況を理解することができなかった。
今思えば、おばさんにはとても残酷な質問をしてしまったと後悔している。
おばさんは泣きながらも、残酷な問に答えてくれた。
「たまきは私たちの心の中にいるのよ」
おばさんはそう言うと、手で顔を覆って泣き崩れてしまった。
おばさんがそう言った瞬間、たまきと遊ぶことはもう二度と出来ないのだとわかった。
まだ幼すぎる俺には、「死」というものがあまりにもあやふやな概念であり、理解し納得する事が出来なかったが、もうたまきに会えないということだけは感覚的に感じることができた。
同時に言葉に著すことが出来ないほどの悲しみ、やり場のない怒り、恐怖、はたまた虚無感が俺の心、体を蝕んでいく。
もうどうしたらいいのか分からず、今にも泣き出しそうになったがグッと堪えた。
おばさんの前で泣いてはダメだと思った。
ただ、何故そう思ったのかはわからない。
「おばちゃん、お邪魔しました」
俺は一礼すると足早に公園に向かった。
公園に着いた途端、グッと堪えていた糸が切れ、俺は泣いた。
この公園でたまきと過ごした時間が走馬灯のようにフラッシュバックされていく。
たまきの楽しそうな笑顔はもう二度と見ることができない。
そう思っただけで、涙が止まらなかった。
それ以来、俺は笑えなくなった。
どんなに楽しいことがあっても笑えなかった。
心の中にポッカリと大きな穴が空いたような感覚がまとわりついて離れない。
そう。
たまきは俺の世界そのものだったのだ。
そんなある日、不思議な夢を見た。
俺はいつもの公園にいて、砂場で一人で遊んでいた。
周りを見渡しても、公園には誰もいない。
シーンと静まり返った白黒の世界で、たった一人だった。
気がつくと、ブランコにたまきが座っていた。
俺はたまきに駆け寄ろうとしたが、体が上手く動かない。
たまきはこちらを見つめ、なにかを呟いているのだが、音がない世界なので聞き取ることが出来ない。
たまきは申し訳なさそうな顔をしていたと思うと、急に満面の笑みを浮かべてニッコリと笑った。
すると色の無い公園が、急に真っ赤な夕焼けに包まれた公園に変わっていく。
そこで、ハッと目が覚めた。
夢の中ではたまきがなにを伝えたかったのか分からなかったが、目が覚めてからなが言いたかったのかがハッキリとわかった。
何故起きてから解るのかは俺にも分からなかったが、俺はたまきに向けて最後の言葉をかけた。
「………バイバイ。たまきちゃん。またね!」
あれからもう何十年もの時が過ぎた。
あの夢のお陰で、俺の中の止まったままだった時間が動き始めた。
たまきがいないこの世界でも、こうして前を向いて歩いていける。
たまきは本当に死んでしまったのか。
いや、違う。
彼女は歳もとらずに、あの時の姿のまま俺の中で生き続けている。
そして俺が道に迷って立ち止まっているとき、そっと背中を押してくれているのだ。
人は誰しもそうやって誰かに支えられているのだろう。
そして自分もまた、誰かを支えられるように新しいプロローグを描いていく。
俺はそっと歌詞から目を反らし、そのまま目を閉じた。
俺はこうやって曲を作り、歌を唱うことで誰かの背中を押せる人になろうと改めて強く思った。
それがきっと、俺がいまここにいることの全てだ。
握った拳に自然と力が籠る。
そしてその役目を全うし終える時が来たら、俺はやっとたまきに会わせる顔が出来るのだろう。
その時、たまきはまた笑ってくれるだろうか。
そんなことを思いながら、俺はゆっくりと閉じた目を開いた。
そして、出来上がったばかりのこの歌詞をメロディーにのせて口ずさみ始めた。
『モノクローム』by.Yukki
いつもと同じ景色なのにどうして
すべてが違っている別の世界
君と出会ってからの僕の心は
柔らかな光の中包まれていた
時はただ同じリズムで
僕をいたずらに置いていく
君はどこでどうしているかな
同じ空見ているかな
大好きだよって言ってくれたあの日を
忘れたいのに忘れることできなくて
大嫌いだって喧嘩したあの夜も
色褪せない大切なモノクローム
いつもと同じタバコなのにどうして
少しだけほろ苦く感じるんだろう
もし一度だけ魔法が使えるのなら
僕の中にいる君を消し去りたい
出会い別れを乗り越えて
人は強くなっていくもの
どっかで聞いたことあるけど
本当にそうなのかな
傍にいること当たり前だと思ってた
いつも通りの変わらない日が幸せで
左右対称に流れる時間が過ぎ
動かない錆びついたメトロノーム
夢で会えた君は
あの時のままで
何かを伝えようと
僕を見つめる
わかっているよ
なにを伝えたかった
そろそろネジを回して進まなきゃね
止まったままの時間が動き始めた
ゆっくりだけどchikutakuと確実に
本当にありがとうこれが最後のさようなら
これからが本当の僕のプロローグ
fin.
_______________
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました(*^^*)
「モノクローム」はYour color know Beatにより去年の4月にリリースされた「プラネタリウム」というCDの二曲目に収録されています。
本当にいい曲なので、是非CDゲットして聞いてみてください!(^-^)/
それでは、次回作もお楽しみに(*^▽^*)