今回は試用期間についての裁判例を紹介します。原告は、副社員が、解約権留保の趣旨の試用期間である(ママ)主張するのに対し、被告は副社員は正社員とは別の社員の種別であると主張している。たしかに、正社員と副社員とでは、就業規則や副社員就業規則等の上で、正社員として採用された試用期間中の従業員の採用を被告が取り消す場合には解雇の手続 を取ることとされているのに対し、副社員は、一年以内の試雇期間満了時において正社員に登用されないときには、自動的に退職扱いになるものとされていること、賞与の支給基準に差があるほか、副社員には退職金規程がないことなどの違いがあるほか、実際の運用においても、副社員を正社員に登用する場合には、正社員採用通知書を交付し、就業規則上の正社員採用時(辞令交付)と同様の手続が取られている。しかしながら、副社員は、単なる期間雇用と異なり、正社員登用を目的とする試雇社員と定義されていること、現実の運用上も、副社員は、社員としての種別であることが明らかな準社員や契約社員などと異なり、勤務内容等や月例賃金は正社員と同等であること、正社員登用時には正社員採用通知書が交付されるといっても、他に格別の手続がなされるものではなく、提出書類も副社員採用時のものがそのまま流用されており、そうすると右通知書の交付も、その時点で新たに副社員とは異種の正社員としての雇用契約を締結したことを証するものというよりは、被告が一方的に労働条件の変更を通知するだけの辞令にすぎないと認められること、副社員就業規則制定後の正社員の採用は、副社員雇用契約を経由して行うことが一般的となっていることなどからすると、副社員が、正社員採用のための試用期間であることは明らかというべきであり、副社員と正社員とが全く種別の異なる社員であるとすることはできず、むしろ、正社員として登用された場合の従業員の地位はその前後で連続性を有するものと解される。副社員には、賞与の支給条件が正社員と異なることや退職金規程が存しないことは、正社員に登用されないまま一年以内で契約終了となる場合があることによるものと解され、これらの相異が副社員としての法的性質を正社員との(ママ)別種の社員であると決定づけるものとは考えられない。そうすると、副社員は、期間の定めがない雇用契約であることを前提に、被告において広い裁量権のある解約権を留保する趣旨のものであると解するのが相当であり、正社員とは別種の従業員であるという被告の主張は採用できない。そして、右のように解するときは、留保された解約権が行使されたと認められない限り,試雇期間の経過によって解約権は消滅し、被告と副社員との雇用契約は、解約権留保の存しない雇用契約である正社員としての雇用契約に移行するものというべきである。不明な点がありましたら、顧問弁護士にご確認 ください。
このブログでは、各業界の企業の顧問弁護士をしている者の立場から、一般的に役立つと思われる法律知識や裁判例などを紹介しています。テーマは特に限定していませんが、個人の方の法律問題としては、多重債務(借金)の返済の問題、不当な整理解雇の相談、未払いの残業代の請求、交通事故
の示談交渉や慰謝料交渉、知人が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護の相談
も増えているため、扱うテーマもそういう偏りがあるかもしれません。なお、法改正や新判例などにより、記事をアップしたときには新しい情報であっても、現時点では情報として古いものになっている可能性があります。また、それなりに気をつけていますが誤植など不完全な内容があるかもしれませんので、ご了承ください。実際に法律問題に直面した会社の方は、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士がいない企業も多いようです。顧問弁護士の費用やサービス内容は区々ですから、企業の顧問弁護士をしている法律事務所のホームページなどをよく調べることをお勧めします。個人の方で、不当解雇、交通事故、債務返済(借金
返済)、刑事事件、残業代
の請求などの法律問題について相談したい方は、弁護士にご相談ください。