◆C型肝炎◆ | オレサマのブログ
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C型肝炎(英: Hepatitis C)とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。以前は、非A非B型肝炎と称されていた。
ウイルスについては「C型肝炎ウイルス」を参照

疫学
現在の日本のHCV感染者数は約200万、
世界では1億7千万(世界人口の3パーセント近く)がキャリアであると見られている。

日本ではインターフェロン治療が効きにくい1b型が70 - 85パーセントを占め、
以降2a型が10 - 15パーセント、
2b型が約5パーセントで、他はまれである。
ただし、血友病患者では1a型が多い。
これは血友病患者がC型肝炎に罹患する原因となった血液製剤の輸入元であるアメリカでは1a型が最も多いことに由来する。
U.S. Preventive Services Task Forceは、1945~1965年生まれのすべてのアメリカ人に対してC型肝炎スクリーニングを推奨することとした。



感染経路
HCVは血液が主な感染経路で、かつては輸血による感染が多かった。
ディスポーザブル注射器の普及により現在においては先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。
現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。

B型肝炎と異なり、性行為ではほとんど感染せず、また母子感染も少ない。

血液製剤(フィブリノゲン製剤、第IX因子製剤)の投与によるC型肝炎感染については、非血友病患者に対する投与に対して国と製薬会社を相手とする訴訟(薬害肝炎訴訟)が起こされている。



病態
肝硬変については「肝硬変」を、肝細胞癌については「肝細胞癌」を参照



初期感染
一般に自覚症状が乏しい場合もあるが、
発熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、口腔扁平苔癬が出現し、
血液検査にて肝障害(AST・ALT高値)、
黄疸(T-Bil高値)を認めるといった急性肝炎症状を呈する場合が多い。
なお、B型肝炎やA型肝炎に比較して劇症肝炎を呈する例は稀である。



持続感染
初期感染後に、血液検査にてALTが正常化しHCV-RNAも陰性となってC型肝炎ウイルスが排除され治癒する場合もあるが、70パーセント程度はC型肝炎ウイルスが排除されず、血液検査にてHCV-RNA陽性状態が続き、持続感染状態となる。

慢性肝炎
血液検査にて、HCV-RNA陽性でALTが正常な場合は無症候性キャリアであるが、多くの場合はALT高値持続し慢性肝炎状態となる。
ALT高値が持続する慢性肝炎の状態を5~10年以上経過することで、その後肝硬変への移行・肝細胞癌発症となってくる。
慢性肝炎持続の場合、約60パーセントが肝硬変へと進展し、肝硬変後は年間7 - 8パーセントが肝細胞癌を発症する。
肝硬変に至る前は肝細胞癌への発症率は低い。
肝硬変になると腹水やむくみ、黄疸などの症状が現れ、腎臓の炎症(膜性増殖性糸球体腎炎)を合併することがある。



検査
問診
基本的に血液感染によって成立するため、輸血、注射、手術、針刺し事故、覚醒剤注射などの感染の原因となりうることがあったかどうかを確認が大切である。

血液検査
血液検査の目的は主に肝炎があるかどうかや、肝炎の程度、肝臓の機能を調べること。

ウイルス検査
HCV抗体:多くの医療機関・検診等にてスクリーニングで施行。感染初期には陰性を呈する場合も多い。
HCV-RNA:C型肝炎ウイルスのRNA量を測定する。
手法はいくつがあるが、現在主にTaqMan real-time PCR法が用いられる。
HCV抗体陽性でも、HCV-RNA陰性の場合は既感染・治癒症例と診断する。
HCVウイルス量は、治療成功予測因子でもある。
抗ウイルス治療後の効果判定にも用いられる。
発癌とウイルス量は相関しない。
HCV-RNA定量のDNA-probe法やTMA法は、測定感度が低く、現在はあまり用いられない。
HCV-RNA genotype/serotype:HCV-RNAの型によってインターフェロン療法の治療効果推測に用いられる。



肝障害
ALT・AST
肝線維化
IV型コラーゲン・ヒアルロン酸など

肝機能
血小板 (Plt)、プロトロンビン時間 (PT)、アルブミン (Alb)、コリンエステラーゼ (ChE) など
肝細胞癌の腫瘍マーカー
AFP、AFP-L3、PIVKA-II:これらは肝炎マーカーではないが、肝癌スクリーニングのため、上記検査と同時に行われることが多い。

