本日はオーケストラのライブラリアン業務について。
オーケストラでは楽譜を購入・レンタルし、演奏会およびリハーサルに使用しております。この準備に関わるのがライブラリアン(楽譜係)です。
オーケストラ等の西洋芸術音楽では楽譜を使用しますので(つまり口唱歌等による伝承ではないので)、この楽譜というものが非常に大切です。
さて楽譜について。
一般的に多くのアマチュアオーケストラではIMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)からの印刷で楽譜を手配することが多いかと思いますが、正直あまり推奨出来ない方法です。
出版社・版によって作曲家の直筆譜に準拠しているか」「どれだけ校訂されているのか」等が違うため、指揮者は版に拘ることが多いです。出版社や編集者等が違えば当然楽譜に載っている情報が変わってきます。ピアノ曲であれば指番号やペダリング、オーケストラ曲であれば使用楽器や持ち替え奏者(管打楽器)の指定が異なることもあります。オーケストラにおいては指揮者の使用する総譜と楽団員の使用するパート譜に記載されている指示・音程等が異なると思うように練習が出来ません。よって、我々ライブラリアンの出番です。
ライブラリアンはまず指揮者の使用する総譜を確認します。指揮者の使用する総譜と同じ出版社のパート譜を出来るだけ手配します(無い場合は比較的近い版を探します)。
次に、指揮者からの指示によって楽譜を書き換えなければならない箇所があれば練習開始前に書き換えておきます(今のところ当団ではこの作業を行なっておりませんが、プロ楽団であれば多くあるようです)。また、同じ出版社の同じ版を使用していてもパート譜にミスが残っていることもあるので、その箇所についても修正をします。例えば以下の譜面では総譜はpからのクレッシェンドでfまで達しているのですが、パート譜ではpの指示が抜け落ちているので補足しております。
また、練習が順調に進むように複雑な箇所などには事前にガイド(他パートの動き)を追加することもあります。
他にも練習記号等一致していない場合があるので修正し、パート譜を完成させます。
あとはパート毎にファイルに入れて練習・本番時に各パートの席に撒いて練習・本番が終われば回収するというところまでやればほぼ終わり、といった感じですが、なかなか作業の量が多いです…。オペラ等になれば1パート100枚近い場合も有りますので…。
ちなみに、アマチュアオーケストラ独自だなと感じるライブラリアンの仕事としては練習時の指示の書写しがあるかと思います。アマチュアオーケストラの場合プロ楽団とは異なり全員出席できないことも多く有るため、後ろの方のプルトの譜面に前のプルトのメモや変更点を書き写します。この作業は奏者間でやっていただいていることが多いですが、一応こちらでも確認しております。
このように演奏することはほぼ無いライブラリアンですが、ステージマネージャーや他の事務と同様結構演奏会を支えております。演奏会に足を運ばれる際には是非そのような点も見ていただけると幸いです。
(以下のようにライブラリ関係のツイートもしております。どうぞご確認ください。)
説楽譜ライブラリープロジェクト)から印刷して使用しているようですが、正直あまり良くないです…。ということで、その理由も踏まえご紹介して