Where there’s a will, there’s a way.
宮部みゆき 『レベル7』

レベル7まで行ったら戻れない―。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに 次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。

超有名作品、いまさらですけどレビューです。

さすが宮部みゆき!という凝りっぷり。
最初は状況もよくつかめないまま、続きが気になってしまう導入部分。
状況があっちこっち入れ替わって、それぞれの謎のパズルがぴったり合うのを追っていくのが楽しい。
これぞミステリーの醍醐味ですよね~キラキラ

最初は、疑問だらけ。
レベル7って?記憶喪失?過去の凶悪犯罪事件?
いろいろと謎が多くて、それがどうやって繋がるのか読んでてわくわくします。
所々にちりばめられたヒントは、意外と分かりやすかったかな。
でもそのヒントだけで先の展開は予見できるわけじゃなくて、そこにハマって読み急いでしまう。
最後までダレずに読めて、読後感もスッキリ!
ありがちな「読んだ後気分が沈む」系のミステリーではないですひらめき電球

ゆかりちゃん(10歳の女の子)の存在とか、いいアクセントになってます。
時々ふふっと笑得るような場面もあるから、重く暗いミステリーにはならないのが良い。
社会糾弾系とも違うから、読みながら小難しいことを考えることもないし。
そういう本も悪くないけど、そればっかじゃ疲れてしまうので。

純粋に面白く読める、重たくないミステリー。
内容はしっかり練られているので、高評価も納得!でした合格
お洒落ケーキ屋さんPINEDE の、個人的いちおしスイーツをご紹介しますにこちゃん
三重県、愛知県内にいくつか店舗があって、名古屋ラシックにも入ってるそうひらめき電球
店構えがおしゃれで、ケーキも美味しそうですキラキラ
ちょっとお値段が高めだけど…そのぶん1個食べれば満足しちゃいますニコニコ
帰国して久しぶりに食べたモンブランが美味しくて、それから注目してました。

そして今回、おススメしたいのが加賀棒茶のプリンいちごプリンchan
わたし抹茶やほうじ茶スイーツが好きで、京都に住んでいた時はよく食べてました音譜
ただ、抹茶スイーツは一般的でもほうじ茶はなかなかお目にかかれなくて…。
だからPINEDEでこのプリンを見つけた時は、めっちゃテンションあがりましたアップ

茶色っぽいプリンの上に生クリームがかかっているタイプで、とろとろではなくちょい固め。
濃いめ・苦めのカラメルソースが別添えで付いてきます。

これ、プリンといっても甘くなくて、加賀棒茶の風味がしっかりして美味なんですどっきゅん
上の生クリームと一緒に食べると、なめらかな食感とふんわりした甘さ恋の矢
プリン部分だけを食べてみると、甘味はごく控えめで棒茶の風味が鼻をふわっと抜ける感じ。
そして別添えのカラメルソース(濃い目、焦がしたほろ苦さが強いタイプ)を使うと、また絶品キラキラ
これがプリンと合わさると、香ばしい苦みとほのかな甘さが棒茶の素朴な風味をひきたてるんです。
最初は生クリームと一緒に、途中からカラメルソースで食べるのがバランス良かったかな。
カラメルソースが風味強めなので、最初はそのままを楽しんだ方がいいと思う。

甘さはごく控えめなので、普通のプリンと思って食べるとビックリするかも笑
とろとろ系が好きな人は、好みと違うかもしれないです。
個人的にはかなり好みのタイプで、リピート決定あげ
和風スイーツが好きな人は、一度お試しあれ~ぺこ
Where there's a will, there's a way.
橋本紡 『猫泥棒と木曜日のキッチン』

お母さんが家出した-。残された高校2年生のみずきは、新しい家族とともに淡々と日常生活を送る。しかし、捨てられた猫をみつけたことにより、その日常が変わろうとしていた。捨てられた子どもたちと捨てられた猫たちの物語。

最近続いたミステリーの息抜きに、と借りましたニコ
そんなに長くないし、ミステリーのように頭を使うタイプじゃないのですぐ読み終わります。
全体に、ほっこりとした時間が流れた作品。
だからといって甘ったるいわけじゃなくて、テンポはそこそこ良いのが魅力。

登場人物が子ども(高校生ぐらい)だけど、作品に流れる雰囲気は子供っぽくないのがツボ。
だからかな、いやにゆったりとしすぎる感もなく自然と読めます。
それに、みずきのキャラクターがちょっと変わっていて良い。
どこか感情が欠落したみたいにさっぱりしてて、胸の奥には熱いものが潜んでいて。
前半で見せるさっぱりした性格、あふれ出す涙に透けて見える感情、猫泥棒するときの決然とした態度。
子供らしくない部分と、子供らしい純粋さやまっすぐさが両方あって。いいですねぇ。

ゆる~い雰囲気で始まってそのまま終わるのかと思ったけど、予想以上に読みがいありました。
途中で健一くん目線の「少年の憂鬱」が入ったりすることで、適度に青春っぽかったり。
最後の章も良かった。普通に帰ってきた母親、それを普通に迎えるみずき。大喜びする弟コウちゃん。
泥棒されたのにみずき家にすっかり馴染んだ様子の猫たち、健一くんの姿も。
ほんわかと幸せが漂った終わり方で、笑顔で本を閉じることができました。