画像検査
以下の画像検査によって、慢性肝炎~肝硬変・肝細胞癌の発生を評価していく。

腹部超音波検査
CT
MRI
病理組織検査
肝生検により肝臓の傷害について、リンパ球浸潤や線維化などの組織学的評価ができる。



治療
有効なワクチンは実用化されていない。
慢性C型肝炎の治療の目的は、C型肝炎ウイルスの除去による慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。

急性C型肝炎は基本的に保存的加療がなされる。

治療薬は血液中のウイルスの量とウイルスの型によって使い分けられる。
肝外病変治療、慢性肝炎症状緩和のための対症療法、ウイルス排除のための治療が行われる。



抗ウイルス療法
抗ウイルス治療はC型肝炎ウイルスを排除する治療である。

従来はインターフェロンを基本とした治療が基軸であったが、近年は「直接作用型抗ウイルス剤(Direct Acting Antivirals; DAA)」の治療成績が良好で、非常に高額な治療であるが、ほぼ第一選択として行われている。

治療効果は血液検査にてHCV-RNA量を測定して評価し、治療終了後6ヶ月の時点までHCV-RNA陰性が持続している状態を「ウイルス学的著効 (SVR; sustained virological response)」と言う。

治療対象
日本肝臓学会による治療対象は、「非代償期肝硬変以外のすべてのC型肝炎症例」が抗ウイルス療法の治療対象である。

ただし、肝病変以外の合併疾患があり、予後が不良である場合には適応としないことや、後述のDAA製剤治療では、肝細胞癌を発症している場合には、癌の治療コントロールが優先とされ、癌の治療を終えて再発を認めていない場合にのみ治療対象とされている。

肝臓の炎症を反映するALT値が上昇している症例(ALTが30U/l超)、あるいは肝臓の線維化の程度を反映する血小板数が低下している症例(血小板数15万/μl未満)がC型肝炎に対する抗ウイルス療法のよい治療適応となる。

ALTが30U/l以内かつ血小板数15万/μl以上の症例については肝発癌リスクが低いことを考慮に入れて抗ウイルス療法の適応を決める必要がある。
インターフェロン治療(IFN)
インターフェロン (IFNα) を基本とし、IFNα単独療法から、IFNα2b+Ribavirin(リバビリン)併用療法が開発され発展してきた。

以下のポリエチレングリコールを付加し体内停滞時間を持続させたペグインターフェロン (PEG-IFNα)+リバビリンの併用療法が一般的であった。

治療方法はウイルスのserotype(血清型)やgenotype(遺伝子型)によって選択される。基本は24週間の投薬で、治癒が見られない場合はさらに24週間の計48週間の投薬治療が行われる。
PEG-IFNα2a+Ribavirin
PEG-IFNα2b+Ribavirin
また以下のIFNを用いることもある。
IFNα
IFNα:肝硬変進行例でも適応
IFNβ:肝硬変進行例でも適応
Consensus-IFNα・IFNαcon1
直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting Antiviral Agents:DAAs)
近年以下の直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting Antiviral Agents:DAAs)が開発され、治療成績が非常に良好で、ほぼ第一選択として行われている。
ただ非常に高額な薬剤であることが問題となっており、日本においては指定学会専門医による診断申請をもって公費助成制度が存在している。
また薬剤耐性遺伝子変異(Y93/L31:NS5A領域 IL28)がある症例では一部治療効果が低くなることが知られており、高額治療のため慎重に適応が判断される。
NS3/4A(プロテアーゼ)阻害薬
ボセプレビル Boceprevir(BOC)
テラプレビル Telaprevir(TVR) : TVR(テラビック Telavic インシベックIncivek バーテックス・ファーマシューティカルズ)として日本で最初に承認されたDAA製剤で、PEG-IFNα2b+Ribavirin+TVRの3剤併用療法で販売された
シメプレビル Simeprevir
ファルダプレビル Faldaprevir
バニプレビル Vaniprevir(VPV) : VPV(バニヘップ Vanihep メルク)として、1型ウイルスに対してPEG-IFNα2b+Ribavirin+VPVの3剤併用療法で販売されたが製造終了となった
アスナプレビル Asunaprevir(ASV):ASV(スンベプラ Sunvepra ブリストル・マイヤーズ)としてDCV+ASV 2剤併用療法があり、1型ウイルスに対してのSVR効果は高いとされているが非常に高額。
パリタプレビル Paritaprevir(PTV):OBV+PTV/rの3剤配合剤(ヴィキラックス Viekirax アッヴィ)があり、1型ウイルスに対してのSVR効果は非常に高いとされて