東京の富裕層の娘、華子(門脇麦)。

華子は、30を前に婚活し、自分より格上の家柄である、青年弁護士・幸一郎(高良健吾)と出会い、婚約する。

しかし、幸一郎には、美紀(水原希子)という女性の影がチラつく。

富山出身の美紀は、幸一郎と同じ名門大学に合格。上京したものの、経済的に立ち行かなくなり中退。そのまま東京で水商売の仕事をしている時に、客として来店した幸一郎と再会し(在学中に一度だけ美紀が幸一郎にノートを貸した。ノートは返して貰っていない)、それから体の関係を持つようになった。

そんな全く別の階層に住む、華子と美紀が出会い、それぞれの選択をしていく話。

 

半年くらい前、UNEXTのポイントで見ました。

この映画を見て思い出したのが、津村節子の「華燭」。

確か、地方から上京してきた女子学生が、東京の富裕層の存在に気づき、その中の誰かと結婚することで、何とか仲間入りしようとして失敗する物語だったと記憶しています。東京の富裕層の男性を振り向かせるべく、主人公の女子学生が身支度を整える金を用立てるために血を売る、というくだりに、当時中学生だった私は震撼したものです。

1959年に描かれた「華燭」の主人公は、玉の輿を夢見て本当に血のにじむような努力をしていました。

 

そのおよそ60年後に制作されたこの映画の中で、幸一郎と肉体関係だけを結ぶ美紀は、婚約者・華子の存在を知り、さっぱりと身を引きます。そして、友人と一緒に起業しました。

 

この60年で、女性が結婚や金のある男性に縋らない選択ができるようになったんだな、と美紀の選択は嬉しく思いました。

 

一方、幸一郎とめでたく結婚した華子。しかし、幸一郎が、華子より幸一郎の家柄を守ることに重きを置いていることに気づき、結局離婚してしまいます。

 

自分を大切にしてくれない男だったら離婚する!という喧嘩上等の華子にも拍手を送りたいです。(ま、無職なのに喧嘩上等なことができるのも、富裕層だからですけどね)

 

この映画は、どんなに相手がパーフェクトな男性だとしても、だからと言って女が我慢してなるものか!という女性の矜持を描いた作品なのかもしれません。

とすると、「あのこは貴族」というタイトルは、華子についてのみならず、美紀の矜持にも捧げられたものとも言えるでしょう。

 

矜持のあるもの、これ全て貴族なり。

 

NYのあの有名なあの方のお顔がフッと浮かんでしまいました。

今年は合格するといいですね。