あとがきによると、虐待や育児放棄のニュースを目にした筆者の違和感から始まった物語だそうです。
「親=強者 子供=弱者」という視点が一方化する中で、筆者が抱いた思い。
「子どもって、そんなに弱いかな?」
これってとっても素敵で明るい考え方だと思うし、それがよく反映された作品になってると思います。
「子供=絶対の弱者」という図式を抜け出し、生き生きとサバイバルする元気な子供たち。
現実は厳しいけれど、あくまで娯楽小説として素敵な世界を垣間見ることができます。
楽しく読んで終わるもよし、ちょこっと考えるもよし。

気まぐれに(というか題名と表紙に惹かれて)手を出した本だったけど、なかなかヒットキラキラ☆
ミステリー漬けで疲れてた頭と心が、かなり癒されました~笑
Where there's a will, there's a way.
初野晴 『漆黒の王子』

砂の城の哀れな王に告ぐ。私の名はガネーシャ。王の側近と騎士達の命を握る者。要求はひとつ。彼ら全員の睡眠を私に差し出すこと。眠ったまま死に至る奇妙な連続殺人事件。ふたつの世界で謎が交錯する超本格ミステリ!第二十二回横溝正史ミステリ大賞受賞第一作。

濃いなぁ~。ぎっしり詰まってるという印象。
最初から最後まで、しっかり作りこまれた世界観で一気に読ませる勢いがあります。

ミステリー自体が面白い!というよりも、この物語の設定自体に引き込まれます。
とにかく、読ませる力がすごく強い。

まず、上側の世界と下側の世界に分かれて展開されるところが面白かった。
暴力団というリアリスティックな俗世界である上側。
上側の世界から見えないところに存在する、どこかファンタジックな下側。
世俗的な上側と、異世界的な下側。このアンバランスが次第に溶け合ってゆくのが面白いです。

やりとりのメールの文章や名前、そういう設定がどことなくゲームチック。
ファンタジックとも取れるし、私はどこかしらゲームのようだと感じました。
ただそのゲーム感が前面に押し出されているわけじゃないのが、面白いところかなぁ。
あくまで設定は俗世界だし、ときどき暴力的な描写がちょっと目につくほど。

中盤あたりから上下の世界のつながりが少しずつ見えてきて、そこからはミステリ大賞受賞作の本領発揮という感じ。
ラスト1行まで、読み応えたっぷりでした。

ミステリーのトリック自体は、正直ちょっと凝りすぎてて分かりにくかった感あり。
ただ力の入れっぷりは好印象なので、完璧に理解しようと頑張りすぎずに読めば問題なしでした。

『水の時計』も良かったけど、こちらも良いなぁ。
より緻密に作られた独特のどこかゲームのような世界に、絶妙にブレンドされたリアル感。
こういうミステリーも、個人的には好きです。
印象に残る作品が続いたし、個人的には今後も注目していきたい作家さんです。
Where there's a will, there's a way.
雫井修介 『火の粉』

元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の最高傑作。

Amazonのレビューの高評価を目にして、チェックしていた本です。
図書館で借りようと思っていたら、父親の本棚にあるのを偶然発見キラキラ

これ、ミステリーという分類なのかしら?個人的にはちょっと違う印象でした。
もっと、じっとりとした気持ち悪い恐怖感をあおるというか…うぅ。

完璧にはりめぐらされたパーフェクトな外面に隠れた、武内の狂気。
梶間家の人間が、その狂気の餌食となってゆく様子が細かく描かれています。
怖いぐらい丁寧に仕組まれた状況は、最初は素敵に見えるもの。
ただ、徐々に梶間家の人間への被害や危機が浮かび上がってきて。
それは同時に、自分の理想の世界をつくるためならどんな手段をも厭わない武内の異常性を浮き彫りにするんです。
次第にぼろがはがれて本性が暴かれてゆく様子は、人間って怖い…と感じました。

確かにリーダビリティーはあると思います。私も一晩ノンストップで読み終えました。
ただ、先が気になる!というポジティブな気持ちとはちょっと違う種類の先急ぎ感だったかも。
どちらかというと、いちど中断してしまうと戻るときにちょっと心構えが必要という感じに近い。
そういう意味では、精神的にかなり疲れる作品ですねぇ。

最後だけ、ちょっと尻すぼみだったかも。
やっぱりか~、という気持ちも無くはなかった。
あと、結末はそうくるのか?とちょっと意外だったり。でもあれ以外の結末だとインパクトなさすぎかな。
自ら無罪判決を下した梶間勲の、心の中での葛藤がもうちょっと全体的に描かれていてもいいのでは?
だいたいは妻(尋恵)か嫁の雪見が中心だったので、冒頭・結末部分とアンバランスに感じました。

読んでスッキリ!とかいうミステリーではないので読後感は微妙。
読み切って残ったのは、人間って見た目やイメージだけでは分からないなぁ~という気持ち。
そこを前面に押し出した作品だけに、受ける印象にブレがないですね。

話題作だったし気になってたので、読んで満足です。
再読は…ないと思うけど苦笑
ちょっと息抜きに軽いものを読みたくなりましたん~・・・。